SHIONOGIグループの重要課題(マテリアリティ)

SHIONOGIグループは事業活動を通じて社会課題や医療ニーズに応え、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しています。そのために事業のリスクや機会、自社の現状や課題を踏まえて優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
さらに、SHIONOGIは中期経営計画STS2030をSTS2030 Revisionへと改訂するにあたって、社内外の環境変化からSHIONOGIにとってのリスクと機会、その時間軸の分析・評価を実施し、対応すべき重要課題(マテリアリティ)の見直しを行いました。マテリアリティを「顧客・社会に新たな価値を創出するために取り組む重要課題」「顧客・社会への負の影響を軽減するために取り組む重要課題」「持続可能な社会の実現とSHIONOGI の成長を支える重要課題」の3つに分類したことで、対応方針を検討する際の考え方やより実効性のある具体的行動を明確化でき、より推進力のある取り組みにつながっていくと考えています。
私たちは将来にわたって人々の健康に貢献する「価値」を提供し続けることで、社会とともに成長することの重要性を絶えず認識し、これらの重要課題にグループ一丸で取り組んでいきます。

❶ 顧客・社会に新たな価値を創出するために取り組む重要課題

重要課題 主な取り組み 主な関連指標・評価軸
感染症の脅威からの解放

急性感染症に対する製品・サービスの提供

 

 

 

● 急性感染症関連パイプライン数

● 重症感染症関連パイプライン数

● 重症感染症におけるPull型インセンティブの採用国数

治療に長期間を要する感染症に対する製品・サービスの提供

● HIV 関連製品パイプライン数

● カボテグラビルによるQOL改善への貢献

● 抗マラリア薬等の開発

ワクチンビジネスの構築

● COVID-19ワクチンの提供

● 次世代ワクチンの開発

健やかで豊かな人生への貢献 アンメットメディカルニーズの高い疾患領域に対する製品・サービスの創出

● 精神・神経疾患治療のパイプライン数

● 疼痛治療パイプライン数

● がん領域パイプライン数

● その他社会的影響度の高いQOL疾患に対する製品・サービス数

疾患特性、当事者の抱える困りごとに対する社会理解促進に資する疾患啓発

● Webセミナーなどを活用した啓発活動の実施数

● 発達障がい領域における支援サービスの提供数

持続可能な社会保障への貢献

医療アクセスの向上

医薬品とは異なるソリューションの提供 ● ソリューションの数、パートナリング数
セルフメディケーションの推進 ● OTC 医薬品の品目数・売上実績
入手しやすい環境の整備

● エンシトレルビルの提供国数

● GARDP、CHAIとの提携を通じたセフィデロコルの提供可能国数

● WHO必須医薬品リストへの掲載

● ヴィーブ社によるドルテグラビル、カボテグラビルの提供国数

ヘルスケアシステムの強化

● 妊産婦・授乳婦および 5 歳未満児の健康の改善

● 自立的な保健サービスの運営

❷ 顧客・社会への負の影響を軽減するために取り組む重要課題

重要課題 主な取り組み 主な関連指標・評価軸
責任ある製品・サービスの提供

製品サービスの安定供給

● 需給バランスの変化を捉え、欠品を起こさないための調達・生産・流通の管理

● 安定調達の実現に向けたサプライヤーとの定期/非定期協議の実施

● 製造委託先との関係性強化および事業継続計画(BCP)体制維持に向けた支援

法令遵守およびモニタリングの強化

● 医薬品の製造販売に係る法規制・ガイドラインの遵守徹底

人権の尊重

人権課題への対応

● 現代奴隷法に基づく声明文の表明

● 人権インパクトアセスメントの実施

環境への配慮 気候変動・温室効果ガス(GHG)の排出量削減

● TCFDに基づく情報開示

● 2030年度:スコープ1+2を46.2%、スコープ3のカテゴリー1を20%削減(2019年度基準)、2050年度:排出ゼロの達成

AMR・抗菌薬の製造過程における環境への影響の軽減 ● 2030年度:サプライチェーンを含めた適正管理(監査のフォローアップ完了)

❸ 持続可能な社会の実現とSHIONOGIの成長を支える重要課題

重要課題 主な取り組み 主な関連指標・評価軸
成長を支える人材の確保 競争力のある多様な人材の確保

● 必要なスキル要件の明確化

● 競争力のある報酬制度

● 社内公募活用人数

● キャリア採用者数

尖った強みを持つ人材の育成

● 人材育成状況のモニタリング強化

● 教育研修費

● 自己投資支援制度利用者率

● 副業制度の申請者数

誰もが働きやすい環境・風土の醸成

● 継続的な働き方改革の実施と従業員コミュニケーションの活性化

● 経営理念の浸透度

● 女性マネジャー比率  

● 育児休業取得率

健康経営の推進(健康管理・労働安全衛生)

● 健康診断受診率

● ストレスチェック 高ストレス者割合

● 喫煙率

● 度数率

● 強度率

サプライチェーンマネジメントの強化 重要サプライヤーの特定およびサプライヤーのサステイナビリティ評価

● 2022年度質問票または EcoVadisによるアセスメント

● EcoVadis 評価企業数

● 設定した基準を満たすサプライヤーの割合

サステイナビリティ課題に関する面談、説明会

● 調達に関する行動規範に同意するサプライヤーの割合

● 面談、説明会による働きかけを実施した会社数

コンプライアンスの遵守

国内コンプライアンス体制の強化

● 管掌コンプライアンス委員会の設置

● 国内外のコンプライアンス推進組織との連携強化

ガバナンスの強化

 

実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制

● 第三者評価機関による実効性評価

● スキル・マトリックスの見直し

リスクマネジメントの強化 ● 全社リスクを事業戦略上のリスクと事業遂行上のリスクに分類

特に貢献するSDGs

SDGs_3_8_9_12_17

重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス

課題の抽出

STEP1:機会と脅威の評価

社内外の環境変化に対する認識をもとに整理

ー 社会、事業、社内の3軸で評価

ー ISO26000やESG開示基準の観点を考慮

課題の抽出

STEP2:分類

意味合いから価値創出、負の影響の軽減、基盤の3要素に整理

マテリアリティの特定

STEP3:抽出された事項の優先順位付け

3要素ごとに影響度と発生可能性の2軸で評価

ー 影響度:ステークホルダーエンゲージメントから得た期待値を考慮

ー 発生・実現可能性:時間軸を考慮

マテリアリティの特定

STEP4:取締役会での承認

経営会議での議論を経て取締役会にて承認

リスクと機会

SHIONOGIグループの重要課題(マテリアリティ)特定にあたり、社内外の環境変化からSHIONOGIグループにとってのリスクと機会の分析、評価を行いました。今後も継続的にSHIONOGI が社会に与える影響と社会がSHIONOGIに与える影響を評価し、取り組みに反映させることで課題解決に向けた活動を推進していきます。
環境変化/社会ニーズ  
社会・ヘルスケア業界を取り巻く環境の認識 リスク/機会

■ COVID-19の世界的流行とその後の生活様式の変化

■ 企業の社会的責任範囲のさらなる拡大

■ 先進国の高齢化、新興国の台頭

■ 未来を担う子どもたちへの投資の加速

■ ヘルスケア産業の構造変化

■ 医療へのアクセス制限

■ 国際情勢の不安定化

■ デジタル化などの技術革新/技術進化・データ活用の発展

■ 医療用医薬品の世界市場の成長と日本市場の縮小

■ 地球温暖化

リスク

● 衛生意識の高まりに伴う感染症治療薬市場の縮小

● 自社および調達先による下記事象に伴う人権侵害、安定供給・事業遅延・継続リスク/信用力低下

 ・地域社会との関係悪化

 ・人権問題、環境問題、コンプライアンス・ガバナンス上の問題の発生

● 情報セキュリティリスクの上昇

 

機会

● 温暖化による感染症のグローバル化

● 世界的な感染症対策への期待と需要増加

● すべての世代のウェルビーイング実現と社会参画への需要増加

● 予防・未病・セルフメディケーションニーズの向上と市場の拡大

● 医療アクセスの促進

● 技術革新によるソリューションの創出

● 自社および調達先による下記事象に伴う安定供給の実現、顧客満足信頼性の獲得

 ・安定供給・品質保証の継続改善

 ・人権、環境への配慮

社内環境の認識 リスク/機会

■ SHIONOGI Group Vision実現に向けたTransformation

■ 働き方改革の推進

■ パイプライン数、研究開発進度の偏り

■ ロイヤリティービジネスへの高い依存

■ パテントクリフリスクの低下

リスク

● 破壊的イノベーションによる既存のビジネスモデルの崩壊

● Transformation の実現を担う人材の不足

● 新興国市場における打ち手不足による機会損失

● 創薬ハードルの上昇、研究効率の低下

● 生産性の低下/人材流出

 

機会

● 特許に依存しないビジネスの構築

● 従業員のTransformationへの意識向上によるイノベーション創出・変化対応力の強化

● 多様な人材が活躍できる環境拡大による人材確保