SHIONOGIグループは、提供する製品が患者さまの健康や生命に直結するものであるという重大さ、製薬企業としての責務を強く認識した上で、企業経営に取り組んでいます。必要な医薬品を患者さまに確実にお届けし、そして「SHIONOGIグループの薬なら安心」と使っていただけるよう、国内外のグループ会社だけでなく、サプライヤーとも密接に連携して品質と安全性の確保に取り組み、高品質な医薬品の安定供給に全力で取り組んでいます。

安定供給に向けた取り組み

SHIONOGIグループでは、いかなる場合においても製品供給が途切れることがないよう、原材料メーカーや製造委託先などのサプライヤーからの調達に関するリスクを定期的に評価するとともに、リスクの高いサプライヤーに対しては改善の促進や代替先の追加、調達の複線化などの対応措置を講じています。また、製品の納品指標にも厳格な目標を設定し、患者さまや医療従事者の皆さまにSHIONOGIグループの製品・サービスを安定的に届けられるように供給体制を強化しています。

具体的には、製品の安定供給と欠品リスクの最小化を目的に、複数社購買(マルチソース化)、在庫適正化および輸出ルート複線化を積極的に推進しています。特に重点および管理品目においては、原薬や製剤の調達先の複線化を進めるとともに、急激な需要変動リスクなどへの対応として一定以上の在庫確保量を設定し、サプライチェーンの強靭化を図っています。主要品目では、第二製造サイトの追加を進め、供給リスクの分散を目指しています。

また、パンデミックや地震などの不測の事態に対しても迅速に供給できるよう、対応手順を規定しています。天災や暴動などが発生した場合にも影響を受けない輸出ルートの複線化や、需給予測の精緻化と連動した調達戦略の強化により、グローバルな供給体制の安定性を高めています。これらの取り組みを支える仕組みとして、SHIONOGIグループではサプライヤー管理サイクルを体系的に運用しています。サプライヤーのランク査定から定期的なレビューを通じて、技術移転やサイト選定を行い、量産および商業生産へと供給体制を段階的に構築しています。この一連のプロセスにより、品質と信頼性を確保しながら、持続可能なサプライチェーンの強化を図っています。

さらに、SHIONOGIグループでは、PSCI※1が掲げる「責任あるサプライチェーンマネジメントのためのPSCI原則」を支持し、誠実・公正・公平・透明を基本とした調達活動を行うため、下請法をはじめとする関係法規を遵守し、ステークホルダーの方々からさらなる信頼を得られるよう、企業価値の持続的向上に努めています。
今後も、外部環境の変化に柔軟に対応できるサプライチェーンの構築を進めていきます。
  1. ※1
    PSCI : Pharmaceutical Supply Chain Initiative(世界の製薬企業40社以上が参画し、医薬品業界におけるCSR調達の推進を目的とする非営利団体)
マルチソース化によるサプライチェーンの強靭化・委託先管理サイクル

DXの活用

SHIONOGIグループでは、高品質かつ安定的な製品供給の実現に向けて、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、製造・品質管理体制の強化に取り組んでいます。その一例として、グループ会社のシオノギファーマでは、AIを活用した生産管理システムの導入を進めています。このシステムは、製造・試験・人員を含む生産計画を迅速かつ柔軟に立案できる仕組みであり、現在運用検証を行っています。これにより、従来はデジタル化が困難とされていた生産計画業務においても、効率化と精度向上を実現しつつあります。このようなDXの取り組みを通じて、SHIONOGIグループは生産計画達成に必要な人員や生産能力の可視化を図り、人材育成や設備投資を戦略的に実行することで、より高品質で安定的な製品供給体制の確立を目指しています。

連続生産技術の活用

SHIONOGIグループでは、医薬品製造の効率化と柔軟性の向上を目指し、革新的な技術である「連続生産」の実用化に取り組んでいます。従来のバッチ生産では、スケールアップに多くの時間と費用を要する一方、連続生産では開発期間の短縮や原薬使用量の削減が可能となり、需要の変化にも柔軟に対応できます。これにより、製造工程全体の効率と柔軟性が高まり、開発段階から商用生産に至るまで安定した品質管理を実現します。

 

グループ会社のシオノギファーマでは、この連続生産技術を技術開発戦略の柱と位置づけ、原薬・中間体・製剤の各製造工程の連続化・自動化を推進しています。国内でも前例の少ない中、設備設計や製造工程の工夫、高度な分析技術の活用により、信頼性の高い製造プロセスを構築し、連続生産による製造方法での承認も取得しました。今後も、技術革新への挑戦を続けながら、安定かつスピーディに医薬品を届けられる仕組みづくりに貢献し、持続可能な製造体制の構築を目指します。