細菌性食中毒
-カンピロバクター感染症-
カンピロバクター属菌で汚染された鶏肉(生または加熱不十分)などを食べる
ことで感染し、下痢や嘔吐などの胃腸炎症状があらわれる感染症です。
症状
- 下痢(水のような便、粘液便)、血便、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱
(38度前後)、頭痛、寒け、体のだるさなどがあらわれます。 - 下痢は1日に通常2〜6回で1〜3日間続きます。
- 通常治療を行わずに1週間程度で回復します。
- 重症例では水のような下痢が大量に出て、脱水症状が急速にあらわれます。
- 感染してから数週間後に、手足や顔のまひ、呼吸困難などを起こすギラン・
バレー症候群を発症することがまれにあります。 - 乳幼児や高齢者などでは、まれに重症化することや亡くなることがあるため、注意が必要です。
感染経路
- 経口感染、接触感染
- カンピロバクター属菌で汚染された食品(生または加熱不十分な鶏肉、
生野菜など)や水を摂取することで感染します。 - カンピロバクター属菌は動物の腸管内に生息しており、感染したペット
(犬、猫など)と接触することで感染することがあります。 - 殺菌不十分な井戸水、湧き水及び簡易水道水などの水を介して感染することがあります。
予防
- 生肉(鶏肉の刺身、牛レバーなど)または加熱不十分な肉(特に鶏肉)を
食べないようにしましょう。 - こまめな手洗いなどの一般的な予防法を実施することが大切です。
流水による手洗いができない場合には、手指消毒用エタノールなどを利用
しましょう。 - 動物と接触した後は必ず体を洗いましょう。
- ペットを清潔にするよう心掛けましょう。
- 肉(特に鶏肉)は中心部までしっかり加熱しましょう。
- 肉(特に鶏肉)は他の食品と調理器具や容器を分けて調理や保存を行い
ましょう。 - 肉(特に鶏肉)を取り扱った後は、調理器具の洗浄・殺菌と手洗いを行って
から他の食品(特に生野菜)を取り扱うようにしましょう。 - カンピロバクター属菌は乾燥にきわめて弱いため、調理器具は洗浄・殺菌後
よく乾燥させましょう。
治療
- 自然治癒し、特別な治療を必要としないことが多いです。
- 敗血症など重篤な場合には、対症療法と抗菌薬の投与が行われます。
病原体
- カンピロバクター属菌
- 少量の菌でも感染します。
- 鶏、牛、ペット(犬、猫など)、鳥など多くの動物が保有しており、鶏肉や
鶏の内臓から高頻度で検出されます。
潜伏期間
2~5日
- 文献
- 厚生労働省: カンピロバクター食中毒予防について(Q&A).
- 厚生労働省検疫所 FORTH: カンピロバクター感染症.
- 国立感染症研究所: カンピロバクター感染症とは.
- などを参考にして作成