2021/01/22

抗HIV治療における月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンCabenuva (カボテグラビルおよびリルピビリン)の米国における承認取得に関するViiV社の発表について

  • Cabenuvaにより年間の治療における投与日数が365日から12日に減少
  • Cabenuva治療開始時の短期導入治療を目的としたVocabria(カボテグラビル経口剤)もFDAより同時に承認取得
  • Cabenuvaは2021年2月に米国で出荷開始予定

 

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンであるCabenuva(カボテグラビル(ViiV社)およびリルピビリン(Janssen社))について、成人HIV-1感染症における維持療法の適応で米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表しましたので、お知らせいたします。またViiV社は、Cabenuvaによる治療開始時の短期的な導入治療を目的としたVocabria(カボテグラビル経口剤)も同時にFDAより承認取得したことを発表しています。

※ 抗レトロウイルス治療レジメンを受け安定してウイルスがコントロールされており、ウイルス学的失敗歴がなく、カボテグラビルまたはリルピビリンに対する既知の耐性変異のない、もしくは耐性変異が疑われない、ウイルス学的抑制状態(HIV-1 RNA量が50コピー/mL未満)の成人HIV-1感染症

 Cabenuvaの承認申請には、主要な第III相臨床試験であるATLAS試験とFLAIR試験の良好な結果が主なデータとして提出されました。ATLAS試験は、既存の1日1回の3剤経口レジメンによりウイルス抑制が達成されているHIV感染患者を、FLAIR試験は治療歴のないHIV感染患者をそれぞれ対象とした試験であり、いずれの試験においても、カボテグラビルとリルピビリンの月1回投与の2剤レジメンは、48週時点において、既存の1日1回の3剤経口レジメンと同様のウイルス抑制効果を示しました1-3。また、10人中9人の患者が毎日の経口治療法より月1回投与の注射レジメンを好んでいます。さらに、Cabenuvaを臨床現場に適応させるアプローチを特定し、評価するために実施したCUSTOMIZE試験の中間結果では、医療従事者における受容度も高く、従前想定されていた実施における障壁も大幅に減少したことが示されました4

 

 Cabenuvaの投与方法においては、VocabriaおよびEdurant(リルピビリン経口剤)を約1か月間(最低28日間)経口投与し、両剤に対する忍容性を確認した後、医療従事者により臀部に2回個別に筋肉内注射として投与されます5

 

 Cabenuvaは、2021年2月にカボテグラビルとリルピビリンの2剤のパックとして米国で出荷を開始します。また、カボテグラビルのHIV感染予防につきましては、2021年半ばに申請を予定しており、FDAよりブレイクスルーセラピーの指定を受け、承認までの期間短縮のための開発・申請計画の相談や、審査資料の段階的な提出・審査などが可能となっています6

 

 なお、カボテグラビルおよびリルピビリンの長期作用型注射2剤レジメンは、欧州およびカナダで既に承認を取得しています7,8

 

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。HIV感染症は今なお国際社会における大きな課題です。2019年末時点において推定3,800万人がHIVに感染しており、年間170万人が新たにHIVに感染しています。当社はViiV社の株主として、世界中の皆さまにより良いHIV感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待するとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 

 なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

 

以 上

 

参考:

1.      Swindells S, Andrade-Villnueva J-F, Richmond GJ, et al. Long-Acting Cabotegravir and Rilpivirine for Maintenance of HIV-1 Suppression. New England Journal of Medicine, 382(12), 1112–1123. https://doi.org/10.1056/nejmoa1904398

 

2.      Orkin C, Arastéh K, Hernández-Mora MG, et al. Long-Acting Cabotegravir and Rilpivirine after Oral Induction for HIV-1 Infection. New England Journal of Medicine, 382(12), 1124–1135. https://doi.org/10.1056/nejmoa1909512

 

3.      プレスリリース: 2019年3月18日
抗HIV治療における月1回投与注射剤カボテグラビルとリルピビリン2剤レジメンの良好な試験結果に関するViiV社の発表について-CROIにてATLAS試験およびFLAIR試験の良好な48週の結果を発表-

 

4.      ViiV社プレスリリース: 2020年7月4日

ViiV Healthcare presents positive data from first-ever implementation research study on how best to integrate an investigational once-monthly injectable HIV treatment in US healthcare practices

 

5.      Cabenuva (cabotegravir, rilpivirine) Prescribing Information. US Approval January 2021.

 

6.      プレスリリース: 2020年11月19日

長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防におけるFDAからのブレイクスルーセラピー指定に関するViiV社の発表について

 

7.      プレスリリース: 2020年12月22日

抗HIV治療における長期作用型注射剤Vocabria(カボテグラビル)の 欧州における承認取得に関するViiV社の発表について

 

8.      プレスリリース: 2020年3月26日

抗HIV治療における月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンCABENUVA(カボテグラビルおよびリルピビリン)のカナダにおける承認取得に関するViiV社の発表について