塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、提携先であるGrünenthal GmbH(本社:ドイツ アーヘン、CEO:Gabriel Baertschi、以下「Grünenthal社」)が、変形性膝関節症に伴う痛みに対する治療薬として開発中のResiniferatoxin注射剤について、米国食品医薬品局(FDA)よりブレイクスルーセラピーの指定を受けたことを発表1しましたので、お知らせいたします。当社はGrünenthal社との間で、変形性膝関節症に対する疼痛治療薬候補品として同注射剤の国内導入に関するライセンス契約を締結2しております。
ブレイクスルーセラピーとは、重篤あるいは生命を脅かす疾患に関する薬剤の開発および審査の促進を目的としたFDAの制度です。本制度の指定を受けるためには、1つ以上の臨床的に重要な評価項目において、既存の治療法と比較し、当該薬剤の顕著な改善を示す予備的臨床エビデンスが必要です。今回の指定は、大幅な痛みの軽減と良好な安全性プロファイルを示した本治療薬のPhase 1およびPhase 2試験の結果をもとに判断されました。これにより、変形性膝関節症の痛みに苦しむ患者に本治療薬をより迅速に提供できることが期待されます。現在、日本を含むグローバルPhase 3試験をGrünenthal社が実施中です。
塩野義製薬は、従来の医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS3企業」への変革を掲げています。当社は、これまで培った創薬型製薬企業としての強みを磨きつつ、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、患者さまや社会の抱える困り事の解決に取り組んでまいります。
なお、本件が2024年3月期の業績に与える影響は軽微です。
以 上
【Grünenthal社について】
Grünenthal社は疼痛および関連疾患を重点領域としており、世界中の患者さまに革新的な治療法と最先端の技術を提供することで、世界中の人々の生活の質を向上し、痛みのない世界を実現するために活動している製薬企業です。本社はドイツのアーヘンにあり、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、米国など29か国に関連会社を持っています。詳細はGrünenthal社のホームページをご覧ください。
【Resiniferatoxin注射剤について】
Resiniferatoxin注射剤は、変形性膝関節症患者の痛みの治療のために開発されたresiniferatoxinの関節内注射剤です。Resiniferatoxinは、非常に強力なTransient Receptor Potential Vanilloid 1(TRPV1)のアゴニストであり、膝に投射する感覚神経の強い脱感作を起こし、感覚神経が膝から退縮することが作用機序です。Resiniferatoxinの投与によって、長期にわたる痛みの緩和とQOLの向上が期待されています。
【変形性膝関節症について】
変形性膝関節症は、関節の組織が時間の経過とともに破壊され、激しい痛みを生じる病気であり、65歳以上の人々に多く見られる関節疾患です。また、変形性膝関節症に苦しむ患者は世界で3億6,000万人以上いると報告されています。一般的な症状には、関節の痛み、こわばり、腫れ、関節の動きの変化、関節が緩んでいるかのような不安定な感覚などが挙げられます。その原因は完全には解明されていませんが、年齢、性別、代謝、関節損傷など、共通する要因が明らかになりつつあります。治療効果とアドヒアランスが高い治療薬はなく、大きなアンメットメディカルニーズが残されています。
ご参考:
1. 2023年5月22日:Grünenthal プレスリリース
Grünenthal’s resiniferatoxin receives Breakthrough Therapy Designation from U.S. FDA for pain associated with osteoarthritis of the knee
2. 2022年8月4日 :プレスリリース
変形性膝関節症に対する新規疼痛治療薬Resiniferatoxin注射剤の国内導入に関するGrünenthal社とのライセンス契約締結について
3. HaaS:Healthcare as a Service
医薬品の提供にとどまらず、顧客ニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供すること
[お問合せ先]
塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.