バイオマーカーは、疾患の診断、医薬品の作用機序及び治療介入に対する反応の確認、薬物の安全性・毒性を評価するためのツールとして、なくてはならないものとなっています。例えば、医薬品開発における探索研究では化合物の作用機序の確認(Proof of Mechanism)や臨床試験においては薬効評価の代替(サロゲートマーカー)として活用されています。
シオノギでは、実用性が高く、且つ臨床に繋がる新規バイオマーカーを確立し、創薬研究の臨床予測性の向上や医薬品開発の効率化を目指したバイオマーカー研究を進めています。さらに、研究から創出された有用なバイオマーカーを臨床で有効に活用できる診断薬として開発し、上市することにより、自社医薬品の価値最大化および適正使用を推進します。

また、世界に先駆けてシオノギが開発したBNP検査は、心不全診断・重症度把握・予後予測に欠かせない有用な検体検査として日常の診療で広く用いられており、急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版、日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン)においてもエビデンスレベルの高いバイオマーカーとして掲載されています。2019年10月には、BNP測定の精度管理を目的とするBNP常用参照標準物質「BNP コントロール シオノギ」を新発売し、BNP測定施設における検査精度の維持や施設間差の解消を目指す等、臨床検査の信頼性の向上に取り組んでいます。

バイオマーカーは医薬品開発のあらゆるステージで活用される

シオノギのバイオマーカー研究は、従来の分子マーカー研究にイメージングマーカー研究を加えた2つの技術を主軸にして進めています。今後、創薬標的の妥当性評価や、医薬品を届ける病態を「ヒト」で見極めるツールとしてバイオマーカーを活用するため、分子マーカーやイメージングマーカーに焦点を当てた臨床での病態研究を推進していきます。


イメージングマーカー

体内で起こる変化を生きたまま可視化し、さらに注目すべき臓器(脳、心臓、腎臓等々)における変化を直接定量できるイメージング技術は、非臨床から臨床まで一気通貫で評価できるため、医薬品開発の成功確率を上げる革新技術として注目されています。また、イメージング技術は医薬品を届ける病態の見極め(病態変化の観察)や創薬標的の妥当性評価をヒトで可能にするため、きわめて有益です。私たちは、新薬の最適投与量の推定や薬効評価などを明らかにするために、Positron Emission Tomography(PET)による化合物の占有率測定(右図上段)や神経活動や脳機能ネットワークに着目したMagnetic Resonance Imaging(MRI)による評価に取り組んでいます(右図下段)。



分子マーカー

病態や薬物投与により変化する生体の状態を、タンパク質や遺伝子、代謝物などの「分子マーカー」の濃度変動として捉えることは、創薬の研究・開発、医薬品の適正使用を推進する上できわめて有用です。私たちは、市販品の価値最大化を目的とした患者さんの層別化や、臨床開発(治験)の効率化と開発の成功確率向上を目指し、新たな分子の探索や既知分子の検証研究を行っています。最近の取り組みとしては、特発性肺線維症(IPF)の治療薬であるピレスパ®(一般名:ピルフェニドン)のLCM(life cycle management,上市した医薬品の長期有効活用を目指した取り組み) 研究として、科学的根拠に基づいた有効性予測マーカーの研究を実施しています。