- エンシトレルビル投与後のCOVID-19症状の再燃は稀であり、ウイルスリバウンドに起因しない
- 症状が軽度のみ、あるいは無症候のSARS-CoV-2感染者でも、プラセボ比でウイルス力価が陰性になるまでの時間を大幅に短縮
2演題目のポスター発表には、PCR検査陽性で無作為化割付時に無症候または軽度症状のみ有するSARS-CoV-2感染者を対象に実施中のPhase 2b/3 partにおける最新の結果が含まれます。本速報は、エンシトレルビルによる治療開始後10日間追跡調査された被験者データに基づくものです。既報の軽症/中等症患者における結果1, 2と同様に、これらの対象集団においても、エンシトレルビル125 mg投与群は、投与4日目(3回投与後)のプラセボ群との比較において、ウイルスRNA量を有意に低下させました(ベースラインからの変化量のプラセボ群との差異:1.12 log10 copies/mL、p<0.0001)。また、エンシトレルビル125 mg投与群は、ウイルス力価の陰性化が最初に確認されるまでの時間をプラセボ群と比較して有意に短縮しました(力価陰性化までの時間の中央値:本薬125 mg投与群38.3時間、プラセボ群66.7時間、p<0.0001)。本試験partは探索的な位置づけであるものの、ウイルスRNA量の減少とウイルス力価陰性までの時間の短縮は、感染期間の短縮を示唆するものであり、ウイルスの伝播リスクの減少に寄与する可能性があります。
本試験partで登録された無症候感染者の部分集団において、エンシトレルビル125 mg投与群は、プラセボ群と比較して無症候状態から症状発現に至った被験者の割合を数値的に減少させました(本薬125 mg投与群4.3% [1/23例]、プラセボ群18.2% [4/22例])。軽度症状のみを有する感染者の部分集団では、エンシトレルビル125 mg投与群は、プラセボ群と比較して軽度症状からの悪化が認められる被験者の割合を数値的に減少させました(本薬125 mg投与群17.4% [29/167例]、プラセボ群23.9% [39/163例])。本試験partにおいても、エンシトレルビルの忍容性は良好であり、新たな安全性の懸念は確認されませんでした。
【エンシトレルビル フマル酸について】
参考:
1. プレスリリース:2022年9月28日:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(S-217622)の 第2/3相臨床試験 Phase 3 partにおける良好な結果について(速報)
2. プレスリリース:2023年2月22日:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸によるウイルス力価の早期陰性化ならびに罹患後症状(Long COVID)の発現リスクに対する低減効果について
3. ClinicalTrials.gov:NCT05305547
4. ClinicalTrials.gov:NCT05605093
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