パンデミック発生以降、COVID-19は感染拡大を繰り返してきました。その大きな要因の一つは度重なる変異株の出現です。世界中で感染拡大やワクチンの接種が進むにつれ、免疫を回避する変異株が次々と出現し、ワクチンの開発を難しくしています。SHIONOGIはその連鎖を断ち切るため、サルベコウイルス亜属※1全般に対するユニバーサルワクチンの研究開発に取り組んでいます。
本研究では、抗原設計や免疫状態の解析に強みを持つKOTAIバイオテクノロジーズ株式会社、ならびに感染症研究において日本を代表する機関である国立感染症研究所とともに、ウイルスの変異が起こりにくい領域に対する中和抗体を選択的に誘導する抗原を特定することで、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現や将来のパンデミックに対する備えとして、有効で安全なワクチンの創製を目指しています。
なお、本研究はAMED※2のワクチン開発・生産体制強化戦略関連事業であるSCARDA※3のワクチン・新規モダリティ研究開発事業に採択され、当該事業の助成を受けています。

注釈

※1 サルベコウイルス亜属

コロナウイルス科ベータコロナウイルス属に属するウイルスの一群。SARS-CoV-2や SARSウイルス、コウモリコロナウイルスがこの群に含まれる。

 

※2 AMED

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development)の略。医療分野の研究開発およびその環境整備の中核的な役割を担う国立の研究開発法人として2015年に設立された。

 

※3 SCARDA

先進的研究開発戦略センター(Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Preparedness and Response)の略。ワクチン開発に関する情報収集・分析と研究費のファンディングにより、ワクチン・新規モダリティ研究開発事業の推進ならびにワクチン開発のための研究開発拠点の形成を推進する。