ウイルス性胃腸炎
-ロタウイルス感染症-

感染力が強く、水のような下痢や嘔吐が繰り返されるウイルス感染症で、冬から春にかけて流行します。
主に乳幼児(0~6歳頃)がかかる病気ですが、成人もかかります。
5歳までにほぼ全ての人が感染し、乳幼児における重症急性胃腸炎の主な原因と
なっています。

症状

  • 通常、最初に発熱(39度以上の場合もある)、嘔吐といった症状があらわれ、
    1~2日後に水のような下痢を認めます。
  • 下痢や嘔吐が繰り返し起こった後、重い脱水症状が数日間続くことがあり
    ます。
  • 便が白くなることがあります。
  • 多くは2~7日で治ります。
  • 脱水症状がひどくなるとけいれん、意識の低下、脳症、肝機能異常、急性腎
    不全、心筋炎などの合併症が起こることがあり、時には死に至ることもあり
    ます。
  • 新生児(生後1か月まで)は、一般的に症状が出ないことが多いです。
  • 乳幼児は、激しい症状が出ることが多く、特に初めて感染したときが最も
    重症化しやすいです。
  • 感染を繰り返すごとに症状は軽くなっていきます。
    成人は何度も感染しているため、ほとんどの場合、症状が出ません。

感染経路

  • 主に経口感染、接触感染、飛沫感染
  • 感染者の便には大量のウイルスが含まれています。
  • 感染力が非常に強く、10~100個程度のごくわずかなウイルス量でも体内に
    入ると感染します。
  • 感染者の便を処理した後、たとえ十分に手洗いをしても、手や爪に数億個
    ものウイルスが残っていることがあり、ウイルスで汚染された手から口に入ることで感染します。

予防

  • ロタウイルスワクチンは小児の定期接種ワクチンで、重症化の予防が期待
    されます。
  • 感染力が非常に強いので、感染を完全に予防することは難しいです。
  • こまめな手洗いなどの一般的な予防法を実施することが大切です。
    せっけんで30秒以上もみ洗いしましょう。
  • 嘔吐や下痢などの症状があらわれた場合は、早めに申し出ましょう。
  • 衣類が便や吐いた物で汚れたときは、次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液
    (家庭用塩素系漂白剤)でつけおき消毒した後、他の衣類と分けて洗濯
    しましょう。
    アルコールなどの消毒薬ではあまり効き目がありません。
  • オムツを交換するときには使い捨てのゴム手袋などを使い、捨てる場合は
    ポリ袋などに入れましょう。
  • トイレを衛生的に保ちましょう。
  • 加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱しましょう。
  • 加熱せずに食べるものは他の食品と調理器具や容器を分けて調理や保存を
    行いましょう。

治療

  • 脱水、体力消耗を防ぐために水分と栄養の補給が行われます。
    脱水症状がひどい場合には、点滴などが行われます。
  • 下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが
    望ましいです。

病原体

ロタウイルス

潜伏期間

1~3日

文献
厚生労働省: 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版).
厚生労働省: ロタウイルスに関するQ&A.
国立感染症研究所: ロタウイルス感染性胃腸炎とは.
国立感染症研究所: 令和元年台風第19号関連・地域の感染症発生状況と感染症対策について
(2019年10月18日現在).
などを参考にして作成

関連リンク

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  • ボランティアの方の感染症対策