薬剤耐性対策を取らなかった場合の2050年の推定死亡者数: 1,000万人超/想定経済的インパクト: 100兆ドル
効果のある抗菌薬が開発され市場に投入されなければ、将来的には現在の感染症治療で用いられている抗菌薬では命を救うことができなくなり、手に負えない状況になる可能性さえあります。
これらのことから、各国政府や保健行政機関は、AMRをグローバル、地域・国レベルでの優先度の高い社会課題として取り上げており、グローバル規模での対応が急務となっています。

WHO、国連によるAMRへの取り組み

WHO Global Action Plan(2015年)

  • 各組織との共同によるWorld Health Assembly
  • 下記5つの目的にしたがったグローバルアクション計画
  1. 1
    AMRに対するawarenessと理解の促進
  2. 2
    サーベイランスや研究成果に基づき、エビデンスや知識を強化
  3. 3
    効果的な公衆衛生、感染予防手段等による感染頻度の減少
  4. 4
    ヒトだけでなく動物保健の観点からも抗菌薬の使用を適正化
  5. 5
    持続的な投資を可能にするための経済的実例の創出

国連ハイレベル会合(2024年9月)

  • 国連総会において、薬剤耐性(AMR)対策の加速を目的とした政治宣言を採択
  • 2019年に推定495万人とされる薬剤耐性関連死亡を、2030年までに10%削減することを目指す数値目標を設定
  • WHOのAWaRe分類に基づき、「Access」抗菌薬の使用割合を世界全体で70%に引き上げる目標を掲げる
  • 低・中所得国における抗菌薬、ワクチン、診断薬への公平かつタイムリーなアクセス確保を推進
  • ワンヘルス・アプローチに基づき、ヒト・動物・環境の分野横断的な国際協力の強化を要請
  • 新規抗菌薬、迅速診断、治療法の研究開発投資を促進するため、新たなインセンティブの必要性を強調

新規抗菌薬開発の優先度が高い薬剤耐性菌(WHO公表)

WHO(世界保健機関)は2017年2月27日、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌の中でも「人類の健康に最も大きな影響を与える」として、新たな抗菌薬開発の緊急性が高い薬剤耐性菌12種類のリストを公表しました。

WHOがこうしたリストを公表したのは今回が初めてで、「薬剤耐性菌が増えており、治療の選択肢が急速になくなっている」と、新たな抗菌薬開発の必要性を訴えました。

リストアップされた12の細菌は、新規抗菌薬開発の緊急性に応じて3つの段階に分類され、カルバペネム耐性を持つ菌種が最も緊急性が高く、重大なクラスに位置付けられています。

優先度(重要)

アシネトバクター・バウマニ カルバペネム耐性
腸内細菌目細菌 第三世代セファロスポリン耐性
腸内細菌目細菌 カルバペネム耐性
結核菌 リファンピシン耐性

優先度(高)

サルモネラ菌 フルオロキノロン耐性
赤痢菌 フルオロキノロン耐性
エンテロコッカス・フェシウム バンコマイシン耐性
緑膿菌 カルバペネム耐性
サルモネラ菌

フルオロキノロン耐性

淋菌

第三世代セファロスポリン耐性

フルオロキノロン耐性

黄色ブドウ球菌 メチシリン耐性

優先度(中)

A群レンサ球菌 マクロライド耐性
肺炎球菌

マクロライド耐性

インフルエンザ菌 アンピシリン耐性
B群レンサ球菌 ペニシリン耐性