AMRとは抗菌薬への薬剤耐性(Antimicrobial Resistance)のことです。薬剤耐性については、抗菌薬の不適正使用や過剰投与が大きな要因と言われていますが、製造工場から環境への排出も耐性菌を生み出す要因のひとつとして考えられており、様々な面からの対策が重要となっています。

 シオノギは長年にわたって抗菌薬を開発・製造・販売しており、抗菌薬の環境排出に関して適正管理を行ってきました。AMRへの対応は世界的な課題であり、抗菌薬の製造企業として耐性菌の発生を抑制することは必要であると考えサプライヤーも含めて取り組んでいます。

amr_midlong

AMR Benchmark 2020*1へ選定

 シオノギのAMR活動全般が高く評価され、AMR Benchmark 2020*1へ選定されました。特にManufacturing(製造)の項目では、トップスコアである80を獲得しました。

*1 オランダを拠点とするNGO「Access to Medicine Foundation」が薬剤耐性(AMR)に関する取り組み状況を分析、評価した世界初のレポート

  https://accesstomedicinefoundation.org/media/uploads/downloads/5f3f76733efaa_Antimicrobial_Resistance_Benchmark_2020.pdf

amr_industryalliance
amr_fig
amr_fig2
amr_fig3

                                                                           *2 シオノギグループで抗菌薬を製造しているのは金ケ崎工場のみです。

 シオノギグループでは AMR Industry Alliance 活動の一環として、抗菌薬の排出抑制・管理状況の点検をおこなっています。これまでの活動実績として、AMR Industry Alliance が発行した「抗菌薬の排出を管理するための手引き」*3に基づき、抗菌薬を製造する自社工場およびすべての国内サプライヤーの監査を終了しました。2019年度は海外サプライヤーの監査にも着手しました。(表1・2)

 抗菌薬の排出抑制・管理の取り組みとして、抗菌薬を製造する建屋では排水中の抗菌薬の不活化を行った後に社内の排水処理施設に流すことで、自然環境に排出しても影響のないレベルであることを実験室レベルで確認しています。「抗菌薬の排出を管理するための手引き」に従い、実際の工場排水中に含まれる抗菌薬の濃度分析を実施しました。

 金ケ崎工場で製造している5品目中、3品目は環境排出基準値*4を順守していることを2018年度に確認しました。残り2品目については、2019年度に確認し、シオノギグループで製造しているすべての抗菌薬の環境排出基準値の順守が確認できました。また、抗菌薬製造プロセスにおいて、金ケ崎工場から排出される固形廃棄物は全て外部委託業者(エコシステム秋田)に焼却処分を委託しており、固形廃棄物経由での抗菌薬の環境排出はありません。

 サプライヤーについては、国内に製造委託している4品目中、3品目は2018年度に環境排出基準値を順守していることを確認しました。2019年度は新たに、海外に製造委託している3品目中、1品目の製薬サプライヤーの監査を実施しました。環境排出基準値の順守状況が確認できていない品目については継続して確認し、必要に応じた是正処置を行います。今後も年間1~2社程度のペースで、海外サプライヤーの順守状況確認を行う予定です。

*3 <抗菌薬の排出を管理するための手引き>

  https://www.amrindustryalliance.org/wp-content/uploads/2018/02/AMR_Industry_Alliance_Manufacturing_Framework.pdf

*4 工場排水中に含まれる抗菌薬の環境排出基準値は、AMR Industry Alliance が発行する文献*5 に記載のPNEC(Predicted No-Effect

  Concentration)、あるいはEMA ガイドライン記載の基準値(0.01μg/L)のいずれかから採用して設定しています。

  EMA:European Medicines Agencyの略で欧州医薬品庁

*5 https://setac.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/ieam.4141

audit_fig
audit_fig2