粘膜投与型ワクチン
COVID-19やインフルエンザなどの呼吸器感染症は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの病原体が、鼻や喉の粘膜から体内に侵入することで感染・発症します。
これらの呼吸器感染症の予防においては、鼻や喉の粘膜部位においてウイルスの感染そのものを防ぐことが重要と考えられています。そのため、感染部位である粘膜で、効果的に免疫を誘導するワクチンとして経鼻ワクチンが注目されています。
経鼻ワクチンは、ワクチン接種時の注射への不安や医療スタッフの負担が軽くなるなどの利点がありますが、噴霧の方法や鼻腔内への投与量の調整など、まだまだ克服すべき課題が多く残されています。SHIONOGIではこのような課題解決に取り組むために、千葉大学病院と共同で「ヒト粘膜ワクチン学部門」を設立し*、臨床および非臨床の両面において大学と連携して効果的な経鼻ワクチンの創製に向けた研究開発を行っています。将来はより簡便な投与方法で、ワクチン接種を行うことが出来る経口ワクチンなどの開発も視野に入れています。
なお、本研究はAMED※1のワクチン開発・生産体制強化戦略関連事業であるSCARDA※2のワクチン・新規モダリティ研究開発事業に採択され、当該事業の助成を受けています。
注釈
※1 AMED
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development)の略。医療分野の研究開発およびその環境整備の中核的な役割を担う国立の研究開発法人として2015年に設立された。
※2 SCARDA
先進的研究開発戦略センター(Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Preparedness and Response)の略。ワクチン開発に関する情報収集・分析と研究費のファンディングにより、ワクチン・新規モダリティ研究開発事業の推進ならびにワクチン開発のための研究開発拠点の形成を推進する。