知っておきたい!高齢者の感染症腸管出血性大腸菌感染症
注 意
症状の原因が、感染症ではない可能性も十分あります。
自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。
また、高齢者は目立った症状がでにくいことがあり、見た目には軽症にみえても深刻な状態に進行している場合もあります。
「普段の反応と違う」、「笑顔がみられない」、「なんだか元気がない」などの日常のなかの変化を見逃さず、早く気づくことが大切です。
腸管出血性
大腸菌感染症
O157などの病原大腸菌による感染症です。
全く症状のない人から、腹痛や血便をきたす人まで様々です。
夏から秋にかけて多く発生し、患者の約80%が15歳以下ですが、高齢者などは重症化しやすいことが特徴です。
症状
- 全く症状がないものから、軽い腹痛や下痢のみで終わるもの、さらには頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし、ときには死に至るものまで様々です。
- 尿量減少、出血傾向、意識障害がみられると、合併症(溶血性尿毒症症候群[ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん]、脳症)が疑われます。
経 過
- 重篤な場合には、水様性便が続いた後、激しい腹痛と血便となります。
合併症
- 溶血性尿毒症症候群や脳症を併発することがあり、ときには死に至ることもあります。
感染経路など
感染経路
- 接触感染、経口(糞口)感染。生肉などの飲食物から感染します。
少ない菌量(100個程度)でも感染します。
病原体
腸管出血性大腸菌(O157、O26、O111など、様々なベロ毒素産生性大腸菌)熱に弱いですが、低温条件には強く、水の中では長期間生存します。
潜伏期間
3~5日
予防と治療
予 防
- 食中毒予防のポイントは6つ(食品の購入、家庭での保存、下準備、調理、食事、残った食品)です。
(参考サイト)
厚生労働省:家庭でできる食中毒予防の6つのポイント外部サイトへ - 食事の前や排泄後の手洗いを徹底することが大切です。
- 消毒(ドアノブ、便座などのアルコール含浸綿による清拭)
- 食品の洗浄や十分な加熱。肉やレバー類の生食は避ける必要があります。
- 調理器具の衛生にも注意し、生肉の調理に使用した後は、野菜など生で食べる食材の調理に使用しないようにします。
治 療
- 下痢、腹痛、脱水に対しては水分補給をします。
口から水分がとれない場合は、点滴が必要となります。 - 下痢止め剤は、毒素排出を阻害する可能性があるので使用しません。
- 抗菌薬はときに症状を悪化させることもあり、慎重に使うなどの方針が決められています。
厚生労働省:高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版. P65, 2019年3月.
厚生労働省:介護現場における感染対策の手引き 第2版. P136-137, 2021年3月.
厚生労働省:腸管出血性大腸菌Q&A.
などを参考にして作成