2020/12/22

抗HIV治療における長期作用型注射剤Vocabria(カボテグラビル)の 欧州における承認取得に関するViiV社の発表について

長期作用型レジメンにおいてJanssen社のRekambys(リルピビリン注射剤)およびEdurant(リルピビリン錠)と併用するVocabria(カボテグラビル注射剤および錠剤)の承認を取得

Vocabria(カボテグラビル注射剤)とRekambys(リルピビリン注射剤)を併用する長期作用型レジメンにより、年間の投与日数が365日から12日あるいは6日に削減

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、Vocabria(一般名:カボテグラビル)について、欧州において初となる長期作用型のHIV-1感染症治療薬として欧州委員会(European Commission)より承認を取得したことを発表しましたので、お知らせいたします。Vocabriaはカボテグラビルの注射剤および錠剤であり、Janssen社のRekambys(リルピビリン注射剤)およびEdurant(リルピビリン錠)との併用で治療に用いられます。

※ 抗レトロウイルス治療レジメンを受け安定してウイルスがコントロールされており、ウイルス学的失敗歴がなく、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)またはインテグラーゼ阻害薬(INI)に対する既知の耐性変異のない、もしくは耐性変異が疑われない、ウイルス学的抑制状態(HIV-1 RNA量が50コピー/mL未満)の成人HIV-1感染症

 

本承認は、既存の3剤経口レジメンの1日1回投与によりウイルス抑制が達成されているHIV感染患者を対象として、カボテグラビルおよびリルピビリンの注射剤を月1回投与するATLAS試験、同様の患者を対象にカボテグラビルおよびリルピビリンの注射剤を2ヵ月に1回投与するATLAS-2M試験、および、治療歴のないHIV感染患者を対象としたFLAIR試験の良好な結果に基づいています1-5

Vocabria(カボテグラビル注射剤)とRekambysは、医療従事者により臀部に2回個別に筋肉内注射(IM)として投与されます。注射剤による治療開始前に、Vocabria(カボテグラビル錠)およびEdurantを約1ヵ月(最低28日間)経口投与し、両剤に対する忍容性を確認します。

 

欧州におけるカボテグラビルおよびリルピビリンの長時間作用型レジメンの承認は、カナダにおける承認取得に続くものです6。米国においては、カボテグラビルとリルピビリンの月1回投与の新薬承認を本年7月にFDAに再申請しています。その他の諸外国でも承認申請し、各国の規制当局により審査中です。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。HIV感染症は今なお国際社会における大きな課題です。2019年末時点において推定3,800万人がHIVに感染しており、年間170万人が新たにHIVに感染しています。当社はViiV社の株主として、世界中の皆さまにより良いHIV感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待するとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 

なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

以 上

 

参考:

1.       Swindells S, Andrade-Villanueva J-F, Richmond G, et al. Long-acting cabotegravir and rilpivirine for maintenance of HIV-1 suppression. N Engl J Med. DOI: 10.1056/ NEJMoa1904398

2.       Orkin C, Arasteh K, Hernandez-Mora MG, et al. Long-acting cabotegravir and rilpivirine after oral induction for HIV-1 infection. N Engl J Med. DOI: 10.1056/ NEJMoa1909512

3.       プレスリリース: 2019年3月18日
抗HIV治療における月1回投与注射剤カボテグラビルとリルピビリン2剤レジメンの良好な試験結果に関するViiV社の発表について-CROIにてATLAS試験およびFLAIR試験の良好な48週の結果を発表-

4.       Overton ET et. al. Cabotegravir and rilpivirine every 2 months is non inferior to monthly: ATLAS-2M study. Presented at CROI 2020: Available at: https://www.croiconference.org/abstract/cabotegravir-rilpivirine-every-2-months-is-noninferior-to-monthly-atlas-2m-study/. Accessed September 2020

5.       プレスリリース: 2020年3月12日
抗HIV治療における長期作用型注射剤カボテグラビルとリルピビリン2剤レジメンの良好な臨床試験結果に関するViiV社の発表について-CROIにてATLAS-2M試験(48週)およびFLAIR試験(96週)の良好な結果を発表-

6.       プレスリリース: 2020年3月26日

抗HIV治療における月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンCABENUVA(カボテグラビルおよびリルピビリン)のカナダにおける承認取得に関するViiV社の発表について