2020/10/15

1日1回投与2剤配合錠Dovato®(ドルテグラビルおよびラミブジン)の TANGO試験96週時点、およびGEMINI試験 144週時点の良好な結果に関する ViiV社の発表について
-治療による薬剤への耐性は認められず、高い有効性を長期間維持-

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、1日1回投与の2剤配合錠Dovato®(ドルテグラビルおよびラミブジン)のTANGO試験およびGEMINI試験について、それぞれ96週時点および144週時点における良好な結果を発表したことをお知らせいたします。

 

TANGO試験は、テノホビル・アラフェナミド・フマル酸塩(TAF)を含む3剤以上の治療レジメンで6ヵ月以上のウイルス抑制が確認されている成人HIV-1感染患者を対象に、TAFを含む3剤レジメンを継続する場合を対照群として、Dovato®へ切り替えた場合の安全性および有効性を比較検討する第III相臨床試験です。96週時点でウイルス抑制を維持できなかった患者(血漿中HIV-1 RNA量:≧50コピー/mL)の割合は、Dovato®の2剤レジメン群で1%未満、TAFを含む3剤レジメン群で1%であり、Dovato®の2剤レジメン群はTAFを含む3剤レジメン群に対し非劣性を示しました。また、96週時点でウイルス抑制を維持した患者の割合は、Dovato®の2剤レジメン群で86%(317名/369名)、TAFを含む3剤レジメン群で79%(294名/372名)であり、Dovato®の2剤レジメン群は対照群に対し非劣性を示しました。さらに、TAFを含む3剤レジメン群では3名(1%未満)でウイルス学的失敗を認めたの対し、Dovato®の2剤レジメン群でウイルス学的失敗を認めた患者はおらず、両群ともに治療による薬剤への耐性は生じませんでした。安全性に関して、全体的な有害事象の発生率は両群で同等の結果であり、薬剤に起因するグレード2-5の有害事象の発生率はDovato® の2剤レジメン群で6% (21名/369名)、対照群で2%(7/371)でした。脂質関連パラメータのうち、総コレステロール、低比重リポプロテイン、トリグリセリドの変化はDovato®の2剤レジメン群で、高比重リポプロテインの変化は対照群でそれぞれ有意に好ましい値を示しました。腎機能を示す糸球体ろ過速度(GFR)は両群ともに低下しましたが、その程度はDovato群で有意に少ない結果でした。

 

GEMINI試験は、GEMINI-1および GEMINI-2という2つの同様な第III相臨床試験から成り、HIV-1に感染し治療歴のない成人を対象として、対照群であるドルテグラビルと2種類の核酸系逆転写酵素阻害薬テノホビル・ジソプロキシル・フマル酸塩/エムトリシタビン(TDF/FTC)の3剤レジメンとの間で、Dovato®の安全性および有効性を比較検討する試験です。両試験ともに144週時点でも対照群に対する非劣性を継続しており、併合解析を行った結果、144週時点におけるウイルス抑制効果は、Dovato® の2剤レジメン群では82% (584名/716名)、ドルテグラビルとTDF/FTCの3剤レジメン群では84% (599名/717名) でした。また、ウイルス学的失敗を認めた患者は、Dovato® の2剤レジメン群では12名 (1.7%) 、ドルテグラビルとTDF/FTCの3剤レジメン群では9名 (1.3%) であり、これらの患者において治療による薬剤への耐性は生じませんでした。全体的な有害事象の発生率については両群で同等の結果でしたが、薬剤に起因する有害事象の発生率について、Dovato® の2剤レジメン群では20% (146名/716名)、対照群では27%(192/717)であり、Dovato® 群で有意に低い値となりました。

 

これらの結果は、Dovato® の長期間にわたる有効性、安全性、ならびに高い耐性バリア能を支持する重要な知見となります。結果の詳細は、2020年10月5日~8日に開催された「HIV Glasgow 2020 Congress」にて、ViiV社より発表されており、2020年10月8日1、および10月5日2にそれぞれ公表されています。

 

なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

 

以 上

 

 

ご参考:ViiV社プレスリリース

1. TANGO試験 96週時点

2. GEMINI試験 144週時点

 

 

 

【ご参考】

Dovato® (ドルテグラビルおよびラミブジン)について

Dovato®は、抗レトロウイルス治療歴がないまたは、抗レトロウイルス療法によりウイルス抑制が維持され、ドルテグラビル(DTG)およびラミブジン(3TC)のいずれに対する薬剤耐性も認められないHIV-1成人感染患者の治療を適応として承認されています。Dovato®は、DTG 50mgと3TC 300mgの1日1回投与の2剤レジメン配合剤です。

Dovato®は、2剤でDTGベースの3剤レジメンと同様、2つの異なる部位でウイルスサイクルを阻害します。DTGのようなインテグラーゼ阻害剤は、ウイルスDNAがヒト免疫細胞(T細胞)の遺伝物質に組込みを阻害することにより、HIV複製を阻害します。このステップは、HIV複製サイクルにおいて必須であり、慢性感染の確立に関与します。3TCは、ウイルスRNAのDNAへの変換を阻害し、ウイルスの増殖を停止させる核酸系逆転写酵素阻害剤です。

 

TANGO試験について

TANGO試験は、TAFを含む3剤以上のレジメンで6ヵ月以上のウイルス抑制が確認されている成人HIV-1感染患者を対象に、治療薬をDTG/3TCに切り替えた場合と、TAFを含む3剤以上のレジメンを継続した場合の有効性と安全性を比較検証した第III相臨床試験です。本試験の主要評価項目は、48週時点のウイルス学的失敗(血漿中HIV-1 RNA量:≧ 50 コピー/mL)となった患者の割合です。試験デザインの詳細は、ClinicalTrials.govからNCT03446573を検索しご覧下さい。

 

GEMINI-1 & 2試験について

GEMINI-1および GEMINI-2試験は、2つの同様な第III相多施設共同無作為割付二重盲検非劣性検証試験です。これらの試験では、HIV-1に感染した、抗レトロウイルス薬による治療歴のない成人を対象として、DTG + TDF/FTCという3剤による推奨レジメンと、DTGと3TCの2剤レジメンを比較評価しました。両試験は、上記被験者を対象として、1日1回投与のDTGとTDF/FTCの固定用量配合剤に対する、1日1回投与のDTGと3TCの48週時点の有効性に対する非劣性検証並びに安全性、忍容性の比較検討を目的としています。詳細については、ClinicalTrials.govからNCT02831673(GEMINI-1)またはNCT02831764(GEMINI-2)を検索しご覧下さい。