シオノギ製薬(日本型企業)から
SHIONOGI(グローバル型企業)へ

 

医薬品の価値が真に問われる今この時代に、
患者様目線でモノを創り、造り、届ける。
医薬開発本部長 岩﨑 利信

インタビュー実施日 2019年11月21日
Q1 医薬品開発の現状について

医薬品の価値が真に問われる時代の到来

現在の医薬品開発は、30,000化合物を創成して一つの医薬品が生み出されるとの報告もあるように、成功確率が年々低下しており、医薬品を提供できるまでに必要な費用もこれまでよりも高額になっています。また、現在有効な治療法のない疾患のメカニズムは非常に複雑であり、医薬品の開発が非常に難しくなっています。近年、がん免疫療法など革新的な医薬品の登場によって救われる患者様がいるという事実の一方で、それらの医薬品による治療は、数百万円・数千万円の費用がかかり医薬品へのアクセスが大きな問題となっています。安全性や有効性といった科学的評価だけでなく、多くの患者様により良い医薬品を提供するための経済的評価も加味し、価値のある医薬品を開発していかなければならない時代に来ています。

価値のある医薬品開発と言っても、ヒト・モノ・カネといったリソースには限りがあり、これらの資源を如何に迅速かつ効率的に活用していくかが成功の鍵と考えていますが、そのために、革新的な技術を積極的に取り入れることや、他社との提携によるシナジー効果の創出など、開発のスピードアップや効率化に医薬品業界は取り組んでいます。

Q2 シオノギ・医薬開発本部の方針について

決してあきらめない“モノづくりへのこだわり”というシオノギの強み

私たちは、アンメットメディカルニーズを正確に把握し、それを満たす“高い価値の”「医療用製品」(ここでは敢えて、医薬品と呼びません)を創り、開発を進めていきます。そのベースとなるものは、サイエンスです。開発目標(アンメットメディカルニーズや創出すべき価値)を定め、開発計画を徹底的に議論したうえで練り上げ、得られたデータをエビデンスに基づきシビアに評価します。シオノギではこの単純な方針の一つ一つのプロセスに対して、決してあきらめない“モノづくりへのこだわり”というシオノギの強みを持って、全力で取り組みます。

 

“アンメットメディカルニーズ”とは、常に患者様の目線で定義されるものです

まず、“アンメットメディカルニーズ”という言葉を、満たされていないニーズが薬効の大きさなのか、薬効の持続期間なのか、安全性なのか、価格なのか、使用感なのか、患者様の声をもとに患者様の目線で徹底的に突き詰めます。

そのため、patient centricity(患者様中心)活動にも取り組み、患者様の想いを医薬品開発に反映させています。

患者様が、必要とする医薬品をひとつでも使える形で提供できるよう開発を進めていきます。

 

“高い価値の「医療用製品」”とは何か?

製品の価値を次の3つの視点から捉えています。

①    医薬品そのものの有効性

安全であることは大前提の上で、生理活性が強い、つまり高い有効性が期待できる化合物の創成や導入を、研究所はじめ関係部署と共に追い求めています。

②    組み合わせによる利便性の向上

具体的には、医薬品とデジタルメディスンを組み合わせることで安全性/有効性や利便性の向上を目指します。また、精神疾患を対象とした医療用アプリの開発も進めており、今までの「医薬品」の概念を越えた医薬品開発を進めています。

③    付加情報による価値の最大化

現在、シオノギではうつ病治療薬を開発しています。うつ病治療では、患者様が副作用や効果を自覚できずに途中で服薬をやめてしまうケースがあります。しかし治療のためには、副作用がある場合を除いて可能な限り服薬を続けていただく必要があります。その時、患者様自身、ご家族、医療関係者が、服薬遵守の状況やうつ病重症度の状態を定量的に遠隔でも把握できることは、治癒の達成に重要であると考えています。このことから、うつ病治療薬に加えて、服薬管理や遠隔での状態把握を最新のデジタル技術を利用して付加情報として提供させていただくことが、医薬品の価値を高めることにつながるとなると考えています。

Q3 方針を実現するため、求められていること

シオノギ製薬(日本型企業)からSHIONOGI(グローバル型企業)へ。

今シオノギは、製薬業界にとらわれない組織に変わらなければならないと考えています。「シオノギ製薬」から「SHIONOGI」に変えたいのです。自動車業界にIT企業が参入したように、製薬企業にも他産業からの参入が始まっています。つまり、今後どの産業においても垣根がなくなるでしょう。そのときに、医薬品産業での既存の概念や行動にとらわれ続ければ、異業種と連携をすることは叶わず、患者様のニーズを満たす新しい医療用製品開発の可能性を拡げることが出来ません。患者様目線の「医療用製品」を創り、造り、売り続けることがSHIONOGIにとって最重要事項です。私たちの組織は、柔軟な思考をもって失敗を恐れずに挑戦できる風土にしたいと考えています。

Q4 シオノギの特徴とは何か

安全性の高い医薬品

「着実と革新」、それが今のシオノギの開発ビジョンです。今のシオノギは「着実」な会社だと思います。それは医薬品開発という業務において、非常に大切なことです。医薬品の歴史の中で、様々な薬害が世を脅かしてきた事実がありますが、シオノギは薬害を一度も起こしたことはありません。これは、シオノギが「常に人々の健康を守るために、必要な最もよい薬を提供する。」という基本方針に基づいた行動を実践した証と考えており、胸を張れる我々の特徴だと思います。この良き風土に加え、「革新」的な取り組み、具体的には、治療用デジタルメディスンの開発に取り組む等を継続し、「着実と革新」の風土をシオノギ 開発本部に根付かせていきたいと考えています。

Q5 今後のグローバル展開について

真のグローバル企業へ

Ospemifene(膣萎縮症治療薬)が米国および欧州において承認を取得し、シオノギは世界市場に踏み出しました。そして、Naldemedine(オピオイド誘発性便秘症治療薬)で自らの手で、日米同時申請を達成したことで、グローバルで開発できる基盤を整えることができ、日本の企業でありながら、他の製薬企業同様に“日本以外で開発・販売することが普通であるという認識”を社員一同持つことができました。その上で、これまで以上に真摯に考えるべきことは、「必要な地域に必要な薬を届ける」ということです。医薬品が世界中の患者様に必要とされる場合には、グローバルで開発するべきです。しかし、私たちシオノギは、地域ごとのニーズを満たす医薬品を開発すること、そして、そのやり方を最適化し、効率よく実施することも、重要であると考えます。そのために、機能ごとのグローバル責任者を任命し、各機能の役割と責任者の明確化を実施しました。その成果として、意思決定のスピードと精度が上がったことや、各機能における業務内容の透明化が進んだことが挙げられます。また、開発プロジェクト運営においては、各開発品のプロジェクトリーダーがいるところが開発活動の中心となるべきとの考え方に基づき、プロジェクトリーダーには地域を問わず能力のある人を任命します。このような取り組みによって、真のグローバル企業へ成長し続けたいと考えています。