考え方

社会の変革のスピードが増している中、事業戦略ならびにその遂行の成否に影響を与える不確実性はより多様かつ複雑なものへと変化し続けています。SHIONOGIがSTS2030 Revisionで目指す変革を成し遂げ、さらなる成長を実現するためにはグループの内外に存在するリスクを適切に管理することが不可欠です。下記ポリシーに基づき、攻めと守りの両方のリスクを戦略的にマネジメントすることでリスクカルチャーを醸成し、レジリエンスのさらなる強化を目指しています。

リスクマネジメント推進体制

SHIONOGIは、事業機会の創出及びリスクの回避や低減など適切なマネジメントを行うとともに、パンデミック、自 然災害、テロやサイバー攻撃などのクライシスマネジメントも含め、グループ全体のビジネスリスクを統括する全社的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)体制およびクライシスマネジメント体制を構築し、経営戦略・経営基盤の重要な仕組みとしています。

■ 全社リスクマネジメント

全社リスクマネジメントの運用・管理は、トップダウンおよびボトムアップの両面から実施しており、業績及び経営に重大な影響を及ぼす可能性があると評価した重要なリスクを、戦略の意思決定に内在するリスク及び戦略の遂行を阻害するリスクを「事業戦略上のリスク」、経営目標を支える業務遂行に影響を与える「事業遂行上のリスク」の2つに分類し、責任の明確化及び対応状況の透明化を図ることで包括的なリスク管理を行っています。

リスクマネジメント体制

「事業戦略上のリスク」については、四半期ごとに経営会議で議論を行い、リスクリストの更新、対応すべきリスクの特定及び責任管掌の任命を行っています。責任管掌は他管掌を含む関連組織と連携を図りながら、不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための対応計画の立案・推進を行い、経営会議で進捗状況をモニタリングしています。また、変化のスピードが速くリスクの全容や当社への影響が明確ではない外部トレンドについては、継続的な情報収集とタイムリーな議論を通じてリスクの兆しを捉え、対応すべきリスクの特定や責任管掌の任命につなげています。

「事業遂行上のリスク」については、管掌が自管掌下におけるリスクに対してリスクオーナーを任命してモニタリングし、リスクの影響度や発生可能性を勘案した上で、必要に応じて「事業戦略上のリスクまたは事業遂行上のリスク」として経営会議へエスカレーションする責務を担っています。この管掌を中心としたリスク管理体制を取ることで、期中においても迅速かつ柔軟に課題の抽出、対応計画の立案・推進を行っています。

リスクマネジメント事務局は、経営会議でのリスクマネジメント運営事務局として、国内外の主要子会社を含む重要リスクおよび対応状況の取りまとめ、事業戦略上のリスクのうち特に経営への影響の大きな最重要リスクの特定などの議題設定に関わる事務的機能を担うと共に、外部トレンドや環境変化のリサーチおよび経営陣へのタイムリーな提供を通じて、リスクマネジメント議論の高度化と活性化を図っています。

SHIONOGIが対応すべき事業戦略上のリスクやそれらへの対応状況は、半期に一度、経営会議及び取締役会にて確認・モニタリングを行うことで、実効性を確保しています。

また、リスクマネジメントの実効性を高めるため、「内部統制システムの整備・運用に関する基本方針」に基づき業務の適正を確保する体制の整備・運用にも注力しております。これらの活動は定期的に経営会議及び取締役会に報告され、取締役より助言を得ることで改善を図るなど、リスクマネジメント活動を監督する体制を構築しています。

■ クライシスマネジメント

クライシスマネジメントについては、危機管理規則等に基づき、事業継続計画を含む総合的な管理体制のもと、人命を尊重し、地域社会への配慮、貢献及び企業価値毀損の抑制を主眼とした管理を推進し、クライシスが発生した場合には速やかに対処し、当該クライシスを克服するよう努めています

- 危機管理体制

SHIONOGIでは、危機管理の基本的な方針である「危機管理規則」に基づき、総合的な危機管理体制を構築するとともに、各種対策要綱やマニュアルを整備し、緊急時に迅速に対応できる体制を整えています。なかでも、甚大な自然災害発生時における従業員の安否確認を危機管理の最優先事項と考え、定期的な安否確認訓練を実施するとともに災害備蓄品の棚卸、中央および事業所災害対策本部体制の見直しを行っています。

- 事業継続計画(BCP)

危機発生時においては、医療機関への安定的な製品供給やサービスの提供を通じて社会的責任を遂行するために、バリューチェーンごとに事業継続計画(BCP)を策定しています。また、定期的に経営層や各部門を対象とした訓練を実施することで、事業継続に向けた体制構築を図っています。

特に医薬品の安定供給においては、2018年度のシオノギファーマの設立に伴い、BCP体制を見直し、事業継続マネジメントシステムを構築・運用しています。

 【事業継続マネジメントシステム体系図】
体系図

■ 環境リスクマネジメント

SHIONOGIは環境の変化が事業活動に与えるリスクを抽出し、事業への影響を評価したうえで各々の課題への対策を検討し、不測の事態が発生した場合にその被害を最小限にするための管理と対応のレベル向上に取り組んでいます。

主な事業等のリスク

SHIONOGIでは業績および経営に重大な影響を及ぼす可能性があると評価した重要なリスクを、戦略の意思決定に内在および戦略の遂行を阻害する「事業戦略上のリスク」と経営目標を支える業務遂行に影響を与える「事業遂行上のリスク」に分類しています。

1.事業戦略上のリスク

1.感染症領域・QOL疾患領域・希少疾患領域を中心としたグローバルな成長

<概要>

感染症領域は、人々の生命を脅かす深刻な課題であり、社会的意義が極めて高い一方で、感染症の流行状況や公衆衛生政策、適正使用の要請等により収益が変動しやすく、市場の予見性が相対的に低い特性があります。

SHIONOGIでは、このような特性を踏まえ、マテリアリティに「感染症の脅威からの解放」を定め、感染症領域をグローバルにおける中核事業として継続的に成長させることに取り組んでおります。同時に、超高齢社会の進展やライフスタイルの変化を背景として、人々の健康寿命の延伸や生活の質(QOL;Quality of Life)の向上に対する ニーズの高まりを重要な社会課題と捉え、マテリアリティに「健やかで豊かな人生への貢献」を定めております。このマテリアリティの実現に向けて、グローバルでの事業拡大を加速させております。

SHIONOGIは、感染症領域における「薬剤耐性(AMR)」、「HIV」、「急性呼吸器感染症」、QOL疾患領域における 「うつ」、「睡眠障害」、「難聴」、希少疾患領域における「脆弱X症候群」、「ポンペ病」、「筋萎縮性側索硬化 症」等において、医薬品を起点としながら、疾病の予防、診断、治療、予後管理等を包括的に支えるヘルスケアソリューションの創出に取り組むことで、感染症の流行に左右されにくい、より安定的かつ持続可能な収益基盤の構築を目指しております。

これまでSHIONOGIは海外展開品の多くをパートナー企業との提携を軸に取り組み、製品売上高の一部からロイヤリティーを取得してきました。ViiV Healthcareへの追加出資を行うなど、HIV事業を中心に今後もこうしたパート ナーとの関係を良好に保ちつつ、SHIONOGI創製品の欧・米・亜における開発、薬事申請ならびに承認取得、マーケティング・販売などの事業活動や、低・中所得国への展開など医療アクセスの向上に向けた活動を行うことで、感染症領域でのグローバル展開を強化しております。

こうした活動に加えて、鳥居薬品およびJT医薬事業の買収、田辺ファーマからの筋萎縮性側索硬化症等治療薬エダラボン事業の買収等を通じて、製品ポートフォリオの拡充、研究開発力および販売力の強化を進めるとともに、 さらなる欧米を中心としたグローバル展開を見据えた事業基盤整備を進めております。 しかしながら、これら注力する疾患領域における成長戦略が当初計画通りに進捗しない場合、将来に期待されて いた収益成長が実現しない可能性があり、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<主なリスク認識>

・感染症領域において、HIV領域やAMR領域等の売上が競争環境の変化や市場構造の変化により低下し、成長力が低下するリスク

・ワクチンや新規治療薬の研究開発が遅延または失敗し、感染症およびQOL疾患領域双方で販売計画が後倒しとなるリスク

・米国での医薬関連政策の実行による薬価や市場環境の変化により、期待したエダラボン事業の成長が実現されないリスク

・QOL疾患領域において実施したM&Aに関し、統合(PMI)が計画通りに進まない、または期待した事業価値・シ ナジーが創出できないリスク

・HaaS(Healthcare as a Service)ソリューションの開発・社会実装が想定通りに進まず、感染症領域および QOL疾患領域における販売シナジーが十分に発揮されないリスク

・米国をはじめとする海外市場において、販売体制の構築や人材確保が計画通りに進まず、感染症領域および QOL疾患領域での販売機会を逸失するリスク

 

<主な取り組み>

・鳥居薬品およびJT医薬事業、エダラボン事業等の買収に伴うPMIの着実な推進と、感染症およびQOL疾患領域双方における事業価値最大化

・ViiV Healthcareへの増資を通じたHIV領域への継続的なコミットメント強化

・備蓄やサブスクリプション償還モデルの拡大など、各国政府や規制当局との交渉

・感染症およびQOL疾患領域におけるワクチン・新規治療薬開発への重点的なリソース配分

・複数疾患領域を横断した疾患戦略の見直しによるシナジー創出

・HaaSソリューションの開発・拡充に向けた社内外連携の強化

・欧米を中心としたグローバル開発・承認申請の実施と海外生産・流通・販売体制のさらなる整備

・日本市場における主力製品の販売拡大

2.パイプラインの拡充

<概要>

SHIONOGIは、マテリアリティとして「感染症の脅威からの解放」および「健やかで豊かな人生への貢献」を掲げ、これら2つの社会課題の解決と持続的な成長の両立に向けて、研究開発パイプラインの拡充と質的高度化に取り組んでおります。

感染症領域においては、米国にShionogi Qpex lab.を開設し、細菌感染症治療薬を中心とした研究体制を強化するとともに、アカデミアやベンチャー企業、米国政府機関等との連携を通じて、外部知を積極的に取り込み、 創薬のスピードおよび成功確率の向上を図っております。これにより、AMRを含む感染症領域における中長期的な研究開発基盤の強化を進めております。

一方で、近年実施してきたM&Aやイン・アウトライセンス等を通じて一定の事業成長の道筋が見えつつある中、 既存の研究資産や人材のシナジーを最大化し、全体最適の視点でパイプラインおよび創薬プログラムを見直し、強靭で持続可能なポートフォリオへと進化させていくことが重要であると認識しております。

特に、QOL疾患領域および希少疾患領域の強化を進めるとともに、HIV領域における競争優位性の維持・強化、ならびに感染症領域全体におけるパイプラインの強化が重要な課題となっております。

また、このように不確実性の高い中、創薬の成功確率を高めて医療ニーズを満たす魅力あるパイプラインを形成していくためには、SHIONOGIが培ってきた感染症や低分子医薬品の研究開発技術に加えて、新規モダリティの獲得や、従来の医薬品のパテントに基づく収益に偏重したビジネスモデルを転換し、ワクチンおよび舌下免疫療法の強化や新しいヘルスケアサービスの提供に挑戦することが重要と認識しております。さらに、それらを支える基盤として、専門性を有する人材の継続的な育成と、領域横断的な知見の蓄積が不可欠であることから、人材ローテーション等を通じて、創薬力および開発力の底上げにも取り組んでおります。

医療用医薬品ビジネスとそれ以外のビジネスとのバランスを図ることでパテント切れによる収益の変動を緩和することが必要と考えておりますが、これらの取り組みが十分に進まない場合、それを担う人材育成が想定通りに進まない場合には、中長期的な成長力の低下や将来の競争優位性の確立が困難となり、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<主なリスク認識>

・希少疾患領域やHIV領域等におけるパイプラインが戦略的に連結されず、当社ならではの中長期的な強みや競争優位性が構築できないリスク

・外部連携や研究体制強化が想定した成果に結びつかず、研究開発のスピードや成功確率が向上しないリスク

・研究開発を担う専門人材が特定領域に固定化することにより、次世代を担う人材が育成されず、パイプラインの進化や新規価値創出が停滞するリスク

・既存技術の陳腐化により競争優位性のあるパイプラインの拡充が図られないリスク

 

<主な対応・取り組み>

・M&Aおよび提携案件を踏まえた、パイプラインおよび創薬プログラムの全体最適化に向けた戦略の見直しの実施

・HIV領域における競争優位性維持に向けた継続的な研究開発投資

・QOL疾患領域における重点テーマの明確化と、ポートフォリオ再構築による研究開発資源の最適配分

・Shionogi Qpex lab.を含む感染症研究体制の強化と、アカデミア・ベンチャー企業・政府機関等との連携推進

・ワクチン事業を含む複数の研究開発領域における人材ローテーションを通じた、専門性と領域横断的視点を併せ持つ人材の育成

・新たなモダリティ・技術への挑戦

3.人的資本マネジメント

<概要>

SHIONOGIが事業モデルの転換を図り、STS2030 Revisionで目標とする成長を実現していくためには、従業員一 人ひとりが変革を牽引する「競争力の源泉」となり、SHIONOGIがそうした強みを持つ多様な人材の集団として構成されている必要があります。

近年、M&Aや事業提携等を通じて組織が拡大する中で、より一層多様な価値観、経験、専門性を持つ人材が SHIONOGIグループに加わっており、これらの人材を融合させ、一体感のある組織として機能させていくことが重要な経営課題となっております。特に、再統合を予定しているシオノギファーマや、新たに加わる鳥居薬品、JT 医薬事業、田辺ファーマ等の従業員が安心して能力を発揮できる環境を整備するとともに、SHIONOGIファミリーとしての一体感の醸成や、新たな文化・風土の形成を進めていくことが、今後の成長において一層重要となっております。

また、事業成長を図る過程においては、これまでに経験のない領域への挑戦や、新たなケイパビリティの獲得が不可欠であり、従業員一人ひとりが変化を前向きに捉え、自律的に挑戦し続けられる組織であることが求められております。そのため、専門性や役割に応じた能力開発に加え、柔軟な人材登用や、挑戦を後押しする風土の醸成にも取り組んでおります。

さらに、これらすべての取り組みの基盤として、従業員の心身の健康の維持・向上や、研究・製造現場における作業者の安全確保が重要であると認識しており、安心して働き続けられる環境整備を継続的に推進しておりま す。

しかしながら、人的資本マネジメントの取り組みが十分に機能せず、人材の融合や育成、挑戦する文化の定着が進まない場合には、事業戦略の実行力が低下し、将来的な成長力や競争優位性が損なわれる可能性があります。

<主なリスク認識>

・M&A等を契機として組織構造や文化が変化する中で、従業員エンゲージメントが低下し、組織の一体感が損なわれるリスク

・多様な人材が有する専門性や強みが十分に発揮されず、個人および組織全体のパフォーマンスが低下するリスク

・将来のSHIONOGIを担うコア人材の計画的な育成・輩出が進まず、事業成長の遅れや中長期的な事業停滞に陥るリスク

・優秀な人材が成長機会や挑戦機会を見いだせず、流出してしまうリスク

・失敗を恐れて挑戦を避ける風土が定着し、変化への適応力を失うリスク

 

<主な対応・取り組み>

・継続的なエンゲージメントサーベイの実施と、その結果を踏まえた改善施策の推進

・M&A後の人材融合を意識した社内コミュニケーションの活性化と、相互理解を促進する取り組み

・専門性の深化と領域横断的な経験の両立を目的とした人材配置・育成施策の推進

・挑戦を評価し、学びにつなげる人事制度・評価制度・表彰イベントの運用

・従業員の健康維持・増進に向けた取り組みおよび作業者の安全確保を目的としたEHSマネジメントの継続的な強化

4.DX変革の実現

<概要>

SHIONOGIは昨今の技術革新やそれを取り巻くダイナミックな環境変化を機会と捉えており、STS2030 Revision において、意思決定のスピードを加速させ、データに基づく新たな価値創造を実現するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げております。従来のビジネスモデルの変革が求められる中、AIやITを活用した生産性の向上は必須であり、その実現に向けた取り組みの停滞が生じた場合には、SHIONOGIの業績のみならず企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<主なリスク認識>

・AIやIT活用が個別業務の効率化にとどまり、業務プロセス全体の変革や意思決定の高度化につながらないリスク

・DX推進を担う人材やデジタルケイパビリティが十分に育成・確保できず、変革が停滞するリスク

・グローバルで統一されたIT基盤やデータ利活用基盤の整備が遅れ、事業間・地域間での連携やシナジーが創出できないリスク

・既存業務や従来のやり方への依存から変革が進まず、競争力のある業務プロセスへの転換が実現できないリスク

 

<主な対応・取り組み>

・グローバルIT基盤の構築 ・AI創薬の実践、AI活用による市中在庫予測などのビジネスモデル/オペレーション変革

・疾病の診断・治療を目的とした医療機器プログラム(SaMD)、疾患検知アルゴリズムの開発

・業務効率化と新たな価値創造を実現するデータ利活用基盤の整備

・デジタルコア人材を輩出する育成施策の実施

5.地政学・地経学的不確実性への対応

<概要>

SHIONOGIは、STS2030 Revisionの実現に向けてグローバル化を推進しており、グローバル開発の推進、販売国・地域の拡大、イン・アウトライセンスの実行など、事業活動のグローバルな広がりと複雑化が進んでおります。

一方で、世界的な政治・社会情勢の変化を背景として、各国における政治不安や経済情勢の悪化、社会的混乱、地域紛争の発生や長期化、さらには各国・地域間における地政学的緊張の高まり等により、投資や輸出入に関する規制、関税や通商政策の変更、各種取引に関する規制強化など、事業活動を取り巻く不確実性が増大しております。

SHIONOGIは、こうした地政学あるいは地経学的な不確実性の高まりを経営上の重要なリスク要因として認識しており、社会情勢や政策動向を的確に把握し、その事業への影響を評価するとともに、必要な対策を迅速に講じることで、グローバルな事業運営の継続性を確保し、患者さまへの医薬品への安定的なアクセス確保に努めております。

しかしながら、想定を超える不測の事態が生じた場合には、研究開発、製造、物流、販売等の事業活動に影響を及ぼし、当社の業績に重要な影響を与える可能性があります。

<主なリスク認識>

・各国・地域における政治・経済情勢の急激な変化や社会的混乱、紛争の発生・拡大により、事業活動の継続や拡大が制約されるリスク

・地政学・地経学的緊張の高まりに伴う投資規制や経済制裁、各種取引規制の強化により、導出入や提携を含む事業戦略の実行が遅延または困難となる、あるいはコスト増加や供給制約が生じるリスク

・物流の混乱や供給網の分断等により、医薬品の安定供給や患者さまへのアクセス確保に支障を来すリスク

 

<主な対応・取り組み>

・世界各国・地域における政治、経済、社会情勢や地政学的動向に関する継続的なモニタリングと、その事業影響の評価

・地政学的リスクを踏まえた事業計画・投資計画の柔軟な見直しと、リスク顕在化時における迅速な意思決定体制の維持・強化

・研究開発、製造、物流、販売におけるグローバルな事業運営体制の強靭化を通じた、医薬品の安定供給および患者さまへのアクセス確保

2.事業遂行上のリスク

1.品質・製品安全

<概要>

SHIONOGIは医薬品等の製造管理および品質管理の基準(GMP)や医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン等の薬事関連法規に準拠した厳格な品質管理体制のもと製品の製造および委託製造を行っております。また、厚生労働省、米国食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)等の所管当局の査察を受け、製造販売の認可を取得しております。市販後は、安全性情報を収集し、医薬品の安全性確保および適正使用のために必要な対策を実施しておりますが、製品・サービスによっては世界的に審査基準が未策定な分野も存在することから、所轄官庁との個別議論により製品・サービスそのものの安全性の確保に努めております。また、医薬品を含む製品・サービスを適切に使用していただくことも重要であるため、顧客に対する当該疾患に関する情報発信・啓発を実施しております。しかし、何らかの原因により、品質不良やロット不適が発生するなどの品質問題が発生した場合、医薬品や製品サービスに対して予期せぬ副作用や不具合の発生および副作用報告の漏れや遅延、不具合への対応の遅れ等が発生した場合、あるいは当社からの情報発信内容に誤りがあった場合、以下のリスクが想定されます。

 ・承認書と製造実態の不整合による品質不良、出荷停止、回収、行政処分による業務停止等

 ・データ完全性の不備による回収や当局査察での重大な指摘

 ・製品の販売中止や回収

 ・健康被害に関する損害賠償訴訟の提起

 ・業績やレピュテーションへの影響

<主な対応・取り組み>
 ・SHIONOGIグループ品質ポリシーの制定・推進
 ・Quality Cultureの醸成活動等の推進
 ・製造所監査等を通じた管理監督活動 

 ・副作用や不具合等の安全に関する情報を適切に収集・分析・評価・報告する体制の強化およびシステムの構築

 ・全従業員・経営陣を対象とした品質・製品安全に関する教育の実施

2.グローバルサプライチェーンマネジメント

<概要>

SHIONOGIは、医薬品の安定供給を通じて社会的責任を果たすとともに、事業活動を安定的に遂行するため、グローバルに展開するサプライチェーンの強靭化に取り組んでおります。

大地震や暴風雨、洪水等の自然災害やパンデミックの発生、さらには米国におけるバイオセキュア法の成立や地政学的緊張の高まり等により、原材料や製商品を取り巻くサプライチェーン環境は不確実性を増しております。また、人権や環境に対する社会的要請の高まりを背景に、サプライヤーを含めたサプライチェーン全体におけるサステイナビリティへの配慮が一層重要となっております。

こうした環境変化を踏まえ、SHIONOGIでは、安定的な原材料調達の確保、代替サプライヤーの選定、適切な在庫水準の確保等を通じて供給途絶リスクの低減を図っております。一方で、過剰な在庫の積み上げや調達コストの急激な上昇は、事業収益や資本効率に影響を及ぼす可能性があることから、安定供給の確保とコストコントロ ールの両立が重要な経営課題であると認識しております。

SHIONOGIは、サプライチェーン上のリスクを多面的に把握し、事業上の影響と社会的影響の双方を考慮した対応を進めることで、環境・人権への配慮と事業の持続可能性を両立させたグローバルサプライチェーンマネジメントを推進しております。

しかしながら、これらの取り組みが十分に機能せず、外部環境の急激な変化に対応できない場合には、以下のリスクが想定されます。

 ・工場の操業停止

 ・原材料や製商品の調達困難

 ・卸物流網の寸断ならびに情報の停滞

 ・医薬品の安定供給に対する重大な影響・過剰在庫やコスト負担増加による収益性や資本効率の低下

 ・社会的評価やレピュテーションの毀損

<主な対応・取り組み>

 ・保有在庫量の適正化の推進

 ・一部製品に含有される原薬の国内製造体制の構築

 ・製品の安定供給のための原材料調達先分散(地政学的リスクの高い原材料のセカンドベンダーの選定)

 ・優先して供給すべきBCP品目の設定および定期的な見直し

 ・サプライヤーに対するデューディリジェンスならびに監査の実施と改善要求

3.ITセキュリティ・情報管理

<概要>

SHIONOGIは、医薬品の研究開発、製造、供給および医薬品情報の適切な情報の提供を通じて、人々の生命と健康を支える社会的責任を担っております。これらの事業活動を安定的かつ継続的に遂行するためには、個人情報を含む機密情報の適切な管理と、ITシステムの安全かつ安定した運用が不可欠です。当社は、グローバルで事業を展開する中、アウトソーシング先を含め多様なITシステムやデジタル基盤を利活用しておりますが、近年、日本企業を標的としたサイバー攻撃は増加・高度化しており、医療・製薬業界においても基幹システムの停止や情報漏洩を狙った攻撃が顕在化しております。

医薬品は社会に不可欠なインフラであり、製品の供給や医薬品情報、個人情報の提供・収集が停止した場合、患者さまや医療現場に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、サイバーセキュリティ上の脅威は、単なるITリスクの課題にとどまらず、事業継続や社会的信頼に直結するリスクであると認識しております。このようなリスク認識のもと、グループ全体で強固かつ信頼性の高いITセキュリティ体制の構築・運用や情報管理および内部統制の強化に継続的に取り組んでおります。

しかしながら、これらの取り組みが十分に機能せず、従業員およびアウトソーシング企業などの不注意または故意による行為、あるいは悪意を持った第三者によるサイバー攻撃や不正アクセス等が発生した場合以下のリスクが想定されます。

 ・基幹システムや重要システム停止による事業の継続困難

 ・個人情報を含む機密情報の流出・毀損

 ・損害賠償請求や行政対応等の法的・社会的責任の発生、事後対応に関わる費用負担増加

 ・医薬品の供給や情報提供への影響による社会的信頼・レピュテーションの低下

 ・上記に伴う業績への悪影響

<主な対応・取り組み>

 ・グループ従業員に対する情報管理や個人情報の重要性に対する認識や個人情報保護に関する法令遵守の必要性およびSHIONOGIグループグローバルプライバシーポリシーについての教育・啓発の徹底

 ・セキュリティおよび内部不正防止を含む情報セキュリティ管理体制の継続的な強化

 ・サイバー攻撃や大規模災害などの危機事象発生に備えたIT-BCP体制のさらなる強化

 ・ITインフラの整備、情報セキュリティ基盤の強化・運用プロセスの改善

 ・グローバルセキュリティアセスメントの結果に基づくグループ全体でのネットワーク体制の強化

4.コンプライアンス

<概要>

SHIONOGIは、コンプライアンスを企業の存続と持続的成長を支える根幹と捉え、すべての事業活動の基盤に据えております。また、法律、規則および規制の遵守にとどまらず、社会規範の遵守や企業・社会人としての倫理的行動を含むものと捉え、グループ全体でその徹底を図っております。近年、事業のグローバル化や事業領域の拡大、組織構造の複雑化に加え、社会やステークホルダーから企業行動に対する目線が一層厳しくなる中、今後、コンプライアンス上の問題がより顕在化しやすい環境になることが予想されます。

このような環境下において、事業活動遂行における法令違反、社会規範の逸脱、倫理に反する行為・行動が生じた場合には、社会的評価やステークホルダーからの信頼を損なうのみならず、事業の継続や企業価値に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、これらを重要な経営リスクとして認識しております。

具体的には、ビジネスプロセス全体を通じて潜在的なコンプライアンスリスクを把握し、各組織が主体的に対応する体制を整備するとともに、健全で透明性の高い企業風土の醸成に継続的に取り組んでおります。

しかしながら、内外の環境変化や不正・不祥事の兆候の早期把握の遅れ等によるコンプライアンス上の問題が顕在化した場合等は、以下のリスクが想定されます。

 ・レピュテーションの低下

 ・ステークホルダーからの信頼の失墜

 ・経営成績および財政状態の悪化

<主な対応・取り組み>

 ・SHIONOGIグループ コード・オブ・コンダクトの制定・推進・浸透

 ・Global Compliance & Quality Weekを通じた、グループ全従業員のコンプライアンス意識の強化

 ・組織の構成に応じたコンプライアンス推進体制の運用

 ・代表取締役会長兼社長 CEOを委員長としたコンプライアンス委員会の開催(年4回)

 ・コンプライアンス委員会活動状況の取締役会への報告(年2回)

 ・全従業員対象のコンプライアンス意識調査の実施と各組織への分析結果のフィードバック

 ・行動に迷った際に、立ち止まって自らの行動の是非を見つめ直すための5つのチェック項目に関するグローバル全従業員への教育の実施

 ・執行役員、本部長・グループ会社社長、組織長等を対象とした階層別研修の実施

5.環境

<概要>

SHIONOGIは、医薬品の研究、開発、製造および供給等の事業活動をグローバルに行う過程において施設・設備の使用や原材料・エネルギーの消費等を通じて環境や生態系に影響を及ぼす可能性があることを認識しております。また、近年の気候変動の進行や自然災害の激甚化は、事業活動そのものに影響を及ぼすリスク要因を伴っており、これらの環境課題への対応を適切に行うことは、安定的な事業運営を維持する上で重要な前提条件となっ ております。さらに、原材料調達や取引先を含むバリューチェーン全体においても環境への負の影響が生じる可能性があり、調達・取引の側面からも環境配慮が重要であると認識しております。自社を含むバリューチェーンでの環境関連の事故や規制違反、ならびに環境負荷低減の対応の遅れは、操業停止や追加的な対策費用の発生、法的責任の拡大、さらには社会的評価の低下を通じてSHIONOGIグループの業績や企業価値に影響を及ぼす恐れがあることから、環境に関するリスクを重要な経営リスクとして認識しております。このような背景を受け、EHSガバナンス体制のもと、「SHIONOGIグループEHS行動目標」を中長期目標として掲げ、バリューチェーン全体で「気候変動」「省資源・資源循環」「水」「AMR」を中心に、環境負荷低減の活動を推進しております。合わせて「SHIONOGIグループ調達ポリシー」「SHIONOGIグループビジネスパートナーに求める行動規範」を制定の上、サプライヤーと協働したエンゲージメントを通じて環境リスクの低減に継続して取り組んでおります。

しかしながら、環境に関する事故やステークホルダーとのトラブルの発生、規制強化や社会的要請への変化等への対応が不十分となった場合、以下のリスクが想定されます。

 ・重大な環境事故や人権侵害、法令違反等に伴う、施設・設備の稼働停止や操業制限

 ・対策・復旧/改修費用の発生、増加

 ・損害賠償訴訟の提起、補償費用の支払い

 ・規制対応や追加的コストの増加による収益性の低下

 ・社会的評価やレピュテーションの低下を通じた企業価値への悪影響

<主な対応・取り組み>

 ・SHIONOGIグループのポリシーの制定・運用による環境および人権に関するガバナンスの強化

 ・環境および安全衛生(EHS)統括管理体制の整備

 ・環境マテリアリティならびにEHSに関する中期行動計画の推進

 ・各事業所における、ISO14001、ISO45001ならびにそれらに準じたEHSマネジメントシステムの運用強化

 ・関連法令の遵守に加え、より厳しい自主管理基準・目標を策定した環境対応の取り組み推進

 ・取引先への環境リスクの評価ならびにエンゲージメント・監査を通じた改善要請の実施

6.人権

<概要>

SHIONOGIの価値創造の源泉は、SHIONOGIグループで働く人材にほかなりません。多様な個性と価値観を尊重し合い、互いに切磋琢磨できる環境を整えることが、イノベーションの創出と持続的な成長につながると考えております。この認識のもと、適正な労働慣行の確立や機会均等の取り組み推進、安全で公正な職場環境の整備等の人権課題に取り組むことが、企業成長を支える人材の確保につながります。

合わせて、医薬品の研究、開発、製造および供給等の事業活動をグローバルに展開する中で、取引先や地域社会を含むバリューチェーン全体においても人権への影響が生じる可能性があります。これらの影響を適切にマネジメントすることが、事業継続・成長には不可欠であると認識しております。

近年の事業のグローバル化やサプライチェーンの複雑化に伴い、人権インシデント発生時の影響範囲が拡大する可能性があります。加えて、種々の事業投資により事業領域が拡大する中で、新たな人権リスクが顕在化する可能性も高まっております。従業員に関しては、ハラスメントや差別、長時間労働、安全配慮の不足等の発生が、人材のエンゲージメント低下や人材流出につながり、事業運営・成長に影響を及ぼすリスクとなり得ます。このため、当社グループでは、従業員および取引先や委託先を含めたバリューチェーン全体での人権配慮の重要性を一層強く認識しております。

具体的には、強制労働や児童労働の排除、差別の防止、多様性を尊重した公正な処遇、安全で健康的な労働環境の確保、地域社会への配慮を含む、様々な人権課題への対応が求められております。これらへの対応が不十分であった場合、法令違反や社会的信頼の低下を通じて、事業継続および企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

このような認識のもと、当社は、「SHIONOGIグループ人権ポリシー」を策定し、事業活動を通じて影響を受ける可能性のあるすべての人々を対象とした人権尊重に取り組むとともに、「SHIONOGIグループ調達ポリシー」「SHIONOGIグループビジネスパートナーに求める行動規範」を制定し、ビジネスパートナーとの継続的なエンゲージメントにより、人権侵害リスクの低減を図っております。

しかしながら、人権侵害に関わる事象の発生やそれに伴うステークホルダーとのトラブルの発生、規制強化および社会的要請への変化等への対応が不十分となった場合、以下のリスクが想定されます。

 ・人権侵害、法令違反等に伴う操業制限・停止

 ・損害賠償訴訟の提起などの法的リスクの顕在化

 ・顧客・提携先からの是正要求、取引条件の悪化、選定除外により事業機会の減少

 ・労務慣行違反の発生による従業員のエンゲージメント低下、人材流出、人材確保の困難化

 ・人材成長や能力発揮の阻害によるイノベーション創出力や中長期的な競争力の低下

 ・社会的評価やレピュテーションの低下を通じた企業価値への悪影響

<主な対応・取り組み>

 ・「SHIONOGIグループ人権ポリシー」の制定・運用による人権に関するガバナンスの強化

 ・公正・適正な評価・報酬制度の確立

 ・同一労働同一賃金をベースとした人事制度の運用

 ・各地域での定められた最低賃金を上回る生活賃金の提供

 ・フレックスタイム制度、在宅勤務制度等多様な働き方が可能な環境支援

 ・安全で健康な職場環境の整備

 ・サプライヤーを含むバリューチェーン全体における人権課題リスクアセスメントの実施

 ・サプライヤーとの定期的なエンゲージメントや監査、改善要請の実施

7.他社とのパートナーシップ

<概要>

SHIONOGIは事業価値を最大化していく上で、他社とのパートナーシップを重要な経営戦略の1つとして位置付けております。

感染症領域においては、HIVやAMRをはじめとする分野で、研究開発、製造、販売、アクセス拡大に至るまで、自社単独では実現が困難な価値創出を、製薬企業、バイオベンチャー、各国政府や国際機関等との協業を通じて推進しております。また、QOL疾患領域においては、エダラボン事業の買収や希少疾患パイプラインの進展を背景に、専門性や技術を有する外部パートナーとの連携を通じて、研究開発力や事業展開力の強化を図っております。

近年、事業領域の拡大やM&Aの進展に伴い、パートナーの種類や関係性は一層多様化しており、共同研究やライセンス契約に加え、事業提携、アライアンス、政府・公的機関との協働など、協業の形態も複雑化しております。こうしたパートナーシップを適切にマネジメントし、相互の強みを活かしながら価値の最大化を図ることが、感染症領域およびQOL疾患領域の双方でのグローバルな成長において重要であると認識しております。

しかしながら、パートナーとの役割分担や責任範囲の認識の齟齬、情報管理の不備、協業関係の変化等により、下記のリスクが想定されます。

 ・事業成果やシナジーの低下

 ・自社の技術、ノウハウ、機密情報の外部流出

 ・自社による意図しない他社技術の無断利用や知的財産の侵害による訴訟

 ・他社による機密情報の漏洩によるブランドイメージやレピュテーション、投資家からの信頼の低下

<主な対応・取り組み>

 ・パートナーとのコミュニケーションを通じた、戦略・役割分担の明確化と信頼関係の維持・強化・秘密保持契約やライセンス契約等における知的財産権、情報管理、損害賠償に関する条件の明確化

 ・導出入やM&A、アライアンス等における知的財産・法務・財務の観点を含めたデューディリジェンスの実施

 ・情報の最小化やアクセス制御等を通じたデータ・情報管理体制の強化

 ・パートナー企業のガバナンス、財務状況、コンプライアンス体制等に関する定期的な評価・監査の実施

 ・課題やリスクの早期把握を目的としたパートナーシップ全体のモニタリング体制の構築

8.知的財産

<概要>

SHIONOGIの製品や研究開発成果は、知的財産権(特許権等)や技術、ノウハウ等の無形資産によって保護されることで、競争優位性を確保し、将来の収益創出につながっております。

現在、鳥居薬品およびJT医薬事業の買収、エダラボン事業の買収等により、事業領域や研究開発の形態が多様化しており、今後、保有する知的財産の十分な保護が困難となるおそれや、第三者の知的財産権を侵害する可能性も高まっております。また近年、事業買収や共同研究、ライセンス取引等を通じたオープンイノベーションの進展やグローバル市場における競争の激化により、知的財産を巡る権利関係や契約関係が一層複雑化している傾向にあります。それに伴い、知的財産権の帰属や有効性を巡る係争・紛争リスクが高まるとともに、想定外の知的財産侵害が生じる可能性も増加しております。このような認識のもと、知的財産を中長期的な価値創造を支える技術資本の1つとして位置付け、その適切な保護・活用と侵害リスクの低減に取り組んでおります。

しかしながら、SHIONOGIが保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合、あるいはSHIONOGIの製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、以下のリスクが想定されます。

 ・知的財産権による保護が失われることによる競争優位性の低下、期待される収益の減少

 ・知的財産権をめぐる係争や訴訟の発生および対応にかかる費用の発生・増加

 ・損害賠償金の支払い

 ・当該製品の製造販売の差止めや事業活動の制約

 ・これらに伴う企業ブランドやレピュテーションの低下

<主な対応・取り組み>

 ・知的財産権の適切な権利化と管理体制の整備、第三者による権利侵害に対する継続的な監視

 ・事業活動における、侵害予防調査の実施 ・導出入やアライアンス活動における知的財産デューディリジェンスの実施など、侵害予防のための体制の整 備

 ・IPランドスケープの活用による知的財産情報の分析・利活用を通じた、事業戦略および研究開発戦略の高度化

 ・知的財産および無形資産に関するe-learning等を通じた従業員教育の継続的な実施

9.制度・行政

<概要>

医薬品事業は、各国・地域の政策により様々な規制を受けております。医療保険財政のひっ迫に加え、米国インフレ抑制法(IRA)や最恵国待遇政策(MFN)等により、特に先進諸国で薬剤費抑制の圧力がさらに強まる可能性があります。また、米国をはじめとする世界各国での政権変化に伴う政策、国際関係への影響を注視する必要があります。我が国においては、高齢化進展に伴う医療費増加を見越した医療保険制度改革や毎年の薬価改定など、行政施策の動向がSHIONOGIの業績に影響を与える可能性があります。また、医薬品の開発、製造などに関連する国内外の規制の変更、事業活動および社会的責任に対する情報開示に関わる法制化により、追加的な費用や新たな対応が発生する可能性があります。それらが顕在化した場合、以下のリスクが想定されます。

 ・医療用医薬品事業の予見性の低下

 ・創出したイノベーションの価値と乖離した薬価の算定

 ・医薬品、ワクチン等の研究開発の遅れや供給不安

 ・医薬品、ワクチン等の売上高・利益の減少

 ・レピュテーションや投資家からの信頼の低下

<主な対応・取り組み>

 ・革新的な医薬品やヘルスケアサービスの創出と社会が許容できる価格での提供

 ・創出したイノベーションの価値を示すエビデンスの構築

 ・業界団体活動を通じ、イノベーションの価値を訴求する取り組みの推進

 ・薬価制度や医薬品等の研究開発・製造・販売の各種規制などに関する最新情報の入手と迅速な対処

 ・説明責任を果たすための取り組みの推進と情報開示の強化

 上記の重要なリスクに加え、訴訟、パンデミック・自然災害、金融市場・為替動向など、SHIONOGIの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性のある様々なリスクが存在します。ここに掲載されたものが、SHIONOGIのすべてのリスクではありません。 

取り組み

SHIONOGIは、ERMに基づくリスクマネジメントに加え、パンデミック等を想定した事業継続体制の整備と、リスクへの感度と対応力を高めるリスクカルチャーの醸成を推進しています。

■ パンデミック等の脅威を見据えた事業継続体制の確立

SHIONOGIは、感染症を主領域の一つとする創薬型製薬企業として、公衆衛生上の危機発生時においても、医薬品の安定供給をはじめとする重要業務を継続し、社会からの要請に応えていくことを重要な責務と認識しています。また、パンデミックや新興・再興感染症等の脅威は、サプライチェーンの維持、研究開発・生産・供給機能の継続など、企業活動の広範に影響を及ぼし得るものであり、平時からの備えと有事における実効性ある対応体制の構築に努めています。

加えて当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく指定公共機関としての役割を踏まえ、未知の感染症等が発生した場合においても、従業員等の安全確保および職場における感染拡大防止を図りつつ、重要業務への影響を最小化する体制の整備を進めています。2026年に更新した「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、事業継続計画の実効性向上、関係部門間の連携強化、発生段階に応じた対応手順の明確化に取り組むことで、社会活動・経済活動の持続可能性との調和を図りながら、患者さま、医療関係者、従業員、取引先、地域社会をはじめとするステークホルダーへの責任を果たしていきます。

■ リスクカルチャー醸成の取り組み

SHIONOGIでは、リスクマネジメントの実効性を高めるため、従業員一人ひとりがリスクを適切に認識し、迅速に報告・対応できる組織風土の醸成に取り組んでいます。具体的には“Bad News First”を基本原則として、リスクに関する教育の充実と共に、現場で把握されたリスクや課題を迅速に経営へエスカレーションし、タイムリーな経営判断・対応につなげる仕組みを強化しています。

1. リスクの迅速な共有と経営判断への反映・対応強化

現場で把握されたリスクや課題を迅速に経営へエスカレーションし、経営層によるタイムリーなリスク特定と意思決定に適切に反映する仕組みの整備を進めています。

  • 管掌会議(事業部単位)でのリスクアセスメント(リスク抽出・評価・分析)と、リスクアセスメントの妥当性および対応状況の進捗確認等に関する議論の実施
  • 管掌傘下内で経営に大きな影響があると判断された場合、管掌から経営層に報告・議論
  • 経営会議におけるモニタリング対象リスクの特定および進捗確認の実施

2. 教育

全従業員およびマネジメント層を対象に、リスクに関する基礎知識や意思決定の考え方について教育を実施し、リスクを踏まえた行動の定着を推進しています。

 

教育対象

目的 教育内容
全社教育 全従業員 ERMの概要と方針を理解し、主体的なリスク把握・共有を促す意識の醸成

・ビジネスリスクの考え方およびビジネスレベルに基づく意思決定に関する教育

・「SHIONOGIグループリスクマネジメントポリシー」に関する教育

役割別

専門教育

新任役員、新任社外取締役、リスクマネジメント実行責任者(組織長)、担当者 ERMの概要と方針の理解と共に、リスクの把握・報告・対応を適切に行うプロセスや、その中での自身の役割の理解深化 ERM方針・体制・具体的なマネジメントプロセス、役割およびグループリスク状況に関する教育