SHIONOGIのAI革新への挑戦
全社で、生成AIを"当たり前"に
2022年に本格化したAI活用は、いまや一部の専門部署の取り組みにとどまりません。
私たちが掲げる「生成AI利用率100%」という目標も、数字そのものを追うためのものではありません。全従業員が日常業務で生成AIを使いこなせる状態を"当たり前"にすることで、はじめて全社規模の業務変革が動き出す。その入り口として、この目標を掲げています。
① 全社を動かす基盤づくり
Microsoft Copilotの全社導入
2026年4月、SHIONOGIはMicrosoft Copilotを全社規模で展開しました。受益者ごとではなく会社が一括で環境を整える「全社モデル」を採用し、部門や個人の間に活用格差が生まれない環境をつくっています。会議・メール・文書作成・情報検索といった全社員共通の業務から生産性を底上げしています。
内製生成AIアプリ群「SHIONOGI AI Applications(SHAPPs)」
既成のツールだけでは届かない、現場ならではのニーズにスピーディに応えるのが、社内で内製した生成AIアプリケーション群「SHIONOGI AI Applications(SHAPPs)」です。AWSのクラウド基盤を活用し、全社共通のAIチャットから議事録作成、部門横断の文書検索、ガイドライン検索、意思決定支援まで、40種を超える多様なアプリを現場の声を起点に素早く実装・改善しています。またこのアプリ群はグローバルでのグループ会社にも展開しています。
「実際に使える・安全な」アプリを、俊敏に、そして幅広く届ける。アジリティと汎用性を強みに、生成AI活用の裾野を支える基盤となっています。
② 専門領域に踏み込む — 本格的なドメイン特化開発
メディカルライティング支援AI
臨床試験プロトコールや治験総括報告書(CSR)といった専門文書の作成は、多大な工数を要し開発期間にも影響する重要業務です。ここに生成AIによる定型文生成や文体統一を組み込むことで、効率化と品質向上を両立し、新薬開発の迅速化を目指しています。
臨床試験プログラミングの自動化(AI-SAS)
臨床試験で必要な統計解析プログラムをAIが自動生成し、標準作業時間を大幅に削減。医薬品開発のスピードと品質を両立します。
汎用アプリのアジリティと、専門特化開発の深さ。
この両輪で、SHIONOGIは"広さ"と"深さ"の双方から業務変革を進めています。
③ データで推進する — 活用状況ダッシュボードによる可視化
「利用率100%」を目指すうえで、まず必要だったのは「現在地を知ること」でした。SHIONOGIは、内製アプリ群と一般SaaSに分散する生成AIの活用ログを中央集中的に取得・統合し、全社の活用状況を一元的に可視化・モニタリングする基盤を自ら構築しました。
「使用歴あり/週1回以上/週3回以上」の3段階で活用の深さを捉え、本部別・部署別・機能別に現在地を毎日更新。これにより、高活用部門の成功要因を横展開し、活用が伸び悩むエリアへ教育投資を重点配分するなど、感覚ではなくデータに基づいた戦略的な推進が可能になりました。
④ 人と文化を育てる — 教育と風土醸成
ツールを配るだけでは、組織は変わりません。SHIONOGIは、レイヤーと習熟度に応じたDX人材育成プログラムを土台に、生成AIの教育・風土醸成の施策を多層的に展開しています。
全社員が気軽に参加できるハンズオンワークショップや、業務の使いどころを発掘する「プロンプトソン」を開催裾野を広げる一方、近年は中央発信の一斉教育の限界を越えるため、組織を主体とした「AIエヴァンジェリスト制」の確立を進めています。各組織の推進役を起点に、組織の内側から活用を広げていくこのモデルは、実務者からマネジメント層まで多層的に巻き込みながら、部門を越えたコミュニティへと発展しつつあります。
未来への展望 — AIネイティブな企業へ
生成AIは、近い将来「当たり前の基盤技術」となります。SHIONOGIが目指すのは、その基盤の上で、全社員が生み出すデータと知見を糧にAIがさらに賢くなり、"最初からAIがあることを前提に業務を組み直す"。AIネイティブな企業への変革です。
基盤・データ・人材・文化を束ねた全社的な取り組みによって、SHIONOGIは、患者さんと社会に新しい健康価値を届ける挑戦を、AIとともに加速していきます。