シオノギ製薬

国際イベント
に参加する
一般市民・
ボランティア
の方のための
マスギャザリング
感染症ナビ

監修防衛医科大学校 防衛医学研究センター
広域感染症疫学・制御研究部門 教授
加來 浩器先生

海外から感染症も
やってくる?!

近年、訪日外国人旅行者数は増え続けており、国際的スポーツイベントが開催される2020年は約4,000万人が見込まれています1)

海外から訪れるのは人々だけではありません。2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行など、人々の流入・移動に伴って、海外で発生している日本ではまれな感染症も入ってくる可能性があります。

マスギャザリングを
知ってますか?

マスギャザリングとは、一定期間、限定された地域に、同じ目的で多くの人が集まることです。マスギャザリング・イベントは限られた空間で大人数が密に接するため、感染症が広がりやすい環境です。

特に、スポーツ、文化イベント、博覧会などの国際的なマスギャザリング・イベントでは、日本ではまれな、重い症状の感染症も発生・流行するリスクが高くなります。

感染症とは?

目には見えないウイルスや細菌などが原因

感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入し発熱・せきおうほっしんなどの症状があらわれる病気です。症状は軽いものから生命にかかわる重いものまであり、また、感染力も弱いものから強いものまでさまざまです。

どのように感染するのか

感染のしかたには、次のようなルート(かんせんけい)があります。日常生活のありふれた行動・動作などから、あなたの体内に病原体が入る可能性があります。なお、感染経路は病原体の種類によって異なり、複数の感染経路をとるものもあります2)

くしゃみ
  1. 咳やくしゃみのしぶきを吸い込む―飛沫感染
  2. 空気中にただよう病原体を吸い込む―空気感染
  3. 手指などでふれて―接触感染
  4. 食べ物や飲み物などから―経口感染
  5. 蚊に刺されて―蚊媒介感染

どのように発症する?

  1. 細菌やウイルスなどの病原体を含む感染源があること。
  2. 飛沫感染、接触感染など病原体がたどる感染経路があること。
  3. 病原体に対する免疫力(体の抵抗力)が弱いこと。

以上の場合に感染症を発症することがあります。

Keyポイント

感染症の予防でカギとなるのは、要因別の対策!

感染源対策

→冊子P7~9ページ内リンク

  • 感染源のコントロール
    (患者の早期発見、咳エチケット、水たまりをなくすなど)

感染経路対策

→冊子P10~12ページ内リンク

  • 手洗い、マスク、うがい、虫よけ対策など

免疫力の向上

→冊子P12~13ページ内リンク

  • 十分な栄養、睡眠、ワクチン

これらを行うためには、まず感染症について知ることが重要です。

海外ではどんな感染症が
流行している?

麻しん・風しん・ノロウイルス感染症・水痘などは、世界中で発生しています。

インフルエンザは、海外では日本の流行シーズンとは異なることに注意が必要です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年から世界に拡大した新しくおこった感染症です。

主な感染症と海外における主な流行地域
インフルエンザ 南半球では4~9月に、熱帯・亜熱帯地域では通年性に発生します。
風しん
(三日ばしか)
世界中で発生していますが、中国・フィリピン・ベトナムで多くみられます。
デング熱 熱帯・亜熱帯地域
髄膜炎菌感染症 アフリカ中央部に多発。
A型肝炎 世界中でみられますが、衛生状態が悪く、飲用水の管理が悪い地域では感染リスクが高くなります。
水痘
(水ぼうそう)
世界中で発生がみられます。
ノロウイルス感染症 世界中で発生がみられます。
麻しん
(はしか)
世界中で発生がみられます。
新型コロナウイルス
感染症(COVID-19)
中国を中心に、世界に拡大。

国際的マスギャザリング・
イベントで
注意すべき
感染症は?

それでは、国際的マスギャザリング・イベントで注意すべき感染症にはどのようなものがあるでしょうか。

冊子P8の表が参考になります。

特に注意すべき感染症

下記の感染症は、感染力が強く、重い症状が現れることがあり、国際的マスギャザリング・イベントでは多数の患者が発生する(集団発生)リスクが高く、特に注意が必要です。

  • 麻しん(はしか)
  • デング熱
  • 髄膜炎菌感染症
  • 風しん(三日ばしか)
  • ノロウイルス感染症
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

感染症にかからないためには、どうすればよい?

感染症にかからないためには、病原体に接しない・とり除く(減らす)ことや自分の免疫力を高めることです。

そのために、重要になるのが、手洗い・マスク・うがい・ワクチンなどです。

感染症を予防しよう
手洗い

手洗いイラスト

手指についた病原体を石けんと流水で洗い流します。洗い残しが起こりがちですので、ていねいに洗うことが大切です。

感染症を予防しよう
マスク

マスクは、咳やくしゃみ(それらに含まれる病原体を含む)の飛び散りを防ぐ効果があり、症状のある方に積極的な着用が勧められます(咳エチケット)。

また、混み合った場所、特に屋内や乗り物などの換気が不十分な場所では、病原体をできる限り吸い込まないようにするために着用します。8)

感染症を予防しよう
うがいなど

喉や口のなかの清潔を保つことはとても重要です。うがいや歯みがきで、病原体を洗い流しましょう。

感染症を予防しよう
蚊対策

デング熱などの蚊媒介感染の予防対策は、1.蚊を発生させないこと、2.蚊に刺されないようにすること(肌を出さない衣服、虫よけスプレー)です。

感染症を予防しよう
体調を整える

体調不良な状態では、免疫力(体の抵抗力)も弱まります。十分な栄養や睡眠で、体調を整えましょう。

感染症を予防しよう
ワクチン

感染症を予防するには、自分の免疫力を高めることが大事です。ワクチンは、感染症を予防することができる有効な手段です。国際マスギャザリング・イベントの前には、ワクチンの接種を検討するとよいでしょう。

おわりに

 皆さまの感染症に対するイメージはどのようなものでしょうか。無関心や無視は困りますが、必要以上の恐怖心もよくありません。「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という故事があります。感染症について正しい知識をもち(彼を知る)、自分を守る対策をとれば(己を知る)、感染症への過剰な恐怖心は和らぐことでしょう。このナビが、国際的マスギャザリング・イベントに参加される方々の感染症予防に役立つことを願います。

監修 加來 浩器(防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症疫学・制御研究部門 教授)