シオノギは、「シオノギグループリスクマネジメントポリシー」に基づき、自然災害、火災・爆発等の事故、感染症の流行、テロ行為等、事業の継続性に影響を及ぼすリスクへの対応として社内の体制整備を推進し、グループ全体の事業継続に向けた強化を図っています。

COVID-19 への対応

シオノギでは、政府の緊急事態宣言発令に先立って中央対策本部を設置し、BCP(事業継続計画)に沿って迅速な意思決定と対策の実施に努めました。BCPについては、2019年度中にグループ会社を含む全組織で震災用BCPとともにパンデミック用BCPを全面的に改訂しました。また、COVID-19感染流行に応じた期中見直しも行いました。

BCPに沿った迅速、適切な対応により、全社的な事業の継続に影響を及ぼすことはありませんでした。

緊急事態宣言下では、ITインフラ整備の強化を含む在宅勤務環境を整え、多くの従業員が在宅勤務へと円滑に移行しました。出社を必要とする従業員については、マイカー通勤や時差出勤、検温などによって感染リスク低減を図りながら、医薬品の安定供給やCOVID-19に関する研究開発など、製薬企業としての責務を果たすための業務を継続して遂行しました。また、国内外の重要な製造委託先メーカー/サプライヤーなどと緊密に連携し、医薬品の安定的な供給に努めました。

COVID-19 を踏まえ、さらなる強靭な体制を整備

 シオノギが目指すのは、感染症を主領域とする創薬型製薬企業として感染症に対峙しつつ、パンデミックをはじめとするあらゆる脅威に対し、レジリエンスがある会社です。今回、COVID-19への対応として事業を継続する中で明確となった様々な課題に対して対策を講じ、第2波・第3波の感染拡大においても事業継続における万全な体制を整えることで、社会活動・経済活動の持続可能性(サステイナビリティ)のバランスを取りながらステークホルダーに対し責任を果たしていきます。

 具体的には、今回の対応を詳細かつ綿密に振り返ることで、COVID-19の再拡大および新たなパンデミックの発生に対しても柔軟に対応できるよう、BCPを見直していきます。さらに、BCPをもとにシミュレーション訓練を重ねることで、より実効性の高いBCP体制を構築していきます。

また、これと並行して、より堅牢なITシステムの構築も進めていきます。

経営計画達成に向けたリスクマネジメント

 2020 年度にスタートした新中期経営計画(STS2030)では、ビジネスモデルの転換や新プラットフォームサービスの構築を目指しており、今後、その変革過程において事業の不確実性が高まることが想定されます。社内外の急激な環境変化に対応できなければ、STS2030の達成はもとより、事業の継続性に影響を及ぼすことも懸念されるため、関連するリスクの洗い出しに注力しています。また、様々な情報が部門・組織より迅速に経営層へ報告される仕組みの構築と風土の醸成に努めています。

 その一環として、経営戦略本部長を責任者とする経営戦略会議内に、シオノギグループのリスクマネジメントを統括する専門会議体である「リスクマネジメント部会」を設置しています。2019年度には、リスクの集約・識別を行うとともに、その分析・評価の透明化を進めました。2020年度には、引き続きリスクの特定を進めるとともに、対応策の精緻化や、経営層によるリスクのモニタリング・レビューサイクルの強化に努めます。

 また、STS2030の達成を阻害するリスクは多種多様であることから、これらに対処していくにふさわしいものとするため、「リスクマネジメントポリシー」の見直しも進めていきます。

リスクマネジメント体制図

リスクマネジメント体系図.png

主な事業等のリスク

シオノギの事業に影響を及ぼす可能性のある主なリスク項目およびその概要は次の通りです。

リスク項目 概要 対応
制度・行政に関するリスク

・薬価基準の改定を含む医療費抑制策、医療保険制度の改革など行政施策の動向による影響

・医薬品の開発、製造等に関連する国内外の規制の厳格化による追加的な費用の発生や製品が規制に適合しなくなる事態

・革新的な新薬の社会が許容できる価格での提供

・創出したイノベーションの価値を示すエビデンスの構築

・ 業界団体活動を通じたイノベーション価値を訴求する取り組み

・ 規制等への不適合から研究開発の遅延や事業機会の損失を防ぐ最新情報の入手と変化への適切な対処

医薬品の副作用等に関するリスク ・医薬品の市販後の予期せぬ副作用等による販売中止、製品回収等

・副作用情報などを適切に伝えるシステムの構築

・ 副作用等の拡大や被害の抑制につながる、全従業員教育の実施

・副作用等に基づく医療被害補償の保険加入

医薬品の研究開発に関するリスク ・医療用医薬品の研究開発における多大な経営資源の投入および新薬が売上となるまでの様々な不確実性の存在

・疾患領域の強みと低分子創薬の基盤を活かした効率的な創薬研究の展開

・ グローバルトップレベルの研究開発の生産性維持・向上

・新たな成長領域の育成、創薬確率の向上に向けた低分子以外の中分子医薬や抗体医薬の創薬技術の構築

・ 注力する創薬プログラムや開発化合物の明確化と経営資源の集中的投下

・アライアンスの活用によるペプチド医薬、ワクチン等の技術の獲得および外部との協創に必要な経営資源の確保

・研究開発データに基づく厳格な見極めと開発可否判断、化合物の導入・導出による研究開発の加速

知的財産に関するリスク

・創製した医薬品の知的財産が十分に保護できない恐れや第三者の知的財産権の侵害

・創製した医薬品の知的財産満了および後発品の発売による影響

・知的財産権の適切な管理体制の強化

・ 事業活動における侵害予防調査および導出入における知財デューデリジェンス実施による侵害予防の体制強化

特定製品への依存に関するリスク ・主力品目における薬価改定や競合品の出現、流行の規模、知的財産権の満了およびそれに伴う後発品の発売、その他予期せぬ事情による売上減少や販売中止

・薬価制度や競合状況の最新情報に基づく製品群の市場投入や契約見直し

・イノベーション創出の重要性と価値の訴求を図る業界団体での連携および意見表明等

・医薬品中心から、医薬品を含むヘルスケアサービス全般を提供する事業変革の推進

他社とのパートナーシップに関するリスク ・研究、開発、製造、販売での共同研究、共同開発、技術導出入、共同販売等の他社との提携における契約の変更・解消、提携の遅延または停滞等

・多方面からの分析・評価を行った提携可否の判断

・契約締結時のリスクの想定およびリスク低減の協議と合意形成

・ 提携先とのガバナンス体制構築、提携のリスク把握と解決策の対応

自然災害やパンデミックに関するリスク ・大地震や気候変動に伴う暴風雨、洪水等の自然災害および不慮の事故、パンデミックの発生等による事業所の閉鎖、工場の操業停止、それに伴う製品供給の遅延・停止

・BCP策定と訓練実施や計画の見直し

・サプライヤー監査による環境・安全状況等の確認と改善要求

・製品の安定供給のための原材料調達先分散の検討

環境汚染に関するリスク

・医薬品の研究、製造過程で使用・生成する物質の人体や生態系への影響

・環境汚染やその危害等の顕在化による、施設の一時閉鎖や対策・復旧、法的責任の発生

・環境・安全衛生の統括管理体制および管理規定の設定

・法令遵守およびより厳しい自主管理基準・目標の策定、対応・対策の実行およびそれらの適切性の確認

金融市場および為替動向に関するリスク ・金融市場や為替市場の変動による退職給付債務の増加、海外提携先からのロイヤリティー収入への影響等

・年金資産の複数の運用商品による分散投資

・為替変動リスクに対する為替予約取引の活用

人材確保・育成に関するリスク ・ 雇用情勢、ESG経営への要請の高まり等、ポストコロナ時代を見据えた働き方等を反映した価値観や必要な専門性などの変化に対応できる柔軟性と高い業務遂行能力を持った人材、環境変化を好機と捉えグループ経営を推進できる人材、各事業活動に必要な専門性を持った人材を十分に確保・育成できないことによる影響

・多様な価値観・専門性を持った人材の確保・育成

・ダイバーシティ&インクルージョンの実践

・自己成長の機会や、個の原動力を支える制度・仕組みの強化

・2030年ビジョン実現に資する人材育成やマネジャー教育実施

・社長塾やグループ会社役員への登用による経営幹部育成

訴訟に関するリスク ・医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引などに関して訴訟を提起される可能性

・リスク低減に必要な社内体制の強化

・弁護士や弁理士など専門家との協議による適切な対応

上記以外にも、事業活動に関連して政治的要因・経済的要因のほか、ITセキュリティおよび情報管理等の様々なリスクがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。これらリスクの詳細については有価証券報告書を参照ください。

危機管理体制

シオノギでは、危機管理の基本的な方針である「危機管理規則」に基づき、総合的な危機管理体制を構築するとともに、各種対策要綱やマニュアルを整備し、緊急時に迅速に対応できる体制を整えています。なかでも、甚大な自然災害発生時における従業員の安否確認を危機管理の最優先事項と考え、定期的な安否確認訓練を実施するとともに災害備蓄品の棚卸、中央および事業所災害対策本部体制の見直しを行っています。

事業継続計画(BCP)

危機発生時においては、医療機関への安定的な製品供給やサービスの提供を通じて社会的責任を遂行するために、バリューチェーンごとに事業継続計画(BCP)を策定しています。また、定期的に経営層や各部門を対象とした訓練を実施することで、事業継続に向けた体制構築を図っています。

特に医薬品の安定供給においては、2018年度のシオノギファーマの設立に伴い、BCP体制を見直し、事業継続マネジメントシステムを構築・運用しています。

事業継続マネジメントシステム体系図

体系図

新型インフルエンザ等対策

シオノギは新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年成立)第3条に基づき指定公共機関の指定を受け、重篤な健康被害とこれに伴う大きな社会的影響の発生が懸念される新型インフルエンザあるいは未知の感染症が世界的に大流行(パンデミック)した際に、可能な限り従業員等の感染を防止し、また、職場における感染拡大の防止に努めるとともに、流行期間中においても重要業務の維持に努めることが求められています。シオノギが担っている社会的責任を遂行するため、平成26年「新型インフルエンザ等対策業務計画」を策定しております。

環境リスクマネジメント

シオノギは環境の変化が事業活動に与えるリスクを抽出し、事業への影響を評価したうえで各々の課題への対策を検討し、不測の事態が発生した場合にその被害を最小限にするための管理と対応のレベル向上に取り組んでいます。