• デューディリジェンスのプロセス

    SHIONOGIは、「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)に基づき以下のプロセスで人権デューディリジェンスを実施しています。

人権デューディリジェンスの全体像を示しています。
  • 人権リスクアセスメント

    SHIONOGIでは、ビジネスを通じて影響を与えうる主なライツホルダーとして、「従業員」「患者」「被験者」「消費者」「医療従事者」「サプライヤー」「市民社会」「政府」を認識しています。また、各種人権リスクガイドよりSHIONOGIに関係するグローバルでのリスクを下表の30項目に分類し、ライツホルダーとの関係を整理した上で、NGO・人権専門家とのエンゲージメントを実施、社内の関連部署からの実務上の人権リスクの聞き取りを行うことでリスクの精緻化を進めました。

人権リスクアセスメントのステップを示しています。

分類したリスク30項目

  • 臨床試験の安全性
  • 医療へのアクセス
  • 適正な価格
  • 開発費・開発リスク
  • 医薬品の安全性・副作用・健康被害
  • 偽造医薬品の防止
  • 患者への十分で適切な説明(透明性)
  • 医薬品・医療品の不適切な廃棄
  • エシカル・マーケティング
  • 健康転帰への貢献
  • 公衆衛生・パンデミック対応
  • 人材確保・人材開発
  • サプライチェーンマネジメント
  • 企業倫理・法令遵守
  • プライバシー・個人情報保護
  • 腐敗防止
  • 政府との関係
  • 強制労働
  • 移民労働者
  • 児童労働
  • 差別・機会均等
  • 適正賃金
  • 労働時間
  • 結社の自由
  • 労働安全衛生
  • 苦情処理メカニズム
  • 環境負荷低減・環境影響
  • 有害物質・化学物質管理
  • 天然資源の利用
  • コミュニティ支援(社会貢献活動)
  • 人権インパクトアセスメント

    製品・サービスの安定供給や安全性と品質の確保、ならびに患者さま・医療従事者の皆さまやグループ従業員の人権への尊重・配慮は、我々の重大な責務です。これらのテーマに対しては、すでにグループ内に専任の組織を設置し、適切なマネジメント・サイクルに基づいてリスクに対応しており、継続して重点的に取り組むとともに、サプライチェーン上に存在する以下の 2 点についても、SHIONOGI グループにとっての重要な人権課題であると認識し、インパクトアセスメントに取り組んでいます。

①原材料・素材の製造地域における労働状況

 

重要4品目(セルロース・ガラス・エタノール・アルミニウム)

PSCI※のレポートおよびCRT日本委員会によるデスクトップ調査などから、汎用されるセルロース・ガラス・エタノール・アルミニウムを重要品目と設定し、人権リスク評価を実施しています。これらの重要品目については1次サプライヤーとの面談によるコミュニケーションを通じて人権リスクの把握を進めています。調査方法、進捗については外部専門家の評価を受けており、原材料・素材の調達地域を含めたサプライチェーン全体の人権リスク把握にむけ、1次サプライヤーを通じたコミュニケーションを継続するとともに、状況を注視していきます。負の影響が顕在化した際には外部専門家と連携し、対処・救済を実行します。

※ Pharmaceutical Supply Chain Initiative

重要4品目フロー
  • マレーシアのゴム手袋製造における強制労働

     

     

    2022年8月19日に、CRT日本委員会よりマレーシアのゴム手袋製造における強制労働に関する情報を受け、ゴム手袋購入元の1次サプライヤーへアンケート調査を行い、グループ内の状況を調査しました。

    情報入手:外部専門家よりマレーシアのゴム手袋製造における強制労働および当該製造企業の主要な取引先2社への訴訟に発展している旨の情報入手(2022/8)

    調査開始:自グループ内のゴム手袋の使用状況および直接の購入先を通じての事実確認のアンケート調査(2022/8)

    ・過去に購入歴のある1製品が当該企業の製造にあたることが判明、ただしその後の継続購入は認められず(2022/9)

    外部専門家への報告:外部専門家と面談の上、該当製品の購入があった旨を報告、調査時点での購入、使用がないことから問題がない旨を確認(2022/10)

    調査完了:すべての直接購入先より回答を得、確認できた範囲で当該企業製造のゴム手袋について確認時点での購入がないことを確認(2022/10)

    該当製品の過去の購入実績はありましたが、問題認識時点で購入、使用をしていないことが確認できました。しかしながら当該企業における強制労働の改善状況は引き続き注視していきます。

取り組み 2021年度 2022年度 2023年度 今後の活動

【原材料・素材の製造地域における労働状況】

調査品目(セルロース・ガラス・エタノール・アルミニウム)

・セルロース原料の一つであるユーカリについて、インド農家のインパクト評価

・セルロースについてサプライチェーン上の人権リスクに関する調査

・ガラス・エタノール・アルミニウムについてサプライチェーン上の人権リスクに関する調査・セルロース事例の共有

・当社の購入しているセルロースは、中国・インドなど高リスク国での生産が無いことを確認

・セルロース・ガラス・エタノール・アルミニウムの主要サプライヤーとの直接コミュニケーション

・当社の購入しているガラス、アルミニウム、エタノールにおいて負の影響が顕在化していないことを確認

 

・サプライヤーとの継続した情報共有

・負の影響が顕在化した際に連携して対応

【原材料・素材の製造地域における労働状況】

マレーシアのゴム手袋製造における強制労働

・過去の購入実績あり

・現在購入・使用している製品に該当するものはないことを確認

・継続して問題がないことを確認

・負の影響が顕在化した場合には速やかな調査及び是正

②外国人労働者の労働状況

 

日本における技能実習生の問題を受け、自グループ内および自社工場の常駐業者・業務委託先のアンケート調査、COVID-19の治療薬と予防ワクチンの主要なサプライヤーへのアンケート調査を行い、いずれも技能実習生の受け入れがないことが確認できました。結果については外部専門家から評価を受け、その助言に基づき、COVID-19の治療薬と予防ワクチンは自グループの影響が大きいことから、引き続き調査範囲を拡大し委託先も含めた調査を検討します。

外国人労働者フロー

自社工場の常駐業者・出入り業者の技能実習生調査

会社 技能実習生の受入 人権方針 面談

清掃A社

なし なし なし
清掃B社 なし なし なし
清掃C社 なし なし なし
警備D社 なし なし なし
食堂E社 なし なし なし
緑化F社 なし なし なし
クリーニングG社 なし なし 実施
クリーニングH社 なし なし 実施
クリーニングI社 なし なし 実施
物流J社 なし あり なし

COVID-19関連企業の技能実習生調査

会社 技能実習生の受入 人権方針 面談

治療薬関連会社

0% 50%あり いずれも実施無し
ワクチン関連会社 0% 50%あり いずれも実施無し
2023年度アセスメントの結果、顕在化したリスクはなく、緩和・是正・救済措置は実施していません。
  • 外部専門家からのコメント

    塩野義製薬は、これまで行ってきたUNGPsに基づいた人権デューデリジェンスのプロセスを通じて、原材料・素材の製造地域や国内における外国人労働者の労働状況において懸念すべき人権課題が浮上した際には、ライツホルダーやNGO、有識者等の外部からの要請を反映した外部視点による取り組みを実施できるマネジメント体制を整えてきました。そして、今年度は、自社工場やCOVID-19関連企業での技能実習生調査を実施し、受け入れていないことを確認しました。引き続きサプライヤーなどで定期的に雇用状況の調査を行い、新規で外国人労働者を採用していないかどうかの有無確認をし、ルーティン化した形でのライツホルダーへのエンゲージメントができる仕組みづくりを期待します。

     

    2024年3月22日

    CRT日本委員会 事務局長 石田 寛

社外ステークホルダーとのエンゲージメント

  • 人権専門家とのダイアログ

     

    SHIONOGIは、人権尊重の取り組みについて意見を頂くため、定期的に有識者とのダイアログを実施しています。

ダイアログの様子
ダイアログ

2023年

 

 

ニッポンCSRコンソーシアム主催のステークホルダー・エンゲージメントプログラム※に参画し、NGO/NPOなどの市民社会の方々とのエンゲージメントを通じて「業界毎に重要な人権課題」について検討しました。

※ ステークホルダー・エンゲージメントプログラム | 経済人コー円卓会議日本委員会 (crt-japan.jp)(外部サイト)

 

2022年

ニッポンCSRコンソーシアム主催のステークホルダー・エンゲージメントプログラム※に参画し、NGO/NPOなどの市民社会の方々とのエンゲージメントを通じて「業界毎に重要な人権課題」について検討しました。

※ ステークホルダー・エンゲージメントプログラム | 経済人コー円卓会議日本委員会 (crt-japan.jp)(外部サイト)

 

2021年

2021年度の人権インパクトアセスメントの結果を踏まえ、2021年10月に海外の人権専門家とダイアログを実施しました。

 

・石田 寛 氏(経済人コー円卓会議日本委員会)

・Neill Wilkins 氏(Institute for Human Rights and Business)

・Camille Le Pors 氏(Lead, Corporate Human Rights Benchmark, World Benchmarking Alliance)

 

ニッポンCSRコンソーシアム主催のステークホルダー・エンゲージメントプログラム※に参画し、NGO/NPOなどの市民社会の方々とのエンゲージメントを通じて「業界毎に重要な人権課題」について検討しました。

※ ステークホルダー・エンゲージメントプログラム | 経済人コー円卓会議日本委員会 (crt-japan.jp)(外部サイト)

2020年

2020年度は、SHIONOGIの人権の取り組みを強化するため、2020年10月に人権関連の問題について、海外の人権専門家とダイアログを実施しました。

 

・石田 寛 氏(経済人コー円卓会議日本委員会)

・Gus MacFarlane 氏(Verisk Maplecroft)

・Pauliina Murphy 氏(World Benchmarking Alliance)

 

ニッポンCSRコンソーシアム主催のステークホルダー・エンゲージメントプログラム※に参画し、NGO/NPOなどの市民社会の方々とのエンゲージメントを通じて「業界毎に重要な人権課題」について検討しました。

※ ステークホルダー・エンゲージメントプログラム | 経済人コー円卓会議日本委員会 (crt-japan.jp)(外部サイト)

救済

  • ご相談・通報窓口

    SHIONOGIは、「シオノギグループ人権ポリシー」に則り、すべてのビジネスパートナーの人権を尊重します。あらゆる差別・児童労働を含む強制労働を禁止し、労働者の権利を尊重します。

    従業員をはじめ、お取引先様を含むすべての方々に、ご相談・通報いただけるよう、ご相談・通報窓口を設けています。本窓口に寄せられた相談・通報の詳細に関しては「コンプライアンスに関するご相談・通報窓口」のページをご参照ください。

    また、ハラスメントに関しては、社内相談・通報窓口を設置し、窓口担当者および従業員に対するハラスメント教育を行い早期発見及び防止に努めています。

教育

  • 人権教育

    SHIONOGIでは、従業員への定期的な人権教育を実施しています。

2023年

ビジネスと人権に関する教育研修

2023年度には、e-learningにて従業員へ人権教育研修を実施しました。国連グローバルネットワークジャパン人権教育分科会作成の資料を活用して、人権侵害事例について学習いただきました(受講率 89.6% (3,721 人/4,153 人))。また、事後アンケートでは肯定的意見が80%を超えていました。

 

【研修の項目】

・なぜ「ビジネスと人権」?

・国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)

・人権関連法整備の状況

・日本の人権課題事例紹介

2021年

ビジネスと人権に関する教育研修

2021年度には、e-learningにて従業員へ人権教育研修を実施し、下記について学習していただきました。(受講率 89.6% (4759 人/5311 人))

 

【研修の項目】

・人権とは?

・なぜ「ビジネスと人権」?

・サプライチェーン上の人権侵害事例

・人権関連法整備の状況

・日本の人権課題

・SHIONOGIグループ人権ポリシー

・SHIONOGIの人権リスクアセスメント

・自身の業務と人権

2020年

ワークショップ

2020年度には、グループ内の役員・従業員向けにワークショップを開催しました。外部有識者(経済人コー円卓会議日本委員会)協力のもと、「ビジネスと人権」に関する最新動向や国内外の人権に対する取り組みの実例について学び、自部門において発生する可能性のある人権リスクについて役員・従業員が自ら考え、整理しました。

整理したマップは、2021年度以降の人権デューディリジェンスに活かされています。

ワークショップ2020