Nature 618, S19 (2023)
ISSN 1476-4687 (online) ISSN 0028-0836 (print)
https://www.nature.com/articles/d42473-023-00092-x
日本語翻訳サイトはこちら
マラリアは、エイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の一つです。主に熱帯、亜熱帯地域を流行地とし、マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染します。年間の感染者数は世界で約2.5億人、死亡者数は約62万人と報告されており、予防ワクチンの有効性が十分ではないこと、さらに既存の治療薬に耐性を示す原虫が増加してきていることなどから、人類の脅威として世界的に深刻な問題となっている感染症です。
長崎大学と塩野義製薬は、これまでも連携協定を結ぶなど、マラリアの予防および治療に関する研究を共に進めてきました。また、長崎大学は1942年より本格的に感染症研究を開始し、今では、日本で他の追随を許さない研究の質と量を誇る感染症の教育研究拠点となっています。その結果、2023年に入ってからだけでも、マラリア治療薬の研究に関して、以下のような取り組みや成果を発表しています。
▶2023年3月13日
新規マラリア治療薬創出に関する塩野義製薬・MMV との共同研究契約の締結と
GHIT Fund による採択について
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/guidance/kouhou/press/file/2022/20230313-3.pdf
▶2023年7月6日
マラリア原虫とヒトの概日リズムの同調メカニズムを発見
―発症の分子機構を阻害する、新規抗マラリア薬の開発に期待―
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science313.html
▶2023年7月21日
マラリア創薬に向けた革新的ツールとなる遺伝子改変原虫を創出
―複数のステージを標的とする新たな抗マラリア薬の開発に期待―
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science314.html
▶2023年9月20日
ナノ粒子を用いたmRNA(メッセンジャーRNA)型ワクチンのマウスモデルでの実証実験に
世界で初めて成功
マラリア感染早期の肝臓での原虫増殖を防ぐ
~細胞性免疫が主役となるマラリアワクチンの実用化に期待~
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science320.html
長崎大学と塩野義製薬は、マラリアがもたらす世界的な課題の解決に向けて引き続き連携を深め、同感染症の予防および治療に新たなソリューションを提供できるよう、積極的に取り組んでまいります。