当社は、適正な経営判断に基づく職務の執行を推進するため取締役会のモニタリング機能を充実させ、取締役会において経営理念や事業計画などの経営基盤に係る事項に加えて重要な業務執行に係る事項を中心に社外取締役および社外監査役の経営経験や専門知識を活かした審議を行っております。その結果、経営判断が下された事項に対しては執行系の各組織が業務執行の進捗をタイムリーに経営会議や取締役会等に報告する体制を構築しています。これらの業務執行の状況が、適法かつ円滑に実施されているか否かを取締役会が有する監督機能とともに監査役による監査機能と内部監査機能である内部統制部による業務監査を連携させて適正を図るため監査役会設置会社を選択しております。中長期的な経営計画の立案とそれに基づき経営判断を行う「取締役会」、迅速かつ機動的な意思決定により業務を遂行する執行役員を中心とする「業務執行体制」により経営と業務執行を分離させ、それらの経営監督および業務執行を監査する監査役会ならびに会計監査人による「監査体制」が、それぞれ独立した立場でその役割・責務を果たす体制としております。

 

コーポレート・ガバナンス体制図

コーポレート・ガバナンス体制図

取締役会

業務執行に対する取締役の監督機能の一層の充実を図り、経営の透明性をさらに高め、社外の視点からも公平性の高い経営を進めるため、2009年3月期の定時株主総会において社外取締役2名を選任し、2012年3月期の定時株主総会において1名、2022年3月期の定時株主総会においてさらに1名増員いたしました。現在取締役6名体制としており、6名中2名を女性としております。取締役6名のうち半数以上の社外取締役の選任により、より公正かつ効率的な経営を進めるための体制を維持し、社外取締役4名は、何れも独立役員として当社の果たすべき企業責任を認識し、透明性の高い経営に貢献しております。

 

取締役会は、原則月1回開催し、経営に影響を及ぼす重要事項の意思決定を行うとともに、業務の執行の監督を行っております。2022年度においては12回開催され、法令・定款に則り経営判断を要する重要事項に関して適切な意思決定を行っております。なお、いずれの取締役会においても取締役および監査役の出席率は100%です。

 

さらに、公正な見地から当社の経営判断に臨み、取締役としての人材の適性、経営に及ぼす影響、職務や対価の妥当性等について多角的に検証するため、取締役会の諮問機関として、指名諮問委員会(社外取締役4名、社内取締役1名、社外監査役1名により構成)と報酬諮問委員会(社外取締役4名、社内取締役1名、常勤監査役1名により構成)を設置し、社外取締役が各々の委員長に就任しています。

監査体制

取締役および各組織が実施する業務の適法性、妥当性を確保するため、監査役および内部監査機能である内部統制部が必要に応じて職務の執行状況の監査を実施し、代表取締役との意見交換を通じて、必要な措置を講じる体制を構築しております。監査役は常勤監査役2名、社外監査役3名で構成され、監査役は取締役会や経営会議などの重要な会議に出席し、必要な意見を述べるとともに、「監査役監査基準」に則った業務監査、会計監査を通じて、取締役および各業務執行責任者の実施した業務の適法性、妥当性についての検証を行っております。さらに、監査役は会計監査人から会計監査の内容について報告を受けるとともに、意見交換を実施する等の対応を行っております。また、内部統制部からも同様に内部監査の内容について定期的に報告を受けるとともに、意見交換を実施する等の対応を行っており、監査役、会計監査人、内部監査部門の連携を図っております。

 

なお、会計監査人として、EY新日本有限責任監査法人と監査契約を締結し、会計監査を実施しております。当社の会計監査業務を執行した指定社員たる公認会計士は、神前泰洋、中澤直規です。

業務執行体制

当社は、激変する事業環境にタイムリーに対応し、機動的かつ柔軟な業務運営を行うため、執行役員制度を導入しております。業務の執行を審議する機関として、取締役、常勤監査役および業務執行の責任者にて構成される経営会議を設け、原則毎週開催しております。経営会議では業務の執行に関する案件から経営の重要事項にわたって審議を尽くしております。

 

業務の執行は、R&D、ヘルスケア事業、サプライ、コーポレートの4つの管掌を置き、研究開発に携わる研究本部、医薬開発本部、バイオ医薬研究本部を管掌するR&D管掌、医薬品の情報伝達を行う医薬事業本部、ヘルスケアに係る情報の収集分析を行い、製品価値・企業価値の最大化を図るヘルスケア戦略本部を管掌するヘルスケア事業管掌、海外事業展開の戦略的な推進およびサプライ戦略に基づく安定供給を担う海外事業本部を中心としたサプライ管掌、最適な経営資源の配分と活用に向けた全社戦略立案を担う経営戦略本部、人・組織・法規制の側面から企業活動を支援する経営支援本部、IT/デジタル技術によるデータ活用基盤を構築し、ヘルスケアソリューションの創出を目指すDX推進本部および製造販売品目の品質保証等を担当する信頼性保証本部を管掌するコーポレート管掌の、4管掌10本部からなる業務執行体制を構築しております。

 

業務の執行にあたっては、経営会議において十分に審議を行い、経営に影響を及ぼす事項においては、取締役会で意思決定を行っております。

取締役会全体の実効性の分析・評価結果の概要

2022年度の取締役会全体の実効性につきまして、当社が制定した「コーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方」に基づく「6.取締役・取締役会(1)体制、(3)役割・責務、(6)運営」を中心に、第三者評価機関による各取締役・監査役に対するアンケートおよびヒアリングを実施し、取締役会におきまして分析・評価いたしました。

 

その結果の概要は以下のとおりです。

 

1.体制について

専門性や経験を含む様々な要素および多様性の観点から、現時点で必要な体制は確保されていると評価しておりますが、将来に向けた課題として、当社ビジネスの拡大・変化を踏まえ、さらなる多様性およびサクセッションの観点から次期後継者候補の選任、女性および海外事業に精通した取締役の選任の必要性などが挙げられました。

継続して、事業展開の状況を踏まえながら、当社にとって最もよい体制づくりを検討してまいります。

 

2.役割・責務について

経営幹部の育成状況に関する報告および経営幹部の育成状況の監督について、継続して社外役員・社長意見交換会にて報告するとともに、理事(経営幹部候補)と社外役員との懇談会の内容を充実させるべく2021年度から実施方法を改めたうえで3回実施しました。また、コンプライアンスやサステイナビリティに関する活動について複数回、取締役会へ報告するとともに重要事項について決議いただきました。

今後の課題として、将来の成長を見据えた人的資本の活用、DX推進に係る審議の充実や中期経営計画の進捗等に関する報告、リスクマネジメントやサステイナビリティに係る非財務情報の報告などの充実が挙げられました。

引き続き、取締役会の役割・責務の充実に向けて検討してまいります。

 

3.運営について

取締役会での審議のさらなる活性化において、引き続き取締役会の議題における事前説明を定例で開催するとともに取締役会にて決議された事項の進捗について適宜報告を行いました。

今後の課題として、さらなる議論の充実に向け情報提供の拡充、取締役会の支援体制の検討などについて意見が出されました。

引き続き、取締役会の運営の充実に向けて検討してまいります。

 

以上、当社取締役会は、適切に運営されており、実効性は確保されていると評価しております。本評価結果を踏まえ、取締役会のより高い実効性の確保に向けて、継続的に改善を進めてまいります。

取締役及び監査役の報酬等の額

取締役報酬については、株主総会の決議により定められた報酬総額の範囲内において、毎月定額で支給する基本報酬、各事業年度の業績等に応じて決定される賞与及び2018年度から導入した譲渡制限付株式報酬(中期業績連動型、長期型)で構成されております。なお、社外取締役は基本報酬のみとしております。

 

基本報酬については経営環境や世間動向を勘案したうえで取締役の職位や役割に応じた基本報酬テーブルを元に決定しております。

 

賞与は事業年度ごとの業績向上に対する意識を高めるため業績指標(資産売却等を除くコア営業利益、連結当期純利益、その他取締役としての総合業績評価)を反映した現金報酬とし、短期的なインセンティブとして各事業年度の目標利益の達成等の業績に応じた算定テーブルに基づいて決定し、毎年6月に支給されます。

 

株式報酬については、各取締役の職位や役割に応じた付与テーブルに基づいて毎年7月に付与されますが、特に中期業績連動株式報酬では、STS2030 Phase 1(2020~2024年度)のうち2020~2022年度の3年間の付与分に対して2022年度の達成状況から売上収益、海外売上高、コア営業利益、ROE、当社を含む同業他社12社中の株主総利回り順位(相対TSR)を定量的指標として用い、ESG・コンプライアンス及び新型コロナウイルス感染症関係の開発状況を考慮して業績評価を実施し、譲渡制限解除の割合(100%~0%)を決定します。また、譲渡制限解除時に金銭報酬として譲渡制限解除時の株価換算による株式報酬額の50%を支給します。

 

業務執行取締役の報酬種類別の割合については、当社と同程度の事業規模や関連する業種・業態に属する企業をベンチマークとする報酬水準を踏まえ、報酬諮問委員会において検討を行い、取締役会は報酬諮問委員会の答申内容を尊重し、当該答申で示された種類別の報酬割合となるよう報酬制度等の内容を決定しております。その決定方針については、「取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針」に記載のとおりです。また、2021年2月22日開催の取締役会決議に基づき、基本報酬及び賞与の個人別報酬額等の決定については最高経営責任を持つ者による評価及び決定が適切であると考えることから、代表取締役会長兼社長CEO手代木功に委任されており、報酬諮問委員会は、委任するにあたっての方針・基準を審議し、その結果を取締役会に答申し決議を受けるとともに、委任を受けた代表取締役会長兼社長CEO手代木功は、当該答申並びに取締役会決議の内容に従って決定をしなければならないこととしております。

 

なお、報酬等の種類ごとの比率の目安は、より業績を重視し株主さまの視点に立つよう、2021年度から中期業績連動株式報酬テーブルの改定を実施した結果、KPI100%達成を前提として、基本報酬:業績連動報酬等:非金銭報酬等はほぼ1:1:1となるよう制度設計しております。(注)業績連動報酬等は、役員賞与であり、非金銭報酬等は、譲渡制限付株式です。

 

この結果、当事業年度の基本報酬の割合は、当期利益目標の達成状況や株式報酬における株価の影響もあり、33%程度となっております。

 

監査役報酬については、株主総会の決議により定められた報酬総額の範囲内において、毎月定額で支給する基本報酬に一本化しております。当社の報酬諮問委員会は取締役会の諮問機関として構成メンバー6名の過半数を社外取締役が占め、社外取締役が議長を務めております。役員報酬については、同委員会において十分な審議を行っており、また、取締役及び執行役員の報酬等に関する諸課題を検討するとともに報酬等の水準を毎年確認し、次年度の報酬体系、業績評価制度等を審議しております。

取締役報酬の構造

取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針

1.基本方針

当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針とする。具体的には、業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬等(金銭報酬としての賞与)及び株式報酬により構成し、監督機能を担う社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみを支払うこととする。

 

2.基本報酬(金銭報酬)の個人別の報酬等の額の決定に関する方針(報酬等を与える時期または条件の決定に関する方針を含む。)

当社の取締役の基本報酬は、月例の固定報酬とし、役位、職責に応じて当社の業績、従業員給与の水準、他社水準をも考慮し設定した基本報酬テーブルに基づき、決定するものとする。

 

3.業績連動報酬等並びに非金銭報酬等の内容及び額または数の算定方法の決定に関する方針(報酬等を与える時期または条件の決定に関する方針を含む。)

業績連動報酬等は、事業年度ごとの業績向上に対する意識を高めるため業績指標(KPI)を反映した現金報酬とし、各事業年度の連結営業利益ならびに連結当期純利益の目標値に対する達成度合いに応じて算出された額を賞与として毎年6月に支給する。目標となる業績指標とその値は、中期経営計画と整合するよう計画策定時に設定し、適宜、環境の変化に応じて報酬諮問委員会の答申を踏まえた見直しを行うものとする。

非金銭報酬等は、譲渡制限付株式とし、在籍を要件とする長期型株式報酬制度と業績に連動する中期業績連動型株式報酬の二本立てとする。

長期型株式報酬制度は、報酬諮問委員会の審議を経て取締役会で役位、職責に応じて決定された株式報酬テーブルに基づいて付与個数を決定する。

中期業績連動型株式報酬は報酬諮問委員会の審議を経て取締役会で役位、職責に応じて決定された株式報酬テーブルに基づいて付与個数を決定する。譲渡制限付株式を毎年7月に付与し、STS2030 Phase1(2020~2024年度)のうち2020~2022年度の3年間の付与分に対して2022年度の達成状況から業績評価を実施し、譲渡制限解除の割合(100%~0%)を決める。また、譲渡制限解除時に金銭報酬として譲渡制限解除時の株価換算による株式報酬額の50%を支給する。業績評価については、売上収益、海外売上高、コア営業利益、ROE、当社を含む同業他社12社中の株主総利回り順位(相対TSR)を定量的指標として用い、ESG・コンプライアンスおよび新型コロナウイルス感染症関係の開発状況を考慮して、総体的な評価を報酬諮問委員会にて審議したのち、取締役会にて決定する。

 

4.金銭報酬の額、業績連動報酬等の額または非金銭報酬等の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

業務執行取締役の報酬種類別の割合については、当社と同程度の事業規模や関連する業種・業態に属する企業をベンチマークとする報酬水準を踏まえ、報酬諮問委員会において検討を行う。取締役会(5の委任を受けた代表取締役)は報酬諮問委員会の答申内容を尊重し,当該答申で示された種類別の報酬割合となるよう報酬制度等の内容を決定し、その趣旨に沿って個人別の報酬額を決定することとする。

なお、報酬等の種類ごとの比率の目安は、基本報酬:業績連動報酬等:非金銭報酬等=1:1:1とする(KPIを100%達成の場合)。

(注)業績連動報酬等は、役員賞与であり、非金銭報酬等は、譲渡制限付株式である。

 

5.取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項

個人別の報酬額については取締役会決議に基づき代表取締役がその具体的内容について委任をうけるものとし、その権限の内容は、基本報酬テーブルに基づく各取締役の基本報酬の額並びに各取締役の担当事業の業績を踏まえた賞与の評価配分とする。

報酬諮問委員会は、代表取締役に委任するにあたっての方針・基準を審議し、その結果を取締役会に答申し決議を受けるとともに、上記の委任をうけた代表取締役は,当該答申並びに取締役会決議の内容に従って決定をしなければならないこととする。

なお、株式報酬は、報酬諮問委員会の答申を踏まえ、取締役会で株式報酬テーブルに基づいた取締役個人別の割当株式数を決議する。

報酬諮問委員会は6名の委員からなり過半数を社外取締役が占め、社外取締役が委員長を務める。報酬諮問委員会では上記のほか、取締役及び執行役員の報酬等に関する諸課題を検討するとともに報酬等の水準を毎年確認し、次年度の報酬体系、業績評価制度等を審議する。

 

 

コーポレート・ガバナンスの詳細は「コーポレート・ガバナンス報告書」をご参照ください。