~音で認知症に挑む~ 日常生活の中での認知機能ケア実現に向けた挑戦。壁を越えた先を見据える若きチャレンジャー。

2023年12月25日 公開
左から DX推進本部データサイエンス部 森本 健太郎、研究本部 新領域開拓研究ユニット 前田 佳主馬、ヘルスケア戦略本部 メディカルアフェアーズ部 田中啓太 、(テレビ)DX推進本部 データサイエンス部 小林 雅行、ヘルスケア戦略本部 新規事業推進部 西村 由季、ヘルスケア戦略本部 新規事業推進部 知念 弘樹、ヘルスケア戦略本部 新規事業推進部 柳川 達也(役職は全て取材当時)
Kikippaメンバー

 「音で認知症に挑む」―この革新的なスローガンを掲げてメンバーと奮闘する一人の従業員がいます。塩野義製薬の新規事業推進部でグループマネージャーとして活躍する柳川達也さん。彼の定める目標と飽くなきチャレンジ精神はどこから生まれるのか。新たな挑戦への想いも含めてお話しを伺いました。

認知症という社会課題に対する新しい技術の追求

 認知症は、記憶・学習、言語能力、判断能力などの認知機能の障害により、患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる疾患です。国内での高齢者人口の増加に伴って、認知症の増加も予想され、新たな治療法やケアのアプローチが求められています。この社会課題に対応するため、塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズ社(以下、「PxDT社」)は2021年より、日常生活に溶け込みながら認知機能ケアを可能にする新しい試み「ガンマ波サウンド」*の開発に挑んでいます。そのコンセプトはずばり、「生活しているだけで困りごとを解決する」。感覚刺激による脳のリズム活動の変化に着目した新しいサービスの開発に向けたチャレンジです。
*「ガンマ波サウンド」:テレビやラジオなど、日常のあらゆる音をリアルタイムに40Hz周期の音に変調することで、日常生活を送りながら認知機能をケアできる可能性がある音

情熱的な挑戦者

 「音で認知症に挑む」—このスローガンのもと、塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズ(PxDT社)が展開する革新的な取り組みの中心にいるのが柳川達也さんです。彼は、日常の音を通じて、認知症ケアの新しい地平を切り開くという野心的なプロジェクトの中心人物の一人。

「この革新的なアプローチは、既存の治療法に満足していない患者に新たな希望を提供する可能性を秘めています。」

と柳川さんは語ります。彼のキャリアは、同業他社での研究員としての経歴から始まり、常に「社会の困りごと」に対する解決策を模索してきました。SHIONOGIへの転職の決め手は、

「治療薬のためだけの研究ではなく、疾患全体を捉えてソリューションを開発していく姿勢があり、新しいことにチャレンジできそうな環境だと感じたから」

と笑顔で教えてくれました。

革新の背後にある力

 「生活しているだけで困りごとを解決する」、というコンセプトはSHIONOGIに入社する前から自身でずっと掲げていたテーマだったという柳川さん。

「社会のあちこちに存在しているヘルスケアに関する「困りごと」をよくしたい。そのためには「治療薬」しか解決策がない、という固定観念が嫌でした」

と語ります。認知症ケアに対する新しいアプローチの提供に向けたこのプロジェクトへの柳川さんの情熱は、日常生活を通じてヘルスケアに関する社会課題を解決するというコンセプトを長年にわたり追求してきたことに起因します。このプロジェクトは、柳川さんの長年の夢の実現とも重なっているのです。

これまでに味わった逆境

 一方で、この取り組みはプロジェクト化されるまでに多くの困難に直面しました。社内ではエビデンス構築前の技術を搭載した製品リリースに関する懸念がくすぶり、社外ではPxDT社との企業文化の違いが障壁に。PxDT社との協業解消、プロジェクトがブレークの危機に陥ったのも1度や2度ではないと言います。しかし、壁にぶつかる中でも、「困りごとを解決したい」という思いを社内外で共有し、サービスを提供していくにはどうするか、に基づいて議論し、妥協点を探っていきました。社内外のいくつもの課題を乗り越え、異なる背景を持つパートナーとの協力を深めながら、彼は常に目的に向かって邁進してきました。

見据える将来

 そんな柳川さんが見据える将来はどんなものなのでしょうか。

「ガンマ波サウンドのエビデンス構築と社会実装を最初の目標としています。将来的には、認知症以外の疾患に対する五感刺激を通じたソリューションの開発を行い、生活するだけで五感刺激によって様々な困りごとが解決する世界を目指しています」。

この取り組みで、ヘルスケアの未来に大きな影響を与えるべく、柳川さんとプロジェクトチームは、音という新たなアプローチで認知症に挑み、社会に希望をもたらすことを目標にして日々前進していきます。

会議風景:常に前向きな議論を心がけ、自然と笑顔も溢れます。
会議風景
 SHIONOGIは医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」へ進化し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、患者さまや社会の抱える困り事をより包括的に解決していくことを目指しています。柳川さんのプロジェクトも世の中に新しい価値を提供していくことに繋がっていきます。
SHIONOGIは、「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という、企業活動の目的を「基本方針」の冒頭に掲げています。これは未来永劫にゆるぎない経営理念であり、SHIONOGIのあるべき姿や社会的存在価値を示すものです。この「基本方針」を具現化するため、SHIONOGIで働く全従業員の日々の活動の規範として「行動憲章」を制定し、世界中の人々の健康の維持増進と快適な生活の実現に貢献する企業集団として、より良いヘルスケアの未来を創り出し、患者さまや医師をはじめとする医療関係者の皆さま、株主や投資家の皆さま、ならびに社会全体の課題解決を目指し、事業活動を通じて持続可能で健全な社会の実現に貢献します。

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