医薬品の研究開発、生産には多種の化学物質を使用します。その中には人の健康や生態系、地球環境へ影響を与える可能性のある化学物質も含まれています。また化学物質に関連する法規制として、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法を始めとした様々な法律があり、これらを順守することはもちろん、化学物質を適正に管理し、法規制値より厳しい自主管理値を設定し大気・排水への排出を抑制することは、コンプライアンス、レピュテーション上重要であると考えています。

【リスクと機会】

シオノギは長年にわたって抗菌剤を開発・製造・販売しており、抗菌剤の環境排出に関しては適正管理を行ってきました。AMRは、不適正使用や過剰投与だけが要因ではなく、製造時の環境への排出も要因の一つとして考えられており、様々な面からの対策が重要となっています。AMRへの対応は世界的な課題であり、耐性菌の発生を抑制することは、抗菌剤の製造企業として対応は必須であると考え、サプライヤーも含めて取り組んでいます。

PRTR

化学物質の環境への排出状況を把握・集計して公表するPRTR法に基づき、届出を行うとともに、揮発性有機化合物(VOC)についても取扱量・排出量・移動量を管理しています。今後も継続して、取扱量・排出量・移動量を適正に管理し、環境負荷の低減を図っていきます。
PRTRでは、使用した化学物質の大気や河川への排出量、廃棄やリサイクル処理した量などを把握し、下表の項目について行政に届出をします。事業所外移動量とは廃棄物となった量を指します。
PRTR法第1種指定化学物質(単位:トン)[2014年度]取扱量:279、排出量:50、移動量:170[2015年度]取扱量:377、排出量:61、移動量:235[2016年度]取扱量:289、排出量:63、移動量:148[2017年度]取扱量:251、排出量:35、移動量:177[2018年度]取扱量:274、排出量:43、移動量:156
PRTR法に基づく届出物質(単位:kg)
名称 取扱量 排出量 移動量
大気 公共用水域 土壌 事業所外 下水道
N,N-ジメチルアセトアミド 6,609 0 0 0 6,609 0
N,N-ジメチルホルムアミド 3,336 10 0 0 3,326 0
アセトニトリル 99,276 1,498 0 0 58,556 0
クロロホルム 7,523 284 0 0 7,238 0
ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 121,033 40,621 1 0 60,918 0
トリエチルアミン 1,217 12 0 0 1,205 0
トリブチルアミン 7,885 0 0 0 0 0
トルエン 1,174 6 0 0 1,168 0
ノルマル-ヘキサン 7,274 417 0 0 6,857 0
ピリジン 17,955 0 0 0 9,687 0
ベンゼン 711 0 0 0 133 0
揮発性有機化合物(VOC)取扱量・大気排出量(単位:トン)[2014年度]取扱量:755、大気排出量:88[2015年度]取扱量:987、大気排出量:116[2016年度]取扱量:1,196、大気排出量:77[2017年度]取扱量:780、大気排出量:42[2018年度]取扱量:491、大気排出量:46

PCB

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、環境中で分解されにくく、さらに食物連鎖によって生物体内に濃縮されることから、地球規模での汚染が危惧されています。PCBは、過去にコンデンサ、トランス類、蛍光灯安定器などに使用されており、PCB含有廃棄物および使用中機器の適正な管理が必要です。シオノギでは、管理者を定めてこれらを適正に管理するとともに、中期計画を立て順次、適正処理を進めています。2018年度は油日事業所での処理を完了しました。2021年までにすべての適正処理が完了予定です。

化学プロセスにおける環境と安全への配慮

医薬品や開発候補品の製造法・試験法の開発、設備の設計段階において、化学物質の安全性、反応や混触による危険性などを事前評価しています。また、製造段階における廃棄物の抑制、省エネ等の効率の良い生産工程についても検討しています。2018年度は、22品目、延べ61工程に関する環境・安全性評価および教育を実施しました。製薬協の主催するプロセス安全研究会に定期的に参加し、化学プロセスにおける危険性、安全性の評価に関する講演や事例報告の聴講、工場見学などを通じて、有用な情報を収集することによって、化学プロセスにおける安全性のレベルアップを図っています。