プレッシャーの先には成長がある。社会の安心を創る研究者の挑戦
2024年10月21日公開
「医薬品を通じ、直接社会に貢献したい」と、塩野義製薬に入社したR.T.さん。入社4年目にして、コロナ治療薬やワクチン事業の研究開発に携わり、さらに基礎研究での学術論文投稿、国際学会での発表など、社内外で幅広く活躍しています。
困難をバネに成長を続けるR.T.さんに、塩野義製薬での仕事と業務に対する想いについて話していただきました。
失敗を恐れずに挑戦できる環境が整っているから、想像以上の成長ができる。
―塩野義製薬での仕事を通じて感じる魅力は何でしょうか?
一言であらわすなら「成長」です。入社して3年半ほどで、コロナ治療薬『エンシトレルビル』や塩野義製薬発のワクチンの研究開発、共同研究結果の国際学会での発表など、非常に大きな仕事を任せていただいています。年齢に関係なく挑戦できる風土があり、周りも上昇志向が強い方が多いので、「私もどんどん成長しよう」という気持ちになります。
その結果、現在私は仕事と大学院への通学を兼任していて、それは上長からのアドバイスがきっかけでした。「他者を惹きつける強みを持つ」ためにどうすればよいか真剣に考えた結果、業務外でも挑戦することを決めました。以前は帰宅後に家でダラダラと過ごしてしまうこともありましたが、今は毎日が充実していて、自身の着実な成長も実感できています。
困ったらすぐに周囲に頼れることも、塩野義製薬での仕事の魅力です。仕事は一人で完結できるものではないし、特に経験が浅いうちの独断はミスを招きかねない。塩野義製薬では全員がそれぞれ尖った強みを持っていて、積極的にお互いを助け合う文化がある。こうした環境に身を置くなかで、「一人で背負い過ぎず、困ったら助けを求める」という教訓が得られました。
プレッシャーはある。でも、周りの期待が何よりの原動力。
―入社後は、どのような業務に携わりましたか?
最初のプロジェクトは、エンシトレルビル。試験法の設定や安定性試験を一部担当しました。当時の課題は、最速での臨床試験入り。締め切りが「何日まで」を飛び越えて「何日の何時まで」と厳密に決められていたのです。目も回るような忙しさとプレッシャーをひしひしと感じたものの、「社会から求められている薬」だと強く実感しました。
緊急承認から数か月後に私自身がCOVID-19に罹患し、エンシトレルビルを服用することに。罹患は不幸なことでしたが、「こうして私が開発に関わった薬を飲むとは」と、感慨深いものがありました。
もう一つ、私のキャリアで印象深い瞬間は、ワクチン『遺伝子組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン』の承認申請を行い、承認された瞬間です。試験法設定や特性解析、安定性試験、製造委託先管理、技術移転、申請資料作成、照会事項対応、GMP適合性調査対応など、一通りの業務を経験しました。
ここでの課題も、「最速で達成する」「安定性を向上させる」ことでした。私個人としても『アジュバント(ワクチンと共に投与する物質)』の分析を任され、品質と安定性の向上というとても大きな課題に向き合うこととなりました。
ここでもプレッシャーにさらされる毎日。同時に家族や友人から「ワクチンはいつできるの?」と聞かれることもあり、「その分期待されているんだな」と感じました。すると重荷だったはずのプレッシャーがやりがいに変わり、仕事への意欲が高まりました。
「強み」を活かし、「強み」を増やし、塩野義製薬と社会に貢献していく。
―R.T.さんの「強み」とは?
まず私の強みは、「タンパク質の研究に関する専門性」です。所属先の分析評価研究所では、新しいバイオ医薬品を創製するために動いていて、私は様々な分析法で探索研究に携わっています。
私が得意とする質量分析は、「タンパク質の複雑な構造を分析する」「多種多様な品目を分析する」ことが可能であり、「前処理」・「分析」・「解析」など一つひとつの場面への緻密な処理もできる方法です。これらの技術は学生時代の研究や業務を通じた知識と経験から来ているものであり、日々磨かれていると自負しています。
塩野義製薬での経験も、私にゆるぎない強みを与えてくれました。入社後2年間でワクチン事業のスタートからゴールまで関わるなかで、分析以外の業務への対応を、「限られた時間の中」で求められたのです。
この経験は私の強みとなり、「申請を目的に研究をするなら、どんな流れを重視するか?」「こういうケースではどんなポイントを押さえるか?」など、先を見据えた見方が身につきました。「探索だけやっていたら、この強みとは出会えなかったな」と思いますし、現在の仕事にも活かされています。
「感染症にならない」理想の世界を創る、一員になりたい。
―今後のビジョンについて話してください。
新たな変異株へ対応できるユニバーサルコロナワクチンや経鼻から投与可能なインフルエンザワクチンなど、社会的なニーズをもっと満たせるワクチンの開発に取り組みたいです。コロナ治療薬も非常に心強いですが、一般社会の本音としたら「感染症にかからない」ことが理想ではないでしょうか。
そのためにも、新たな変異株にも対応できるユニバーサルワクチン、身体への負担が少ないうえに防御効果を高められる経鼻ワクチンが必要です。だからこそ、今後の仕事で挑戦し、感染症があってもみんなが安心できる社会を創り上げたいです。
この目標を達成するために社内での研究活動に加え、大学院で博士号取得のために尽力しています。私の強みである「タンパク質の分析に関する専門性」を世界レベルに伸ばし、新たな仕事で発揮したいと考えたからです。また、国際学術誌への論文受理の達成や学会での招待講演も果たし、自己研鑽を着々と進めています。
人も組織も成長させる、マネージャーになりたい。
―最後に、SHIONOGIにとってどんな“人”でありたいですか?
将来的にはマネージャーを目指しています。リーダーでもありディレクターでもある、そんなマネージャー像を描いています。かつて私が先輩や上司に育ててもらったからこそ、私も後輩の成長を支えたい。後輩たちが業務や課題を遂行していく姿は、私にとって大きな喜びなのです。
組織の垣根を越えた課題解決にもチャレンジしたいです。製薬企業の開発研究では製薬研(原薬のプロセス開発)、製剤研(製剤処方設計)、分析研(分析法開発・品質評価)などの業務がありますが、今まで以上にお互いの知見や経験を効果的に共有することでさらに良い相乗効果が生まれると思います。分析研の技術ももっと活かし、製薬の課題解決につなげて、塩野義製薬の可能性を広げる要素となりたいです。