2022/03/04

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の 国内第2/3相追加免疫比較試験に関する中間報告(速報)について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)について、実施中の国内第2/3相追加免疫試験に関する中間報告をお知らせいたします。なお、本臨床試験は東京品川病院(治験責任医師:新海 正晴)にて実施されており、中間報告に関しては論文※1を投稿中です。

※1 タイトル:Immunogenicity and Safety of Booster Dose of S-268019-b or Tozinameran in Japanese Participants: An Interim Report of Phase 2/3, Randomized, Observer-Blinded, Noninferiority Study

 

第2/3相国内追加免疫比較試験は、コミナティ筋注(以下、コミナティ)を2回接種後6ヵ月以上経過した成人206例を対象に、追加免疫29日目(接種28日後)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)中和抗体価のGMT(幾何平均抗体価)および抗体応答率※2を主要評価項目として、3回目にあたる追加免疫としてS-268019あるいはコミナティを接種した際の、コミナティに対する免疫原性の非劣性検証および安全性評価を目的に実施しています。プロトコールで事前に実施を定めた中間報告は、29日目(接種28日後)までのすべての被験者のデータを基にした結果です。中間報告に関する要約は以下のとおりです。

※2 SARS-CoV-2中和抗体価がベースラインに比べて4倍以上となった被験者の割合

主要評価項目である追加免疫29日目(接種28日後)のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率に関して、S-268019群のコミナティ群に対する非劣性が検証され、本試験の主要評価項目を達成しました。安全性に関しては、両群において、重篤な副反応、死亡、特に注目すべき副反応は見られておらず、副反応の発現率は、S-268019群で96.1%(99/103例)、コミナティ群で98.1%(101/103例)であり、最も頻繁に見られた副反応は、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、注射部位の痛みでした。両群でほぼ全ての特定全身副反応※3/局所副反応※4はGrade 1あるいはGrade 2でした。特定全身副反応/局所副反応について、S-268019群はコミナティ群と比較していずれも発現率が同等以下でした。

※3 治験薬の接種7日後までの期間に発現した以下の副反応:発熱、悪心/嘔吐、下痢、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛、悪寒

※4 治験薬の接種7日後までの期間に発現した以下の副反応:注射部位(痛み、紅斑/発赤、腫脹)

当社では、現在、本臨床試験を含む最終段階の5つの臨床試験を実施中です。国内の承認申請に向けて、2022年2月より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を開始しており、現在実施中の臨床試験の進捗ならびに結果に基づき、厚生労働省やPMDA等と協議を進めてまいります。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。COVID-19が世界的な脅威として人々の生活に大きな影響を与える中、当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、国産ワクチンの早期開発・供給に引き続き注力し、今後も状況に変化があり次第、皆さまにお知らせし、企業としての社会的責任を果してまいります。

 

なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査いたします。

 

以 上

 

【国内第1/2相臨床試験1について】

国内第1/2相臨床試験は、S-268019の2回接種後の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人60例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210269をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しており、2回接種28日後までの評価において、S-268019の忍容性と安全性が確認され、免疫原性については回復期患者血清と同程度の中和抗体価の上昇を確認しました。

 

【国内第2/3相臨床試験2について】

国内第2/3相臨床試験は、S-268019の安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とする成人および高齢者3,100例を対象としたオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210383をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【国内第2/3相追加免疫比較試験3について】

国内第2/3相追加免疫比較試験は、コミナティ筋注を2回接種後6ヶ月以上経過した成人200例を対象としS-268019あるいはコミナティ筋注の追加接種後の免疫原性を指標として、S-268019のコミナティ筋注に対する非劣性検証および安全性評価を目的とする無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2031210470をご参照ください。本試験の被験者登録は完了しています。

 

【国内第3相追加免疫試験について】

国内第3相追加免疫比較試験は、スパイクバックスTM筋注を2回接種した20歳以上64歳以下の成人、およびコミナティ筋注またはスパイクバックスTM筋注を2回接種した65歳以上の高齢者(いずれも2回目接種後6ヵ月以上8ヵ月以下が経過した者)150例を対象として、S-268019の追加接種後の安全性および免疫原性の評価を目的とするオープンラベル試験です。試験の詳細は、jRCT2031210613 をご参照ください。

 

【中和抗体価比較試験4について】

中和抗体価比較試験は、2回接種後の免疫原性を指標として、S-268019と既承認ワクチン(バキスゼブリア筋注)の比較検証を目的とする成人および高齢者1,000例を対象とした無作為化実薬対照二重盲検比較試験です。試験の詳細は、jRCT2051210151をご参照ください。

 

【発症予防試験5について】

発症予防試験は、S-268019の2回接種後のCOVID-19発症予防効果の検証を目的に、成人および高齢者約50,000例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。実薬:プラセボは2:1の割り付けであり、クロスオーバー法により被験者全例が実薬接種の機会を得ることが出来ます。現在、臨床試験実施許可が得られた最初の試験実施国であるベトナムでの被験者登録を進めています。試験の詳細は、NCT05212948をご参照ください。

 

なお、いずれの臨床試験におきましても、被験者は希望すれば試験期間中いつでも試験参加を辞退することが可能です。

国内第1/2相臨床試験については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development: AMED)の支援を受けております。

 

COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.

 

参考:

1.       プレスリリース:2021年12月7日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の第1/2相臨床試験結果に関する学会発表について

2.       プレスリリース:2021年10月21日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の第2/3相臨床試験開始のお知らせ

3.       プレスリリース:2021年12月3日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の国内追加免疫試験開始のお知らせ

4.       プレスリリース:2022年1月17日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の中和抗体価比較試験の開始について

5.       プレスリリース:2021年12月27日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019のグローバル第3相臨床試験開始のお知らせ