気候変動は地球規模で経済と社会システムに壊滅的な影響を及ぼす危険性があり、世界的に脱炭素社会への早期移行が大きな社会課題となっています。気候関連リスクと低炭素経済への移行は、ほとんどの産業に影響を及ぼすものであり、シオノギにおいても事業リスクを評価し、EHSポリシーに基づきリスク低減に取り組んでいきます。

気候変動のリスクと機会

シオノギでは、地球温暖化をはじめとする気候変動問題を取り組むべき経営課題と認識し、気候変動に関するリスクと機会の把握を進めています。これまでに特定した気候変動に関連したシオノギのリスクと機会をまとめました。

なお、特定にあたっては、TCFD(気候関連財務情報開⽰タスクフォース)の提言を鑑みて、IPCC第5次評価報告書、RCP2.6、8.5シナリオを参考にリスクと機会を抽出し、財務影響および発生確率を評価しました。特定したリスクと機会については、経営会議へ報告し、取締役会で決議されています。

【リスクについて】

今後、更なる省エネ推進のために規制が強化され、より厳しい削減目標を課されるリスクを鑑み、省エネ性能の高い機器への更新を計画的に進めるとともに、太陽光発電設備の導入を含めた再生可能エネルギーの導入の検討を進めています。
気候変動に伴い、局所的な異常気象(台風,ゲリラ豪⾬など)やそれに伴う災害(設備損傷、浸水、停電など)により、自社工場および国内外のサプライヤーが被災し、生産・供給体制維持が困難になるリスクが考えられます。シオノギでは、工場等が被災し、復旧に長時間かかり、製品供給が停止する場合を想定し、セカンドベンダーを立ち上げるなどの会社全体としてのBCPの策定を進めています。また、国内製造工場に関しては、被災した場合の欠品リスクを低減するために、製造設備の復旧や在庫管理を含めた工場独自のBCPの策定も進め、確実な医薬品の安定供給体制を構築しています。

【機会について】

気候変動問題に十分に取り組み、更なるCO2排出量の削減活動などを行うことで、製造設備の運用コスト低減につながる機会が考えられます。また、世界的にESG投資の投資規模は飛躍的に増大しており、これらの取り組みを積極的に実施することで、ステークホルダーからの外部評価が向上し、より多くの投資が得られるようになる機会も考えられます。シオノギでは、CO2排出量の削減活動を行うと共に、中長期目標として、SBTを含めたCO2排出量の更なる削減を目指しています。また、これらの排出削減活動やその進捗結果などを、積極的に外部公表し、ステークホルダーから適切な外部評価を受けられるよう努めています。
平均気温の上昇に伴い、感染症の増加、感染症媒介動物の分布変化が予想され、感染症治療薬のニーズ増大が想定されます。これらのニーズに適切に対応することは、ビジネス機会に繋がると考えられ、シオノギでは、既存感染症薬の生産維持をすると共に、新規感染症薬研究・開発推進(顧みられない熱帯病薬(NTDs)含む)、抗生物質の開発を促進するためのファンド(GHIT)に資金提供する一方、開発資本提供を受けているなど、必要な治療薬を提供するための数多くの施策を進めています。
  内容 財務影響 確率 備考
移行リスク
(法規制強化)
省エネ費用の追加投資
(設備投資)
SBT基準に法規制が強化された場合を想定
物理的リスク
(異常気象)
自社工場の被災による操業停止
(操業停止)
平成30年7月豪雨同等の異常気象に工場が被災した場合を想定
物理的リスク
(異常気象)
サプライチェーンの被災による操業停止
(操業停止)
アジア地域での異常気象増加によるサプライチェーンリスクを想定
機会
(外部評価向上)
投資家からの投資増加
(投資機会)
統合/EHS報告書での情報開示推進によるESG評価向上を想定
機会
(CO2排出削減)
さらなる省エネ推進による電気料金削減
(運用コスト低減)
SBT基準達成時の電力使用量を想定
機会
(新市場への参入)
気候変動関連の新薬創出による収益増加
(収益)
熱帯感染症(マラリア)の市場変化を想定

SBT

SBT(Science Based Targets)は、科学的根拠に基づく排出削減目標で、「企業版2℃目標」ともいいます。企業が産業革命比の気温上昇を「2℃未満」にするために、気候科学に基づく削減シナリオと整合した目標を設定することであり、温暖化のリスク・機会を認識し対策に取り組むことは、ESG投資を行う機関投資家・金融機関からも重要視されています。
シオノギは環境省のSBT設定支援に2018年度に参加しました。SBTは2019年10月に「2℃目標」から「1.5℃目標」へと認定基準が改訂される予定であり、省エネ活動の更なる推進が必要となります。シオノギは、「1.5℃目標」への対応を含め、次期中期目標立案時にも考慮していく予定です。

CO2排出量

シオノギグループでは地球温暖化対策として、CO2排出量の削減に取り組んでいます。

日薬連(日本製薬団体連合会)では、低炭素社会実行計画として「2020年度の製薬企業のCO2排出量を、2005年度を基準に23%削減する(フェーズⅠ)、2030年度の製薬企業のCO2排出量を、2013年度を基準に25%削減する(フェーズⅡ)」ことを掲げています。シオノギグループも同水準以上の目標を設定し、またエネルギー効率の改善として原単位を年1%改善、エネルギーの高効率設備の導入も目標としています。高効率設備の導入によるエネルギー使用量削減のほか、継続して運転方法の見直しを行っています。
2014年度の燃料転換による大幅な削減以降も着実にCO2排出量を削減しています。

CO2排出量および生産性(売上高/CO2排出量)(単位:トン-CO2)[2014年度]CO2排出量:68,194、売上高/CO2排出量:40.2[2015年度]CO2排出量:69,420、売上高/CO2排出量:44.7[2016年度]CO2排出量:67,764、売上高/CO2排出量:50.0[2017年度]CO2排出量:64,370、売上高/CO2排出量:53.5[2018年度]CO2排出量:61,866、売上高/CO2排出量:58.8
Scope別CO2排出量(単位:トン-CO2)[2014年度]Scope1 直接排出(燃料由来のみ):36,609、Scope2 エネルギー起源の間接排出:31,586[2015年度]Scope1 直接排出(燃料由来のみ):41,569、Scope2 エネルギー起源の間接排出:27,851[2016年度]Scope1 直接排出(燃料由来のみ):40,678、Scope2 エネルギー起源の間接排出:27,086[2017年度]Scope1 直接排出(燃料由来のみ):38,425、Scope2 エネルギー起源の間接排出:25,945[2018年度]Scope1 直接排出(燃料由来のみ):36,514、Scope2 エネルギー起源の間接排出:25,352

エネルギー使用量

総エネルギーと生産性(売上高/総エネルギー)(単位:GJ)[2014年度]総エネルギー:1,693,485、売上高/総エネルギー:16.2[2015年度]総エネルギー:1,697,382、売上高/総エネルギー:18.3[2016年度]総エネルギー:1,656,508、売上高/総エネルギー:20.5[2017年度]総エネルギー:1,580,588、売上高/総エネルギー:21.8[2018年度]総エネルギー:1,521,618、売上高/総エネルギー:23.9
エネルギー別使用量のグラフ

フロン

2015年4月から改正フロン排出抑制法が施行され、冷凍設備、空調設備について点検、漏洩報告が規制されたことに基づき、対象設備の把握、簡易・定期点検、記録の作成、漏洩量の算定などを実施しています。
2018年度のフロン類算定漏洩量は599トン-CO2でした。またモントリオール議定書のキガリ改正[*1]を鑑み、更新時にノンフロンや低GWP[*2]機器の検討を進めます。
  1. ※1
    ウィーン条約に基づいた「モントリオール議定書」において、オゾン層を破壊するおそれのある物質(クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC))が規制されています。キガリ改正にて、オゾン層を破壊しないが温室効果の高い代替フロン(ハイドロフルオロカーボン(HFC))について、生産及び消費量の削減が定められています。
  2. ※2
    GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数

営業車両

燃費向上によるCO2および排ガスの排出量削減のため、医薬情報担当者(MR)貸与自動車にハイブリッド車(HV)の導入を進めています。寒冷地を除く地域ではすべてハイブリッド車を導入しました。
営業車両の燃料使用量とCO2排出量(単位:燃料使用量 kL、CO2排出量 トン-CO2)[2014年度]燃料使用量:2,290、CO2排出量:5,317[2015年度]燃料使用量:2,031、CO2排出量:4,716[2016年度]燃料使用量:1,801、CO2排出量:4,183[2017年度]燃料使用量:1,724、CO2排出量:4,003[2018年度]燃料使用量:1,588、CO2排出量:3,684

Scope3(サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量)

事業活動は購入や販売を通じたサプライチェーンで繋がっており、自社のCO2排出量の把握だけでなく、サプライチェーンにおけるCO2排出量の把握が重要となってきています。
シオノギでは、「調達-生産-物流-販売」というサプライチェーンによる温室効果ガス排出量の把握を「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関するガイドライン(環境省、経済産業省)」に準じて進めました。
サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量イメージ図
サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の表
算定方法は、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.5(環境省、経済産業省)による

表彰など

~岩手県環境保全連絡協議会会長表彰~

2019年5月、金ケ崎工場が環境保全優良事業所として岩手県環境保全連絡協議会会長表彰を受賞しました。コージェネとLNGサテライトを最大限活用した省エネ・電力ピークカットの取り組みをされていることやそのほか様々な環境対策を進めていることが評価されました。

~省エネ法『事業者クラス分け評価制度』 4年連続Sランク~

2016年度より、省エネ法に『事業者クラス分け評価制度』が制定されました。事業者をS・A・B・Cの4段階へクラス分けし、優良事業者を公表する制度です。シオノギは省エネの取組が進んでいる優良事業者として4年連続Sランクの評価を受けました。