新型コロナによって今なお、後遺症が現れる方、重症化する方がいます
新型コロナによって今なお、後遺症が現れる方、重症化する方がいます

01

感染症の現状

7〜9月に新型コロナウイルス感染症の感染波が予測されています

新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」※1に移行されてから1年以上が経過しましたが、今年の夏も再び感染拡大する懸念があります。厚生労働省、国立感染症研究所によると、新型コロナウイルス感染症「第9波」 以降の令和6年5月より全国で新型コロナウイルス陽性者が再び増加傾向にあります※2。「第9波」のピークが昨年の夏季(8月末から9月上旬)であったことを踏まえると、今後も感染者が増えることが見込まれます。感染症の警戒を怠らず、家族と自分を守るために最善の準備をしておきましょう。

出典

※1 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の国内発生状況等について.(外部サイト) 外部サイト (閲覧日:2024年8月2日)

※2「新型コロナウイルス感染症定点当たり報告数(全国)推移」厚生労働省HP及び国立感染症研究所HP

新型コロナウイルス感染症定点当たり報告数(全国)推移

厚生労働省、国立感染症研究所の発表では、2023年はこのような推移を辿っています。

新型コロナウイルス感染症定点当たり報告数(全国)推移
2024年の7月には毎日約8,300人の方が感染しました。
2024年の7月には毎日約8,300人の方が感染しました。

7月1日~7月28日(合計28日)の合計感染者数をこの期間の日数で割って算出した数字です。
この感染者数は定点医療機関からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の報告数に基づいています。

02

感染症の症状

新型コロナウイルス感染症の主な症状は?

新型コロナウイルス感染症が5類に移行された後も、ウイルスは増殖や感染を繰り返す中で少しずつ「変異」し続けています。現在はKP.3系統を含む、JN.1系統とその亜系統およびXDQ.1系統が主流となっています※1※2。変異株の種類によって、症状や罹患後症状(後遺症)も変わってきています。

新型コロナウイルス感染症の主な症状※1

(2020年1月25日~2021年5月6日に入院した患者の発症時の症状)

新型コロナウイルス感染症の主な症状
新型コロナウイルス感染症の主な症状

感染後の経過の主なパターン

感染後の経過の主なパターン
感染後の経過の主なパターン

出典

※1 Tsuchida T, et al. Clin Exp Med. 2023 ; 23 : 3663-70.

※2 Sakurada Y, et al. Medicina (Kaunas). 2023 ; 59 : 261.

03

感染症の重症化

7⽉までに、今年は既に6万⼈以上の方が
新型コロナウイルス感染症で⼊院されています※1

2021年末に流行株が感染・伝播性が非常に強いオミクロンに置き換わった以降、重症化する患者の割合は低下しましたが※2、重症化する方は今でもいます※1
感染しても多くの患者は無治療、あるいは適切な治療ののちに回復しますが、症状が重症化して入院や集中治療が必要になったり、呼吸困難を訴え酸素投与を受けたりする人もいます。

2024年現在(7月28日まで)新型コロナウイルス感染症による入院患者数は約68,000人
2024年現在(7月28日まで)新型コロナウイルス感染症による入院患者数は約68,000人

令和6年1月1日以降に入院した患者の累計数で、7月28日時点の基幹定点医療機関(約500カ所)からの
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者の届出数です。(一部重複あり)

重症化しやすい人はどんな人?

65歳以上の高齢、基礎疾患、肥満などが重症化のリスク因子として報告されています。これらの因子を多く持っている人ほど重症化しやすく、また女性よりも男性のほうが重症化しやすいこともわかっています※1

重症化しやすい人はどんな人?
重症化しやすい人はどんな人?
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上記項目に該当する方は、重症化リスクが高いと考えられるため、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が出た時は、早めにかかりつけ医等に相談してください。

04

感染症の後遺症

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(後遺症)とは?

新型コロナウイルスに感染後、少なくとも2ヶ月以上症状が続き、感染性が消失した後も他の疾患による症状として説明がつかないものを罹患後症状(後遺症)と呼んでいます※1。通常は、発症から3ヶ月経った時点にも見られます。目安として1ヶ月以上症状が続いていたり、新たな症状が現れたりする場合は罹患後症状(後遺症)の可能性が疑われます。

診断3ヵ月時点における代表的な罹患後症状(後遺症)

(2020年1月~2021年2月にCOVOD-19と診断され入院歴のある患者1066例の追跡調査より)

代表的な罹患後症状(後遺症)診断3ヶ月以上症状が残存していた
代表的な罹患後症状(後遺症)診断3ヶ月以上症状が残存していた
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罹患後症状以外の病気が原因の場合もあるため、万が一このような症状が出た場合にはかかりつけ医等に相談してください。

新型コロナウイルス感染者の約10〜20%に
罹患後症状が発生するとされています※1

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状は、ほとんどの方が時間経過とともに症状が改善します。一方、症状が残存する方も一定程度いると報告されています※2。また、発症時の新型コロナウイルス感染症の重症度が軽症以下だった方は97%であったとの報告もあります※3

罹患後症状(後遺症)割合

出典

※1 ※2 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A. 2024. (外部サイト) 外部サイト (閲覧日:2024年8月2日)
※3 第88回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日). (閲覧日:2024年8月2日)

罹患後症状(後遺症)を発症しやすい人はどんな人?

中年、女性、感染症の症状が重かったことなどが、罹患後症状(後遺症)のリスク因子として報告されています※1。さまざまな報告があり、下記に該当しない方でも注意が必要です。

罹患後症状(後遺症)を発症しやすい人はどんな人?
罹患後症状(後遺症)を発症しやすい人はどんな人?
05

感染症の予防

新型コロナウイルス感染症を予防するために、できること

新型コロナウイルス感染症は「5類感染症」へと移行となり(厚生労働省HP※1)、現在は、一律の対応を求められてはいません。感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となっていますが、大切な人々と自分自身を守るためにも、いくつかの衛生習慣を覚えておきましょう。

予防の方法
予防の方法
06

感染症の治療法

現在では新型コロナウイルス感染症はインフルエンザ同様、お薬による治療法があります

症状や基礎疾患などによって、一人ひとりに適した治療が異なります。現在では治療の選択肢が広がり、インフルエンザと同様に、ウイルス自体を直接やっつける治療(抗ウイルス薬治療)なども選択できるようになりました。各々の健康状態に応じた治療法があるので、適した治療法についてはかかりつけ医等にご相談ください。

主な治療法は?

治療法の種類
治療法の種類

治療法に応じて様々なリスクや不安を減らすことが期待できます

療法に応じて様々なリスクや不安を減らすことが期待できます
療法に応じて様々なリスクや不安を減らすことが期待できます
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治療によって様々なリスクや不安を減らすことができるかもしれませんので、気になる場合にはかかりつけ医等に相談しましょう。

監修にあたって

新型コロナウイルス感染症の位置づけは、令和5年5月8日から「5類感染症」(厚生労働省発表)となりましたが、今なお、罹患後症状がみられる方、重症化される方がおられます。今後も一定の流行が続くと予想されており、新たな変異株が出現した場合の対応も含め、最新の正しい情報を得て、大切な人々と自分自身を守るためにも、感染対策の基本を守っていきましょう。

三鴨廣繁先生

愛知医科大学 臨床感染症学講座・教授
日本学術会議連携会員

三鴨廣繁先生

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