SHIONOGIの重要課題(マテリアリティ)

SHIONOGIは事業活動を通じてヘルスケア社会課題を解決すると共に持続可能な社会の実現に貢献することで、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しています。

この事業活動の根底には「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」 というSHIONOGI Group Heritageの考えが根付いています。SHIONOGI Group HeritageおよびSHIONOGIグループ行動憲章に基づき設定したSHIONOGI Group Visionの実現に向け、社内外の環境変化をとらえ、リスクと機会、自社の現状や課題を踏まえて優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)を特定しています。

私たちは社会とともに成長することの重要性を絶えず認識し、これらの重要課題にグループ一丸で取り組むことで、将来にわたって人々の健康に貢献する「価値」を提供し続けるとともに地球環境・社会に対する責任を果たしていきます。

❶ 顧客・社会に新たな価値を創出するために取り組む重要課題

1.感染症の脅威からの解放

<選定理由>

感染症は世界的な社会課題であり、人々の健康や、経済活動に甚大な影響を与えます。既存の治療薬では治癒が難しい感染症、いつ発生するか予測が難しい新興感染症へのソリューションも大きな社会・医療ニーズです。一方、感染症に取組む企業は多くない現状があり、感染症に取り組んできたSHIONOGIの社会的使命は大きいと考えています。感染症のトータルケアを通して、社会のニーズに応えると共に、持続可能な成長を実現していきます。

 

<あるべき姿>

社会を脅かす影響度の高い感染症(急性感染症・薬剤耐性(AMR)・治療に長期間を要する感染症)に対して、ワクチンを含む治療薬にとどまらないトータルケアを必要とされる方々へ提供している

 

<指標>

・薬剤耐性(AMR)をはじめとする感染症薬の適正使用の推進

・感染症治療薬の成長/売上高

・感染症トータルケアプラットフォームの実現/ワクチンのグローバル展開と売上高

・今後のパンデミックに備えるべき重点感染症※1への取り組み

 

※1 公衆衛生危機管理において、救命、流行の抑制、社会活動の維持等、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬品や医療機器等(MCM)の利用可能性を確保することが必要な感染症

2.健やかで豊かな人生への貢献

<選定理由>

重篤な疾患の発症前には、複数の危険因子が存在し、ドミノのように連鎖していると考えています。様々な疾患につながる根源的な要因は、複合的であり、アンメットニーズが大きいと考えています。SHIONOGIはそれらを社会的影響度の高いQOL疾患※2と位置づけ、医薬品はもちろん、その枠にとどまらないヘルスケアソリューションの提供、ならびに社会環境の改善に取り組むことで、社会のニーズに応え、持続可能な成長を実現していきます。

 

※2 SHIONOGIが重点的に扱うQOL疾患領域:難聴、睡眠障害、肥満など

 

<あるべき姿>

誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現に向けて、社会的影響度の高いQOL疾患に対するソリューションを必要とされる方々へ提供している

 

<指標>

・QOL疾患治療薬の成長/売上高

・QOL疾患トータルケアプラットフォームの実現/DTxの医療への浸透

・こども・保護者・就労者への適切な情報と支援の提供

3.イノベーションの創出

<選定理由>

「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことがSHIONOGIの存在意義であり、強み※3を活かして、最もよいヘルスケアソリューションを創出していくことはSHIONOGIの価値創造の根幹です。創薬を中心に、今後も継続的に革新的ヘルスケアソリューションを生み出すことで競争力を強化していきます。

 

※3 イノベーション創出力、感染症のノウハウ、アライアンス・協働、人材

 

<あるべき姿>

外部環境の急速な変化を捉え、社内の強みを専門知識を持つ外部提携パートナーの能力で補強しながら、困難なアンメットニーズに対して世界をリードするヘルスケアソリューションを提供し続けている

 

<指標>

・技術・イノベーションの創出/社会実装

・新たにPhase2/3に移行した品目数

・Phase2/3の品目数

・医薬品以外のソリューションの創出

4.医療アクセスの向上

<選定理由>

低・中所得国を含む世界中の人々の健康に貢献することはSHIONOGIの使命であると認識しています。今後も、ソリューションをトータルケアの観点から創出するとともに、自社のみならず様々なパートナーとの連携により、SHIONOGIのヘルスケアソリューションを必要とする人々へ提供できるよう取り組んでいきます。

 

<あるべき姿>

創出したイノベーションおよび付随する情報を、適切な価格・方法で提供することにより、ユニバーサルヘルスカバレッジの実現に貢献している

 

<指標>

・LICs /LMICsへの製品・サービスの提供

・医療へのアクセス改善に向けた地域基盤・情報提供の強化

・未承認国における医薬品アクセスの確保

❷ 持続可能な社会へ貢献するために取り組む重要課題

1.責任ある製品・サービスの提供

<選定理由>

品質保証と安全管理は、生命関連企業であるSHIONOGIの責務です。仮に何らかの問題が発生した場合、企業理念に反し患者さまの健康を損ない、SHIONOGIの社会価値、存在意義を著しく毀損し得るリスクをはらんでいます。今後も、品質および安全性が確保された状態で、製品・サービスを提供し続けるためにグループ全体で取り組んでいきます。

 

<あるべき姿>

信頼性の確保や安定供給における責任ある対応を追求し、SHIONOGIの高品質な製品・サービスを安心感とともに社会に届けている

 

<指標>

・品質課題を起因とした顧客不利益の回避

・連続生産技術の複数製品への展開/DX化による高品質・安定供給の実現

・製品・サービスによる重大な健康被害ゼロ

2.サプライチェーンマネジメントの強化

<選定理由>

医薬品を含む製品・サービスを必要とする患者さまへ安定的に供給することは生命関連企業であるSHIONOGIの責務です。今後も、自社に加えグローバルも含めたサプライチェーンマネジメントを適切に行っていきます。

 

<あるべき姿>

各バリューチェーンおよびビジネスパートナーと連携し、強靭なサプライチェーンの構築とその可視化、潜在するリスクの低減により、いかなる場合においてもSHIONOGI製品の安定供給を実現する

 

<指標>

・製品の欠品ゼロに向けた仕組みづくり

・継続的な重要サプライヤー評価と対話

3.人権の尊重

<選定理由>

事業活動を行う上で、すべてのステークホルダーの人権を尊重することの重要性を認識しています。今後も、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて制定した「SHIONOGIグループ人権ポリシー」に沿って人権尊重の取り組みを進めていきます。

 

<あるべき姿>

人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権尊重の取り組みが実施できている

 

<指標>

人権デューディリジェンスの継続実施

4.環境への配慮

<選定理由>

SHIONOGIの事業は健全な地球環境のもとに成り立っており、事業活動に伴う地球環境や地域への負荷低減は重要な企業責任であると考えています。今後も、環境マテリアリティに対し、より戦略的に、また、グループ全体で一体感を持ち活動していきます。

 

<あるべき姿>

地球環境の保全を通じ持続可能な社会へ貢献している

 

<指標>

「SHIONOGIグループEHS行動目標」(環境)の達成

❸ 経営基盤を強化するために取り組む重要課題

1.成長を支える人材の育成・確保

<選定理由>

創薬型製薬企業からHaaS※4企業へTransformし、ビジネスの変革を通じてグローバルに成長していくことをSTS2030Revisionで掲げています。こうした変革による成長を実現していくのは、従業員一人ひとりにほかなりません。今後も、「人材力(個々の力)」、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」、「エンゲージメント」という3つの要素を掛け合わせることで、新たなケイパビリティの獲得・社内融合を進め、成長シナリオを遂行していきます。

 

※4 Healthcare as a Service:医薬品の提供にとどまらず、顧客ニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供すること

 

<あるべき姿>

SHIONOGI Wayの体現を通じ、グローバルな競争に勝ち抜ける強い個人の育成と多様な人材を活かす組織を構築している

 

<指標>

・競争力のある多様な人材の確保

・グローバル人材の育成

・マネジメント人材の多様化

・「SHIONOGIグループEHS行動目標」(安全衛生)の達成

・健康経営目標の達成

2.コンプライアンスの遵守

<選定理由>

コンプライアンスを最も重要視し、公正な企業活動を通じて社会貢献を果たすことはSHIONOGIの経営理念の根幹です。コンプライアンスに関する理解とその徹底は絶えず向上していくべきものであり、その精神を枯らすことなく組織全体に根付かせることで、ステークホルダーからの信頼を獲得し、SHIONOGIのさらなる成長と発展を目指します。

 

<あるべき姿>

社会的責任を果たすことによりステークホルダーからの信頼を獲得している

 

<指標>

・コンプライアンス活動およびプロモーション活動のモニタリング

3.ガバナンスの強化

<選定理由>

基本方針※5をグローバルで具現化していくために、経営環境の変化に迅速かつ機動的に対応し迅速果断な意思決定を行う経営体制と、経営と執行に対する監督機能を両輪とするコーポレートガバナンス体制を構築し運用することが重要と認識しています。今後も、ステークホルダーに対する責務をしっかりと果たし、持続的な企業価値の向上を図っていきます。

 

※5 SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する。

 

<あるべき姿>

透明性および実行性の高いグローバルガバナンス/リスク管理体制のもと、環境変化に柔軟に対応し、SHIONOGIの成長と社会の持続可能性を両立する企業経営を行っている

 

<指標>

・取締役会の実効性評価の実施と継続的な改善施策の実施

 

特に貢献するSDGs

SDGs_3_8_9_12_17

重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス

課題の抽出 STEP1

■リスクと機会の評価

社内外の環境変化に対する認識をもとに機会と脅威を整理

 -社会、事業、社内の3軸で評価

 -ISO26000やESG開示基準の観点を考慮

STEP2

■分類

意味合いから価値創出、持続可能な社会への貢献、基盤の3要素に整理

ステークホルダーへのヒアリング STEP3 投資家や有識者などの社外ステークホルダーおよび社内関連部署にヒアリングを行い、妥当性を確認
マテリアリティの特定とモニタリング STEP4

■抽出された事項の優先順位付け

3要素ごとに影響度と発生・実現可能性の2軸で評価

 -影響度:ステークホルダーエンゲージメントから得た期待値を考慮

 -発生・実現可能性:時間軸を考慮

STEP5

■取締役会での承認

経営会議での議論を経て取締役会にて承認

STEP6

■モニタリング

・マテリアリティ指標の進捗状況を定期的に経営会議および取締役会に報告

・環境変化およびリスクと機会の評価に基づき、定期的に経営会議にてマテリアリティ見直し要否を検討

・見直しが必要な場合は取締役会に上程

リスクと機会

重要課題(マテリアリティ)特定にあたり、社内外の環境変化からSHIONOGIにとってのリスクと機会の分析、評価を実施しました。認識したリスク・機会を基に、必要なリソースを投入して取り組みを進めることにより、社会課題や医療ニーズに応え、社会に必要とされる企業としての成長へと繋げています。今後も継続的にSHIONOGIが社会に与える影響と社会がSHIONOGIに与える影響を評価し、取り組みに反映させることで課題解決に向けた活動を推進していきます。

環境変化/社会ニーズ  
社会・ヘルスケア業界を取り巻く環境の認識 リスク/機会

■ COVID-19の世界的流行とその後の生活様式の変化

■ 企業の社会的責任範囲のさらなる拡大

■ 先進国の高齢化、新興国の台頭

■ 未来を担う子どもたちへの投資の加速

■ ヘルスケア産業の構造変化

■ 医療へのアクセス制限

■ 国際情勢の不安定化

■ デジタル化などの技術革新/技術進化・データ活用の発展

■ 医療用医薬品の世界市場の成長と日本市場の縮小

■ 地球温暖化

リスク

● 衛生意識の高まりに伴う感染症治療薬市場の縮小

● 自社および調達先による下記事象に伴う人権侵害、安定供給・事業遅延・継続リスク/信用力低下

 ・地域社会との関係悪化

 ・人権問題、環境問題、コンプライアンス・ガバナンス上の問題の発生

● 情報セキュリティリスクの上昇

 

機会

● 温暖化による感染症のグローバル化

● 世界的な感染症対策への期待と需要増加

● すべての世代のウェルビーイング実現と社会参画への需要増加

● 予防・未病・セルフメディケーションニーズの向上と市場の拡大

● 医療アクセスの促進

● 技術革新によるソリューションの創出

● 自社および調達先による下記事象に伴う安定供給の実現、顧客満足信頼性の獲得

 ・安定供給・品質保証の継続改善

 ・人権、環境への配慮

社内環境の認識 リスク/機会

■ SHIONOGI Group Vision実現に向けたTransformation

■ 働き方改革の推進

■ パイプライン数、研究開発進度の偏り

■ ロイヤリティービジネスへの高い依存

■ パテントクリフリスクの低下

リスク

● 破壊的イノベーションによる既存のビジネスモデルの崩壊

● SHIONOGI Group Visionの実現を担う人材の不足

● 新興国市場における打ち手不足による機会損失

● 創薬ハードルの上昇、研究効率の低下

● 生産性の低下/人材流出

 

機会

● 特許に依存しないビジネスの構築

● 従業員のTransformationへの意識向上によるイノベーション創出・変化対応力の強化

● 多様な人材が活躍できる環境拡大による人材確保

なお、全社的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)の中で、上記リスクと機会を議論することで、戦略立案および緩和策の立案に繋げています。さらに、リスク・機会の両面から各リスクテーマを捉えた上で、「事業戦略上のリスク」および「事業遂行上のリスク」に対して、必要な投資・資源配分を行うことで対応・取り組みを推進しています。具体的なリスク・対応の詳細は、リスクマネジメントのページをご参照ください。