2020/11/19

長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防における FDAからのブレイクスルーセラピー指定に関するViiV社の発表について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防に対する使用に関して、米国食品医薬品局(FDA)よりブレイクスルーセラピーの指定を受けたことを発表しましたので、お知らせいたします。

 

ブレイクスルーセラピーとは、重篤あるいは生命を脅かす疾患に関する薬剤の開発および審査の促進を目的としたFDAの制度です。本制度の指定を受けるためには、1つ以上の臨床的に重要な評価項目において、既存の治療法と比較し、当該薬剤の顕著な改善を示す予備的臨床エビデンスが必要です。今回の指定は、本剤のHIV感染予防効果を検証する第IIb/III相臨床試験(HPTN 083試験)の最終解析結果をもとに判断されました。これにより、承認までの期間短縮のための開発・申請計画の相談や、審査資料の段階的な提出・審査などが可能になります。今後ViiV社は、HPTN 083試験およびHPTN 084試験のデータを基に当局への承認申請を予定しています。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。HIV感染症は今なお国際社会における大きな課題です。2019年末時点において推定3,800万人がHIVに感染しており、年間170万人が新たにHIVに感染しています。当社はViiV社の株主として、世界中の皆さまにより良いHIV感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待するとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 

なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

 

以 上

 

 

【HPTN 083試験(NCT02720094)について】

HPTN 083試験は、HIV感染予防において、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較して、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III 相二重盲検試験です。HPTN 083試験は、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性またはトランスジェンダーの女性、4,570 名を対象に実施されました。

試験デザインの詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 を、試験結果の詳細は、2020年7月10日 プレスリリースをご覧ください。

 

【HPTN 084試験(NCT03164564)について】

HPTN 084試験は、HIV感染予防に対する有効性と安全性を、HIV感染リスクが高い女性3,200 名を対象に、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルとFTC/TDF錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較評価するためにデザインされた第III 相二重盲検比較試験です。HPTN 084 は、2017 年11 月に登録開始され、計3,223名が登録されました。ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの7か国20施設で実施されています。これらのサハラ以南の地域では女性のHIV感染率が高いことが知られています。

試験デザインの詳細はhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 を、試験結果の詳細は、2020年11月11日のプレスリリースご覧ください。