バーチャル社員による「薬育」
2023年12月25日 公開
「あなたに奏でる シオノギカナデです。」
明るい声の主は、バーチャルコミュニケーション部に所属するシオノギカナデさん。2021年にSHIONOGIグループ初のバーチャル社員として塩野義製薬に入社し、同年7月からはYouTube上で情報発信をしています。彼女が今力を入れて発信しているのは「薬育(やくいく)」です。
薬育とは、医薬品の正しい服用の仕方や効果、副作用について教育すること。近年、日本では軽度の不調は自分で手当てするという「セルフメディケーション」の考え方に基づき、消費者が医薬品を自らの判断で選び、自己責任の下で使用するケースが増えています。2012年以降、中学校・高校では「薬の適正使用」の項目がカリキュラムに組み込まれ、小学校でも各校の判断で授業に取り入れるところがあります。
西口:シオノギカナデさんがバーチャルな存在だからこそできることがあると思いました。例えば、製薬会社が発信する情報は、専門家でなければ理解が難しい内容も多くて、とっつきにくい。それを、ちょっと意外で親しみやすいパーソナリティが面白く話すことができたら、より多くの人に興味を持ってもらえるかもしれないなと。そこで、バーチャルYouTuber(以下、VTuber:ブイチューバ―)としての活動を提案しました。SHIONOGIには、従業員のアイデアが採択されると実際に事業として取り組める制度があるので、そこで採択されて実現に至りました。
西口:YouTube、特にVTuberの視聴者は若い方が多い傾向があります。多くの方は身体も元気で、日常的に健康や薬の情報を求めている人は少ないかもしれません。でも、例えば頭が痛くなればすぐにOTC医薬品(薬局やドラッグストアで購入できる医薬品)などを入手できる環境が日本にはあります。でもOTC医薬品でも使い方を間違えば乱用や事故につながりかねないからこそ、薬についての情報は届けたい。VTuberが薬育をやれば、既存のVTuberの試聴層の若い方を中心に、薬や健康についての正しい知識にも抵抗なく触れてもらうことができるのではないかと考えました。
前川:この取り組みを好意的に取り上げてくださるメディアやSNS投稿もあり、SHIONOGIのVTuberだからこそ届けるべき情報だと思っています。動画への「勉強になった」「ためになる」といったコメントはとても励みになっていますし、小さい子供さんがいる親御さんから「子供に安心して見せられるチャンネルだ」と言っていただけたこともうれしかったですね。「薬育」は“薬”の教“育”ですが、私たちもまだまだ「教育する」と言うには不勉強なところもありますので、「一緒に学ぶ」つもりで企画しています。
西口:自分にとっても、会社にとっても初めてのことだらけで、最初は何をやるにも苦労の連続でした。社内の様々な部署の協力を得ながら進めていますが、最初は理解を得るのも大変でした。
前川:私がこのプロジェクトに参画した時は“VTuber”という言葉すら知らないような状態で、すべてが手探りでした。今では立派なVTuberマニアと言えるほど詳しくなりましたが、他の有名VTuberの成功事例をそのまま応用できるわけではないので、SHIONOGIらしいやり方を模索して試行錯誤し続けています。
西口:一般的なVTuberではリアルタイムの生配信も増えていますが、薬育のコンテンツは情報の正しさが求められるので生配信向きではありませんし・・・
前川:そうですね。薬育動画も製薬会社が発信する情報の一つなので、内容や表現が確かなものか社内で審査を受ける必要もあり、内容によっては社外の専門家による監修を受けることもあります。
片山:私はイラストレーター、グラフィックデザイナーとして途中からチームに加わりましたが、動画に出てくる説明用のイラストや図なども、事実に基づき正しく表現する必要があるので、正しくわかりやすく描くのが難しいところではありますね。
前川:企画から台本制作、素材制作まで社内で行っているのは珍しいかもしれません。でも自分たちの言葉で伝えたいですし、その方が効率的なこともあります。
前川:健康や薬について、誰もが正しい情報にアクセスできることはとても重要だと思います。正しい情報への入り口として、YouTubeチャンネル「シオノギカナデ/Shionogi Kanade」が役に立ってくれると嬉しいです。
西口:SHIONOGIではCSR推進部の活動として、子供向けの手洗い教室なども実施しているのですが、そこで薬育動画やイラストを利用してもらうことも増えてきました。シオノギカナデさんの活躍の場が、VTuberとしてというより、薬育のアイコニックな存在として広がっていったら面白いですね。
SHIONOGIの基本方針には「常に人々の健康を守るために 必要な最もよい薬を提供する。」とありますが、どんなに優れた薬でも、正しい情報をもとに適切に使っていただかないと「最もよい薬」として機能することはできません。シオノギカナデさんをVTuberとして起用した情報発信も、SHIONOGIが「最もよい薬を提供する」ために欠かせない活動の一つです。
まだの方はぜひチャンネル登録を。