コーポレート・ガバナンス体制
当社は、事業のグローバル化や規模の拡大を見据えて統治体制を進化させ、取締役会における代表取締役に対する監督機能をさらに強化し、その上で、取締役会で執行側に委任する事項と取締役会で決議する事項を峻別し、各ステークホルダーとのバランスを重視した中長期的な全社戦略の議論への注力と意思決定の迅速化のための権限委譲を可能にする体制を整えるとともに、内部統制システムの整備・運用を拡充し、監査等委員会がその権限を背景に、内部監査部門を活用しながら、執行側の意思決定プロセス全般をより強力に監視・監督することを目的として監査等委員会設置会社を選択しております。
コーポレートガバナンス体制図

取締役会が取締役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
取締役会が「取締役候補」の指名を行うに当たっての方針と手続は以下のとおりです。
≪方針≫
取締役による業務の執行に対する監督機能の充実を図り、経営の透明性を高め、公平性の高い経営を進めることができるよう、会社業績およびコンプライアンス状況等に加え、多様性の観点から、以下の考え方に基づき、取締役候補者を指名する方針です。
①(独立)社外取締役を半数以上とします。
② 経営に関する経験、法務、財務などの専門的知識、医学・薬学的見地、国際ビジネスに係る知識・経験など様々な要素および取締役会全体のバランスを考慮します。
③ 性別、年齢、国籍、技能等の多様性の確保にも配慮します。
また、取締役の選任にあたっては、上記の観点を踏まえるとともに、別途取締役会が定める選任・再任の基準を満たす者を取締役候補者として指名する方針です。
なお、監査等委員である取締役の選任にあたっては、公正かつ客観的な立場から、適切に意見を述べることができ、経営の健全性および透明性の向上に貢献できる者であり、かつ取締役の職務執行の監査(業務監査)、会計監査人およびグループ会社監査役が実施した会計監査の適正について監査(会計監査)を遂行することから、その役割・責務を果たす上で必要と考えられる適切な経験・能力を有している者、法務に関する知識を有している者、財務・会計に関する適切な知見を有している者を監査等委員である取締役候補者として指名する方針です。
取締役の職務執行に不正または重大な法令違反などがあり、当社グループに多大な損失を生じさせた場合、もしくは業務に支障をきたす事象が生じた場合は、十分に調査した上で、取締役解任の手続きを進めてまいります。なお、代表取締役および役付取締役については、取締役会においてその任を解職します。
≪手続≫
独立社外取締役が過半数を占め、独立社外取締役を委員長とする指名諮問委員会において、公正、透明かつ厳格な審議を行い、その答申を得て、取締役会にて候補者が決定されます。また、監査等委員である取締役の場合は、監査等委員会の同意を得ます。
取締役会
監査等委員でない取締役を6名、監査等委員である取締役を5名の体制とし、11名中3名を女性とし、外国籍の取締役1名を含めて多様性の確保に努めております。取締役11名のうち過半数である7名の社外取締役の選任により、より公正かつ効率的な経営を進めるための体制を維持し、社外取締役7名は、いずれも独立役員として当社の果たすべき企業責任を認識し、透明性の高い経営に貢献します。取締役会の議長は取締役 安藤圭一、監査等委員会の委員長は取締役 後藤順子であります。なお、監査等委員会設置会社移行前の2024年度においては、取締役会は社内取締役2名および独立社外取締役4名の6名で構成され、安藤取締役が議長を務めており、原則月1回で13回開催しております。具体的には、コーポレート・ガバナンスや全社リスクマネジメント、重要な契約締結などの経営に影響を及ぼす重要事項の意思決定を行い、また、コンプライアンス活動や各業務執行部門の業務執行の進捗状況などの報告を受けることで、職務の執行の監督を行っております。なお、いずれの取締役会においても取締役および監査役の出席率は100%であります。さらに、公正な見地から当社の経営判断に臨み、取締役としての人材の適性、経営に及ぼす影響、職務や対価の妥当性等について多角的に検証するため、取締役会の諮問機関として、指名諮問委員会(社外取締役5名、社内取締役2名により構成)と報酬諮問委員会(社外取締役5名、社内取締役2名により構成)を設置し、社外取締役が各々の委員長に就任しています。
監査体制
取締役および各組織が実施する業務の適法性、妥当性を確保するため、監査等委員会および内部監査部門である内部統制部が適宜連携して職務の執行状況の監査を実施し、代表取締役との意見交換および取締役会への報告を通じて、必要な措置を講じる体制を構築しております。監査等委員会は、常勤の監査等委員である取締役2名、監査等委員である社外取締役3名で構成され、後藤取締役が委員長を務めております。監査等委員会は、「監査等委員会監査等基準」に則った業務監査、会計監査を通じて、取締役および各業務執行責任者の実施した業務の適法性、妥当性についての検証を行うこととしており、会計監査人から会計監査の内容について報告を受けるとともに、意見交換を実施する等の対応を行うこととしております。また、常勤の監査等委員である取締役は経営会議などの重要な会議に出席し必要な意見を述べており、新たに設立された監査等委員会室と共に、監査等委員会での審議の充実を図っております。さらには、内部統制部からも内部監査の内容について定期的に報告を受けるとともに、意見交換を実施する等の体制を構築しつつ、適宜、監査等委員会から指示を行うことにより、監査等委員会、会計監査人、内部監査部門の連携を図ることとしております。なお、会計監査人として、EY新日本有限責任監査法人と監査契約を締結し、会計監査を実施しております。当社の会計監査業務を執行した指定社員たる公認会計士は、北池晃一郎、中澤直規です。
業務執行体制
当社は、激変する事業環境にタイムリーに対応し、機動的かつ柔軟な業務運営を行うため、執行役員制度を導入しております。業務の執行を審議する機関として、社内取締役および業務執行の責任者にて構成される経営会議を設け、原則毎週開催しております。経営会議では業務の執行に関する案件から経営の重要事項にわたって審議を尽くしております。業務の執行は、研究開発に携わる創薬研究本部、製薬技術研究本部、医薬開発本部、医薬品の情報伝達を行う医薬事業本部、ヘルスケアに係る情報の収集分析を行い、製品価値・企業価値の最大化を図るヘルスケア戦略本部、新たな事業基盤であるワクチン事業の確立・推進を行うワクチン事業本部、最適な経営資源の配分と活用に向けた全社戦略立案を担う経営戦略本部、ステークホルダーズとのエンゲージメントの強化を担うサステイナビリティ経営本部、IT/デジタル技術によるデータ活用基盤を構築し、ヘルスケアソリューションの創出を目指すDX推進本部および信頼される品質の製品・サービスの提供のためコンプライアンス遵守体制の強化を担う信頼性保証本部の10本部からなる業務執行体制を構築しており、また、これらの本部を4つの主要なバリューチェーン毎に管掌する体制を敷いております。業務の執行にあたっては、経営会議において十分に審議を行い、経営に大きな影響を及ぼす事項については取締役会で意思決定を行っております。
取締役会全体の実効性の分析・評価結果の概要
監査等委員会設置会社移行前の2024年度の取締役会全体の実効性につきまして、当社が制定した「コーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方」に基づく「6.取締役・取締役会(1)体制、(3)役割・責務、(6)運営」を中心に、各取締役・監査役に対するアンケートおよびヒアリングを実施し、取締役会におきまして分析・評価いたしました。
その結果の概要は以下のとおりです。
1.体制について
専門性や経験を含む様々な要素および多様性の観点から、新たに外国人や女性の取締役候補を選出するなど、現時点で必要な体制は確保されていると評価しておりますが、将来に向けた課題として、当社ビジネスの拡大・変化を踏まえ、グローバル化への対応、専門性も含む多様性の観点およびサクセッションの観点から、次期後継者候補の選任、取締役候補の育成・選出のための人材プールの拡充の必要性などが挙げられました。
今後の事業展開の状況、方向性を踏まえながら、引き続き、さらなる体制の強化を検討してまいります。
2.役割・責務について
経営幹部の育成状況に関する報告およびその監督について、社長のパフォーマンスレビューの実施や執行役員のサクセッションシートの作成・活用など、サクセッションに向けて大きく前進したと評価しております。また、継続して社外役員・社長意見交換会での報告、執行役員および理事(経 営幹部候補)と社外役員との懇談会を開催することで育成状況のモニタリングも実施いたしました。引き続き、コンプライアンスやリスクマネジメントに係る報告を定期的に行い、取締役会で活発な議論を行いました。さらにサステイナビリティや人的資本に関連する事項を複数回提案・報告し、取締役会で審議・決議いたしました。今後の課題として、機関設計変更を踏まえ、中長期の経営戦略などの議論の充実や権限委譲の方向性、取締役会での決議事項・報告事項の峻別について検討していくことが挙げられました。
引き続き、取締役会の役割・責務の充実に向けて検討してまいります。
3.運営について
取締役会での審議のさらなる活性化において、引き続き取締役会の議題における事前説明を定例で開催するとともに、取締役会にて決議された事項について適宜報告を行いました。また、取締役会以外のオフサイトの場を活用し、議論の深化、情報共有の充実を図りました。 今後の課題として、機関設計変更を踏まえた監査等委員以外の取締役に対する情報提供機会の検討が挙げられました。また、さらなる議論の充実に向けて、取締役会での説明方法の検討やより早期の資料提供、取締役会以外の機会の活用などについて意見が出されました。
引き続き、取締役会の運営の充実に向けて検討してまいります。
以上、当社取締役会は、適切に運営されており、実効性は確保されていると評価しております。本評価結果を踏まえ、取締役会のより高い実効性の確保に向けて、継続的に改善を進めてまいります。
コーポレート・ガバナンスの詳細は「コーポレート・ガバナンス報告書」をご参照ください。