塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズ、 認知症予防・認知機能改善を目指したパートナー各社との連携を発表
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)とピクシーダストテクノロジーズ株式会社(本社:千代田区、代表取締役 CEO 落合 陽一、COO 村上 泰一郎、以下「PxDT」)は、日常生活の中で認知症の予防、認知機能の改善が可能な社会の実現を目指す「ガンマ波サウンドを活用した生活に溶け込む認知機能ケア」に関するパートナー各社との連携について4月18日(火)に発表しましたのでお知らせいたします。
「ガンマ波サウンド」は、テレビやラジオなどの音をリアルタイムに40Hz周期の音に変調することができる特殊な技術(以下、「ガンマ波変調技術」)を用いた、生活をしながら認知機能をケアできる可能性がある音のことです。このたびの連携を通じて、ガンマ波変調技術の研究・技術開発を進めている塩野義製薬とPxDTの2社が中心となり、パートナー企業として参加する株式会社NTTドコモ、株式会社学研ココファン、SOMPOひまわり生命保険株式会社、三井不動産株式会社の4社とともに、各社の事業領域の中で「ガンマ波サウンド」による認知症予防、認知機能改善の取り組みを進めてまいります。
■背景
国内において高齢者人口は増加し続けており、高齢化の進展に伴って認知症の有病者数はさらに増加すると予想されております1。認知症は記憶・学習、言語能力、判断能力などの認知機能が障害されることでご本人のQOL(Quality of Life)が低下するとともに、介護者の肉体的、精神的、経済的負担にもつながり、社会に与える影響の大きい疾患です。一方で、既存治療法に対する患者満足度は高くなく2、新たなソリューションの開発が求められています。
塩野義製薬とPxDTは「生活に溶け込む認知機能ケア」という共通コンセプトに基づいた共同研究を進める中で、「ガンマ波サウンド」を共同で開発しています3。両社は「音刺激による脳活性化および認知機能改善」に向けたさらなるエビデンス構築を行いつつ、このたびのパートナー企業との連携を通じて、パートナー各社がもつ強みや特徴を活かした「ガンマ波サウンド」の社会浸透と、新たな「生活に溶け込んだ認知機能ケア」サービスの創出につなげ、日常生活の中での認知症予防や認知機能の改善が可能な社会の実現に取り組むことで、患者さまや社会の抱える困り事の解決に向けた新たなソリューションの提供に引き続き取り組んでまいります。
■パートナー各社の展望と「ガンマ波サウンド」を活用した取り組みについて
塩野義製薬株式会社
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つに「社会生産性向上・健康寿命の延伸」を特定しています。引き続き、アンメットメディカルニーズの高い認知機能障害に対する画期的な治療法を患者さまにお届けできるよう努力し、精神・神経系疾患を抱える患者さまとそのご家族のQOLの向上に貢献してまいります。
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
ピクシーダストテクノロジーズは、「社会的意義や意味のあるものを連続的に生み出す孵卵器となる」をミッションに掲げ、音や光などを自在に操る独自の「波動制御技術」を用いたヘルスケア製品の研究開発を進めています。
私達が塩野義製薬と共に開発した「ガンマ波サウンド」は、認知症予防や認知機能改善に大いに貢献できるものと確信しております。この「音」の可能性に共感頂ける各パートナー企業と共に、各社各領域での様々な検証を実施することで、一刻も早く多くの方の希望となれるよう、全速力で社会浸透を目指します。
株式会社NTTドコモ
NTTドコモはスマートフォンやデジタルを活用して認知症予防に貢献し、あなたとあなたの大切な人たちを自ら意識せずとも、普段の生活の中で自然と健康で幸せにすることをめざします。具体的には、ドコモが研究している「スマートフォンから認知機能のリスクを検知する技術」と「スマートフォンを通じて認知機能を改善するコンテンツ」を開発しております。自社開発のサービスだけではなく、様々なパートナーのプロダクト、サービスとともに認知症予防の取り組みに積極的に取り組んでおります。
その中のひとつとして、塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズが構築するガンマ波サウンドを活用した取組にも参加することで、自ら意識せずとも、普段の生活の中で自然と認知機能の改善が図れている地域づくり、地方の活性化や課題解決を行い、デジタル田園都市国家構想の実現に貢献してまいります。
株式会社学研ココファン
学研ココファンは「多くの高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられること」を目指し、全国で高齢者支援事業を展開しています。今回の取り組みにおいては、認知症という社会課題解決のため、高齢者の皆さまに最も近い介護領域に携わる立場として、ニーズの探索や新たなサービス開発に尽力してまいります。
SOMPOひまわり生命保険株式会社
SOMPOひまわり生命は、保険本来の機能(Insurance)と健康応援機能(Healthcare)を組み合わせた「Insurhealth®(インシュアヘルス)」を新たな価値として提供しています。2018年にインシュアヘルス商品として「笑顔をまもる認知症保険」を発売し、認知機能低下の予防やMCIの早期発見などに取り組んできました。今後は、ガンマ波サウンドを活用したサービスの提供や新たな保険開発に繋がる取り組みを行い、お客さまの認知機能低下の予防に貢献してまいります。
三井不動産株式会社
三井不動産グループは「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」することを目指しています。当社が提供する健康経営支援サービス&well(アンドウェル)においても、企業の持続的成長にとって不可欠な従業者やその家族の健康保持・増進をサポートしています。
あらゆる場において人々のくらしとの接点を持つ当社グループとして、認知機能改善技術など最先端のテクノロジーを活用し、直面する社会課題の解決を目指します。
【用語解説】
「ガンマ波サウンド」について
「ガンマ波サウンド」は、テレビやラジオなど、日常のあらゆる音をリアルタイムに変調することで、生活をしながら認知機能をケアできる可能性がある音のことです。40Hzの周波数は、ヒトが記憶や推論などの問題解決型の思考をしているときに現れる脳波「ガンマ波」と同じ帯域であり、認知機能障害の特徴の一つとして、脳内で認知機能を発揮するのに必要な脳の特定のリズム活動(ガンマ波)が低下していることなどが報告されています4。また、40Hz周期の音の呈示によって、マウスの認知機能が改善した研究結果や、ヒトを対象とした臨床試験においても40 Hz周期の音と光を用いて認知機能悪化の抑制や脳萎縮の抑制を示唆する研究結果が得られており、40Hz音は世界的に注目を集めています5。
一方、これまでの研究で用いられた40Hz音は音声情報などを含めることの出来ない単調なパルス音であり、毎日長い時間聞き続けるには負担が大きく、日常生活の中に取り込みづらい可能性がありました。塩野義製薬とPxDTでは、この課題を解決するため、テレビやラジオなどの音をリアルタイムに40Hz周期の音に変調することができる特殊な技術(ガンマ波変調技術)を用いた「ガンマ波サウンド」を共同で開発しています。また、ガンマ波変調技術による40Hz変調音においてもヒト脳内でのガンマ波が惹起されることを確認しています。
「ガンマ波変調技術」について
【参考】
1. 平成26年度厚生労働省科学研究費補助金特別研究事業「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」
2. 令和2年度 国内基盤技術調査報告書「60 疾患に関する医療ニーズ調査(第6回)」分析編
3. 2022/6/21リリース 共同研究に関する塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズによる基本合意書の締結
4. Herrmann, C. S., & Demiralp, T. (2005). Human EEG gamma oscillations in neuropsychiatric disorders. Clinical neurophysiology, 116(12), 2719-2733.
5. Cell. 2019 Apr 4;177(2):256-271.e22.
■ 本件に関するお問い合わせ先
・ 塩野義製薬株式会社
お問い合わせフォーム: https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3
・ ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
お問合せフォーム: https://pixiedusttech.com/contact/