2020/07/10

長期作用型注射剤カボテグラビルの良好なHIV感染予防効果に関するViiV社の発表について
・AIDS 2020でHPTN 083試験の最終解析結果を発表
・2か月毎投与により、対照となる1日1回投与の経口薬を66%上回る有意な予防効果を確認

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防効果を検証する第IIb/III相臨床試験(HPTN 083試験、以下「本試験」)の最終解析において、中間解析と同様に本剤の良好な予防効果を確認したことを第23回国際AIDS会議(AIDS 2020)にて発表しましたので、お知らせいたします。

 

本試験は、HIV感染リスクが高い、男性と性交渉を行う男性またはトランスジェンダーの女性を対象に、HIVに感染した被験者の割合を主要評価項目として、長期作用型注射剤カボテグラビルの2か月毎投与と既存の予防薬であるエムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)の1日1回経口投与を比較した第IIb/III相二重盲検比較試験です。中間解析の良好な結果を評価したデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告により、本試験は予定より早期に終了しました。

 

最終解析の結果の概要は以下の通りです。

感染予防効果

◆  試験中にHIVに感染した被験者52名のうち、13名が長期作用型注射剤カボテグラビル群(0.41%、95%信頼区間:0.22-0.69%)であり、39名が対照薬のFTC/TDF群(1.22%、95%信頼区間:0.87-1.67%)でした。

安全性

◆  両群ともに忍容性が高く、ほとんどの有害事象は軽度または中等度でした。
◆ 有害事象について、カボテグラビル群では注射部位反応、発熱、および高血圧が、FTC/TDF群では嘔気がそれぞれ有意に高く認められました。
◆ 注射部位の痛みまたは圧痛について、カボテグラビル群では80%の被験者で、プラセボが注射されるFTC/TDF群では31%の被験者で認められました。
◆ カボテグラビル群における注射部位反応あるいは注射に対する不耐性による中止例は2.2%であり、FTC/TDF群における注射部位反応による中止例は認められませんでした。

これらの最終解析結果より、長期作用型注射剤カボテグラビル群は対照薬のFTC/TDF群に対して有意なHIV感染予防効果を示し、主要評価項目を達成いたしました。また、FTC/TDF群から無作為に抽出した被験者の87%でテノホビルの血中濃度が検出されていたことから、経口投与群での服薬率は高かったと考えられます。経口投与群の服薬率が高かったにもかかわらず、長期作用型カボテグラビルはFTC/TDF群に対してHIV感染予防効果が66%(95%信頼区間:38-82%)高い結果でした。

 

今後ViiV社は、本試験データを基に当局への承認申請を予定しています。長期持続型注射剤カボテグラビルによるHIV感染予防については、HIV感染リスクの高い女性を対象にした第III相臨床試験(HPTN 084試験)も実施中であり、現在までに3,000人以上の被験者が登録されています。

 

塩野義製薬は、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社はViiV社の株主として、世界中の皆さまにより良いHIV感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待するとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 

なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

 

以上

ご参考:ViiV社リリース

 

 

【HPTN 083について(NCT02720094)】

HPTN 083試験は、HIV感染予防において、FTC/TDF 錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較して、2か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III 相二重盲検試験です。各参加者は、盲検化された治験薬を最大3 年間投与されます。当該試験は2016 年11 月に登録開始されました。HPTN 083試験は、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性またはトランスジェンダーの女性、4,566 名を対象に実施されました。

詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 をご覧ください。

 

【HPTN 084について(NCT03164564)】

HPTN 084試験は、HIV感染予防に対する安全性と有効性を、HIV感染リスクが高い女性3,200 名を対象に、8 週間ごとに投与する長期作用型注射用カボテグラビルとFTC/TDF 錠(200mg/300mg)の1日1回経口投与と比較評価するためにデザインされた第III 相二重盲検比較試験です。HPTN 084 は、2017 年11 月に登録開始され、ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの施設で実施されています。

詳細はhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 をご覧ください。

 

【HIV予防試験ネットワーク(HPTN)について】

HIV Prevention Trials Network(HPTN)は、HIV感染と感染拡大を予防するためにデザインされた臨床試験の安全性と有効性を評価、検証するための、研究者、倫理学者、コミュニティメンバーおよび他のパートナーによる世界的な共同臨床試験ネットワークです。National Institutes of Health (NIH)、National Institute of Mental Health (NIMH)、およびNational Institute on Drug Abuse (NIDA)は、HPTNに共同出資しています。HPTNは、19 カ国85 以上の臨床研究施設と協力し、新たなHIV感染予防の戦略を評価しています。HPTNの研究課題は、登録および評価された参加者161,000名以上を対象とした進行中または完了した50 件を超える試験における、主に抗レトロウイルス薬(抗レトロウイルス療法および曝露前予防)の使用、および薬物乱用、特に注射薬物使用に対する介入、行動リスク低減への介入および構造的介入を含む統合的戦略に焦点を当てています。

詳細は、hptn.org をご覧ください。