リアルワールドデータと人工知能の活用~Outstanding Leadership Award受賞とその裏側
Health 2.0 Conference 2023 DubaiにてOutstanding Leadership Awardを受賞
その賞とは、Health 2.0 Conference 2023 におけるOutstanding Leadership Award 。
ヘルスケア業界における知見の向上と技術革新への貢献が認められた者に贈られる賞であり、「ヘルスケア_今年の100人」とも称されるもの。この受賞は、社内外のステークホルダーとの連携が結実した形であるとともに、北西さんのこれまでの生き様や熱い想いが原動力となり実現したものでした。
興味を持ったものはとことん深掘りする
「とにかく、疑問に思ったことはとことん調べないと気が済まない子供でしたね」と語る北西さんの原点は、「興味を持ったことは何でも徹底的に追求する」ところにあったようです。そして成長するにつれ、日本の誇る「モノ作り」に惹かれ、大学では工学部で化学を専攻し、そこで製薬業界への情熱を育み、地元の大阪に本社を構える塩野義製薬に入社する決意を固めました。“なぜ塩野義製薬に?”「大学院では化学領域への機械学習の適用をテーマとしており、今でいうデータサイエンティストのような職種を探していました。そして、当時の塩野義製薬はデータ解析、臨床統計の分野で高い評価を受けていたことがポイントとなりました」
学生時代に専攻していた化学とは少し勝手が違う統計解析業務に戸惑いながらも、業務の対象となる臨床試験のデータ解析に取り組む中で、その分野の重要性と未開拓の可能性を感じていました。その可能性とは、工学部出身である自身の強みを活かせる、機械学習や人工知能技術の臨床試験データやリアルワールドデータへの応用です。その想像力は、時には苦労を伴いながらも、新しい可能性への扉を開く鍵となったのです。
リアルワールドデータ(RWD)と人工知能の活用
“転機となったのは?”との問いに、「社会的にRWD、いわゆるビッグデータの活用が広がり始めた頃ですね」と北西さん。社会の流れに乗り、自らの得意分野である人工知能技術を含む機械学習と臨床統計を融合させることで、医療・ヘルスケア分野の革命を引き起こすことを決意します。特に、人工知能技術を活用した解析プログラミングシステムの開発は、従来、多くの人的リソースを必要としていた臨床試験の解析業務を劇的に効率化させ、製薬業界に新たな展望をもたらしました。
「とにかく困っている人を助けたい。自分たちの持っているノウハウが、ヘルスケア業界の抱える課題解決に役立つんじゃないか?」
自らが中心となり企画・開発した上記の「人工知能解析プログラマ」システムを、社内での活用だけに留まらず社外にもサービスとして提供を開始しました。これは、DXが遅れていると言われるヘルスケア業界において、「データ活用を進め多くの人々の困りごとを解決することに貢献したい」という北西さんの想いを実現した1つの形です。この成果をはじめ、多種多様な研究業績やそこに至るまでの努力とリーダーシップ、人材育成が認められ、北西さんはこの度の国際的なアワードに輝くこととなったのです。
新しい医療・ヘルスケアの未来を目指して
「ヘルスケア産業は情報産業でもある。情報をどう活用するのかがキモで、データの品質を向上させると共に、適切な解析を施し、更にはその正しい解釈が重要となるのです」
北西さんは、ヘルスケア産業が発するエビデンスを通じて社会に新たな付加価値を提供しようと熱く考えています。また、その情熱は一般の皆様にも向けられており、分かりやすく正確な情報を提供することで、ヘルスケアや健康に関するリテラシー向上を促し、皆様が将来的に健やかで豊かな人生を築くための啓発活動につなげたいと願っています。
北西さんの物語は、情熱と創造性、そして社会への貢献に対する欲求が交差する、ダイナミズム溢れる物語です。彼の努力と信念は、医療・ヘルスケア分野において新たなる未来を築くための一石となり、多くの人々に希望と勇気を与えることでしょう。