

感染時の治療法
新型コロナウイルス感染症は、
症状や基礎疾患などによって一人ひとりに適した治療が異なります
症状や基礎疾患などによって、一人ひとりに適した治療が異なります。現在では治療の選択肢が広がり、インフルエンザと同様に、ウイルス自体を直接やっつける治療(抗ウイルス薬治療)なども選択できるようになりました。各々の健康状態に応じた治療法があるので、適した治療法についてはかかりつけ医等にご相談ください。
主な治療法は?
東京都保健医療局, 新型コロナウイルス治療薬等について.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第10.1版. 2024.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
治療により様々なリスクや不安を軽減することが期待できます
早期受診、治療によって様々なリスクや不安を軽減することができるかもしれませんので、かかりつけ医等に相談しましょう。
※妊娠をしている可能性がある方は、受診時にその旨を医療機関に伝えてください。
※受診の際は、事前に医療機関へ連絡をし、マスクの着用などの感染対策をしましょう。
感染時に推奨される行動
もし、新型コロナウイルスに感染してしまった時は…
新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行(厚生労働省HP※1)されてからは、法律に基づく外出自粛は求められていません。外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられています。ただし、特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として5日間は外出を控えることが推奨されています。
詳しくは、厚生労働省HP「 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」(外部サイト) をご参照ください。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
外出を控えることを推奨
・発症後5日間経過かつ
・熱が下がり、症状軽快から24時間経過まで
周りの方への配慮
・発症後10日間が経過するまでは、不織布マスクを着用、高齢者等との接触を避ける等の配慮を心がける
感染時の症状
新型コロナウイルス変異株とその症状について
新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後も、ウイルスは感染や増殖を繰り返しながら、少しずつ「変異」を続けています。現在、KP.3系統を含むJN.1系統が主流ではあるものの、その割合は減少傾向にあります※。一方で、直近ではKP.3.1.1系統とJN.1亜系統の組換え体であるXEC系統の割合が増加しています。変異株の種類によって、症状や罹患後症状(後遺症)も変わっている可能性があります。
※ 全国のゲノムサーベイランスによる系統別検出状況(国⽴感染症研究所).(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
新型コロナウイルス感染症の主な症状※1
(2020年1月25日~2021年5月6日に入院した患者の発症時の症状)
※1 新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(最終報告)(IASR Vol. 42 p197-199: 2021年9月号). 2021.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
感染後の経過の主なパターン
※1 Tsuchida T, et al. Clin Exp Med. 2023 ; 23 : 3663-70.
※2 Sakurada Y, et al. Medicina (Kaunas). 2023 ; 59 : 261.
重症化と後遺症
重症化と罹患後症状(後遺症)のリスクについて
新型コロナに感染されたほとんどの方は、時間経過とともに症状が改善されますが、一部の方では重症化したり、罹患後症状(後遺症)が残る方もおられます。いまだ不明点も多いですが、これまでの報告から、重症化のリスク因子やどのような方が罹患後症状(後遺症)を発症しやすいのかがわかってきています。
重症化について
2021年末に流行株が感染力・伝播性の非常に強いオミクロン株に置き換わった後、重症化する患者の割合は減少しましたが※1、現在でも重症化する方はいます※2。感染した多くの方は無治療、または適切な治療を受けて回復していますが、中には症状が悪化し、入院や集中治療が必要になったり、呼吸困難を訴えて酸素投与を受ける方もいます。
場合によっては命に関わることもあり、2023年には38,080人の方が亡くなっています。なお、同じ年にインフルエンザによって亡くなった方は1,382人です※3 。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の国内発生状況等について.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
※2 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第10.1版. 2024.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
※3 厚生労働省, 令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)の概況. 2024.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
令和6年1月1日以降に入院した患者の累計数で、12月27日時点の基幹定点医療機関(約500カ所)からの
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者の届出数です。
厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について. 2024.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
重症化しやすい人はどんな人?
65歳以上の高齢、基礎疾患、肥満などが重症化のリスク因子として報告されています。これらの因子を多く持っている人ほど重症化しやすく、また女性よりも男性のほうが重症化しやすいこともわかっています※1。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第10.1版. 2024.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
上記項目に該当する方は、重症化リスクが高いと考えられるため、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が出た時は、早めにかかりつけ医等に相談してください。
罹患後症状(後遺症)について
新型コロナウイルスに感染後、少なくとも2ヶ月以上症状が続き、感染性が消失した後も他の疾患による症状として説明がつかないものを罹患後症状(後遺症)と呼んでいます※1。通常は、発症から3ヶ月経った時点にも見られます。目安として1ヶ月以上症状が続いていたり、新たな症状が現れたりする場合は罹患後症状(後遺症)の可能性が疑われます。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第3.0版. 2023.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
新型コロナウイルス感染者の約10〜20%に
罹患後症状が発生するとされています※1
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状は、ほとんどの方が時間経過とともに症状が改善します※2。また、発症時の新型コロナウイルス感染症の重症度が軽症以下だった方は97%であったとの報告があります※3。
一方で、罹患後症状が残存する方も一定程度いると報告され※4、感染後12週間以上経過した罹患後症状発症者の約6割が職場に復帰しているものの、罹患後症状により労働能力の低下や欠勤の増加につながっているという報告もあります※5。早期介入とリハビリテーションは、職場復帰の可能性を高めるとの報告もあります※5。
※1 ※2 ※4厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A. 2024. (外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
※3 第88回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日). (閲覧日:2025年2月14日)
※5 Work ability and return-to-work of patients with post-COVID-19: a systematic review and meta-analysis. 2024. (外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
罹患後症状(後遺症)を発症しやすい人はどんな人?
中年、女性、感染症の症状が重かったことなどが、罹患後症状(後遺症)のリスク因子として報告されています※1。さまざまな報告があり、下記に該当しない方でも注意が必要です。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第3.0版. 2023.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
感染波の予測
今年も冬時期の感染波に警戒しましょう
新型コロナウイルス感染症が世界的な拡大をして5年以上が経過しましたが、これまでに、新型コロナウイルス感染症は夏時期と冬時期に大きな流行を繰り返していたことが報告されています※1。2024年の夏も2023年と同様の推移を辿り、6月末から感染者数が増加し8月にはピークを迎えています※2。冬時期(2024年11月~2025年2月あたり)においても感染者が増加しており、引き続き注意が必要です。また、ワクチンを定期的に接種していない方は、定期的に接種している方と比較し、重症化のリスクが高い報告もあります※3。感染症への警戒を怠らず、家族と自分を守るために最善の準備をしておきましょう。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の国内発生状況等について.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
※2 厚生労働省,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について (閲覧日:2025年2月14日)
※3 New England Journal of Medicine, Durability of XBB.1.5 Vaccines against Omicron Subvariants. 2024. (外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
新型コロナウイルス感染症定点当たり報告数(全国)推移※2
厚生労働省の発表では、2023年10月~2025年1月にかけてこのような推移を辿っています。
感染の予防
新型コロナウイルス感染症を予防するために、できること
新型コロナウイルス感染症は「5類感染症」へと移行となり※1、現在は、一律の対応を求められてはいません。感染対策の実施は個人や事業者の判断に委ねられていますが、大切な人や自分自身を守るためにも、いくつかの衛生習慣を覚えておきましょう。2025年1月現在、インフルエンザが流行しているため※2、新型コロナウイルス感染症予防と合わせて、マスクの着用や手洗いなどの感染予防について対策を心掛けましょう。
※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について.(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
※2 厚生労働省, 感染症対策部からのお知らせ(外部サイト) (閲覧日:2025年2月14日)
監修にあたって
新型コロナウイルス感染症の位置づけは、令和5年5月8日から「5類感染症」(厚生労働省発表)となりましたが、今なお、罹患後症状がみられる方、重症化される方がおられます。今後も一定の流行が続くと予想されており、新たな変異株が出現した場合の対応も含め、最新の正しい情報を得て、大切な人々と自分自身を守るためにも、感染対策の基本を守っていきましょう。
愛知医科大学 臨床感染症学講座・教授
日本学術会議連携会員
三鴨廣繁先生