AMR問題へのSHIONOGIの挑戦
世界が直面するAMR問題へのSHIONOGIの挑戦
そのような環境下でも、SHIONOGIは患者さまと社会の両方が将来必要とする抗菌薬の恩恵を確実に受け続けられるように、新しい感染症治療法の研究・開発を続けることを明言し、今もなお、精力的に取り組んでいます。
SHIONOGIは「世界を感染症の脅威から守る」ことを顧客・社会に新たな価値を創出するために取り組む重要課題の1つとして掲げ、未だに治療法が確立していない感染症に対する新薬の創製、感染症薬の適正使用のさらなる推進に取り組んでいくと宣言しました。また、2018年には、AMRという社会課題に対するシオノギの考え、取り組みについて「AMRポジションペーパー」を公開しており、今後も引き続き、抗菌薬の研究・開発、適正使用、流通等のAMR対策におけるリーディングカンパニーを目指して、取り組みを進めていきます
セフィデロコルの開発
既存薬に対する耐性を獲得したグラム陰性菌感染症は、治療が困難で致死率が高く、かつ、増加傾向にあることから、医療における重要課題の一つです。この課題に対する有望な治療選択肢として、世界で初めてのシデロフォアセファロスポリン抗菌薬であるセフィデロコルを創出しました。セフィデロコルはWHOが最優先の対応を必要としている3種のカルバペネム耐性菌(アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌、腸内細菌目細菌)すべてに効果を有しており、2020年2月に米国で「FETROJA」の製品名で発売を開始しました。さらに、欧州では、2020年4月以降「FETCROJA」の製品名で順次承認を受けて発売しています。
SHIONOGIは、AMR対策の重要な位置付けである研究開発の成果として生み出されたセフィデロコルを基軸として、グローバルにおいて深刻なAMR問題の解決に取り組むことにより、国際貢献できると考えています。
SHIONOGIと産業界による取り組み
SHIONOGIは、AMRに関する国内外の各種活動にも積極的に参加し、グローバルにおける社会的課題の解決に寄与できるように取り組んでいます。
ダボス共同宣言(2016年1月)
- 医薬品、バイオおよび診断薬業界の多剤耐性菌対策に関する共同宣言
- SHIONOGIを含む100社以上の企業が加盟、以下をコミットメント
- 抗菌薬の薬剤耐性発現の軽減に努める
- 公衆衛生のニーズに応える革新的な診断と治療の研究開発に投資
- 高品質の抗菌薬へのアクセスを改善し、すべての必要な人が利用可能にする
- 過剰な抗菌薬使用を抑制するために販売インセンティブを与えない
抗菌薬耐性対策の進展へ向けた産業ロードマップ(2016年9月)
SHIONOGIを含む世界をリードする製薬企業13社が参画、主要4つのコミットメントのためのロードマップを策定
- 抗菌薬の生産による環境負荷の低減
- 必要とする患者さまへの抗菌薬の適正使用
- グローバルアクセスの改善
- 官民パートナーシップによる協力体制の支援
AMR Industry Alliance Board
- SHIONOGI、ファイザー、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン、グラクソ・スミスクライン、サノフィ、ロシュの7社が、AMR Industry Alliance Boardを設立
- AMRを抑制するために、業界における生命科学の進歩を推進し、製薬、ジェネリック医薬品、バイオテクノロジー、診断薬会社の100を超える研究ベースの提携
AMR Action Fund(2020年7月設立発表)への参画
AMR Action Fundは研究開発型製薬業界を代表する国際組織である国際製薬団体連合会(IFPMA)のイニシアチブ。シオノギを含む20社以上の大手バイオ製薬企業からの投資により、AMRに対応するために創出された共同ベンチャー事業として以下の活動を推進
- 公衆衛生上の最優先のニーズに対応し、臨床現場での治療を大きく変え、命を救う革新的な抗菌薬の開発に傾注する小規模なバイオテクノロジー企業に投資する
- 投資先企業に技術的な支援を行い、それら企業に大手バイオ製薬企業が持つ深い専門知識と資源へのアクセスを提供することで、研究開発を強化するとともに、抗菌薬へのアクセスと適切使用を支援する
- 業界と、慈善団体・開発銀行・国際機関を含む業界外の関係団体との広範な連合体を主導し、抗菌薬パイプラインへの持続可能な投資を実現するための市場環境を創出するよう各国政府に促す