2021年7月27日現在
新型コロナウイルスに対する弊社の取り組み

 

 新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。また、罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに早期の回復と一日も早い感染の終息を心よりお祈り申し上げます。

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延による社会の混乱が続く中、当社は医薬品の安定供給に努めるとともに、感染症を重点疾患領域に掲げる製薬企業として、公的機関やアカデミア、パートナー企業と連携し、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬やワクチン、診断薬など幅広い医療ソリューションの開発に鋭意取り組んでおります。

 当社は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、産官学での連携を密にし、各取り組みを加速するとともに、今後も状況に変化があり次第、皆さまにお知らせし、企業としての社会的責任を果してまいります。

予防ワクチンの開発

培養タンク
  • 遺伝子組み換えタンパクワクチンの開発

     国立感染症研究所、九州大学(現 京都大学)と共同で当社グループ会社のUMNファーマが有するBEVS注1を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンを開発しています。遺伝子組換えタンパクワクチンは、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に投与に供されます。遺伝子情報そのものを投与し、体内にて抗原タンパクを合成させるmRNAワクチン等の新規技術と比べて、抗原発現や精製に一定の開発期間を要する一方で、BEVSを活用したインフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその効果と安全性を基に承認・実用化されている確立された技術です。

     

     2020年12月に国内における第1/2相臨床試験を開始しており、(2020年12月16日プレスリリース)2021月5月10日時点で安全性に大きな懸念はでておりません(2020年度 決算説明会)。第3相臨床試験の年内開始に向けて引き続き当局と協議し準備を進めております。

     

     臨床試験の実施と並行して、当社はワクチン生産設備の構築ならびに大量生産に向けた製造方法の最適化に取り組んでおります。UNIGEN社 (原薬製造)、アピ社 (製剤製造) と連携し、2021年3月末に第1期の工事が完了し、製造設備が完成しました。引き続き、2021年末までに3,000万人分以上の生産体制を整備することを目標に、生産設備の増強を進めてまいります。

     今後も関係省庁と連携しながら、国産ワクチンの早期提供を目指した取り組みを推進してまいります。

     

    注1 Baculovirus Expression Vector System:昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術

  • 経鼻ワクチンの開発

     東京大学発の創薬ベンチャーである株式会社HanaVaxとカチオン化ナノゲルデリバリーシステムを用いた新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発に関するライセンス契約を締結し、経鼻ワクチンの開発に着手しました。HanaVax社の有する技術による経鼻ワクチンの特徴としては、従来の注射による痛みがなく、感染部位である呼吸器粘膜ならびに全身に対して効果的に免疫を誘導することができ、高度な医療体制や医療従事者による投与を必ずしも必要としないという点が挙げられます。そのため、医療環境が整っていない地域においても使いやすい製剤となることが期待されます。

診断薬の開発・供給

診断
  • 新型コロナウイルス抗原検査薬および専用測定機器の販売

     当社とルミラ・ダイアグノスティクス・ジャパン株式会社は2021年5月24日から、日本での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原検査薬「ルミラ・SARS-CoV-2 Ag テストストリップ」および「ルミラ 測定機器」の共同販売を開始いたしました。本検査薬および測定機器は米国、欧州などでも販売されており、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中の新型コロナウイルスを約12分という短時間で、簡便かつPCR法に近い感度で検出することができます。

  • 重症化診断マーカー測定キットの販売

     シスメックス株式会社と共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における重症化リスク判定を補助するTh2ケモカイン・TARCキット「HISCL®TARC 試薬」を販売しています。

     国立国際医療研究センターが実施した臨床研究によると、重症化する新型コロナウイルス感染症患者は発症早期から血清中のTARC 値が低値を示すことが確認されています。Th2ケモカイン・TARCキット「HISCL®TARC 試薬」を用いて血清中のTARC 値を測定し、重症化リスクを発症早期に予測することで、重症化予備群に注力した経過観察が可能となり、医療資源の有効活用、医療体制の逼迫緩和、医療崩壊の回避への貢献が期待されます。

     製品に関するお問い合わせはこちらからお願いします。

  • 新規迅速診断法の開発(SATIC法)

     日本大学、群馬大学、および東京医科大学との新型コロナウイルスを含むウイルスの新規迅速診断法に関するライセンス契約に基づき、同共同研究チームが開発した革新的核酸増幅法(SATIC法:Signal Amplification by Ternary Initiation Complexes)を用いた新型コロナウイルス感染に対する迅速診断の実用化に取り組んでおります。社内における種々の検討の結果、高感度かつ安定的な反応を得るためには、反応試薬の一部改良が必要との判断に至り、試薬の改良に伴う各反応工程への影響の確認ならびに改良試薬のスケールアップ検討が必要となることから、当初目標としてきた初期型製品の2020年内提供開始を見直しております。現時点で、提供開始時期は未定ですが、医療機関のみならず、様々な場面(空港検疫、イベント施設での検査など)での利用を想定し、鋭意開発に取り組んでおります。

  • IgG/IgM 抗体検出キットの販売

     新型コロナウイルスの既感染者数の把握を目的とした疫学調査や研究などにお役立ていただくために、新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検出キット(20テスト/キット)を研究用試薬として販売しております。

     製品に関するお問い合わせはこちらからお願いします。

治療薬の創製

治療薬の創製
  • 抗ウイルス薬の創製

     北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターおよび国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所と連携し、自社の化合物ライブラリーから見出した有望化合物につきましては、非臨床試験において十分な安全性の確保が出来ず開発を中止しました。その後も継続して、新型コロナウイルスに有効な治療薬の研究に取り組む中で、自社創薬による3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を選択的に阻害する低分子経口抗ウイルス薬(開発番号:S-217622)を創製しました。S-217622は、新型コロナウイルス感染動物を用いた非臨床試験において、ウイルス量を速やかかつ有意に低下させることが確認されております。2021年7月より国内第1相臨床試験を開始し、同月22日に初回投与が行われました。今後も関係省庁と連携しながら、S-217622の早期提供を目指した取り組みを推進してまいります。また、低分子やペプチド、抗体等の様々な創薬モダリティを活用した創薬研究を精力的に展開することにより、新型コロナウイルスを含むコロナウイルスに広く有効な新たな治療薬の創製に継続して取り組み、パンデミックへの備えを強化しております。

重症化の抑制

重症化抑制
  • 重症化の抑制を目的としたasapiprantの開発

     当社が創製したプロスタグランジンD2 DP1受容体拮抗薬asapiprant (S-555739)について、米国BioAge社とライセンス契約を締結し、新型コロナウイルス感染症の重症化抑制を目的とした開発を進めています。BioAge社が実施した新型コロナウイルスを感染させた加齢マウスモデルを用いた非臨床試験において、asapiprantを投与することで、マウスの死亡率が大幅に改善することに加え、肺内のウイルス量が有意に低下することが確認されております。また、これまで当社が実施してきた複数の非臨床および2,400例以上を対象とした臨床試験において、DP1受容体への高い親和性および選択性1に加え、良好な忍容性、安全性が確認されています。

     これら非臨床試験の良好な結果をもとに、BioAge社は、新型コロナウイルス感染症に罹患した高齢者を対象とした第2相臨床試験を開始しました。当社は第2相臨床試験の開始にあたり、治験薬の提供およびFDAへの治験許可申請に対する協力を通じて、臨床試験の迅速な推進を支援しております。

未病・検知

未病・検知
  • 下水疫学調査サービスの提供

     下水疫学に基づき、下水中に含まれる新型コロナウイルスの濃度を定期的にモニタリングし、対象地域における新型コロナウイルス感染状況を調査するサービスを提供しています。本サービスには弊社が北海道大学との共同研究により独自に開発した下水中の新型コロナウイルス高感度検出技術を用いています。本サービスをご利用いただき、各自治体の下水処理場において定期的に下水を採取しモニタリングをおこなうことで、対象地域の感染状況把握に貢献することが期待されます。サービスの詳細は「下水疫学調査サービス」ページを参照ください。また、本サービスについてのお問い合わせはこちらまでお願いいたします。

  • 下水モニタリングの早期社会実装を目指した業務提携の基本合意

     株式会社島津製作所と新型コロナウイルスを含む感染症領域の下水モニタリングに関する業務提携の基本合意書を締結しました。今後、下水モニタリングの早期社会実装およびAll Japan体制の構築に向け、両社で共同事業体の設立の協議を進めてまいります。

自治体の支援

自治体の支援
  • 大阪府・東京都の保健所支援

     大阪府ならびに東京都と協定書および覚書を締結し、新型コロナウイルス感染拡大に伴い業務が逼迫している保健所に対して当社および当社グループ従業員を派遣し、感染拡大防止業務の支援を行っています。支援する主な業務は保健所の事務補助で、患者の発生情報のデータ入力、就業制限通知、検査依頼等の書類の作成、送付、電話による聞き取りなど疫学調査の後方支援です。

     

    【支援実績】

    2021年2月22日~3月31日

    大阪府の9か所の保健所に対し18名を派遣
    東京都の4か所の保健所に対し4名を派遣

     

    2021年4月15日~4月28日

    大阪府12か所の保健所に対し30名を派遣
  • 医薬品の安定供給への取り組み

     「常に人々の健康を守るために必要なもっとも良い薬を提供する」ことを基本方針とする弊社は、必要な医薬品を患者さまに確実にお届けできるように、原料調達サプライヤーや委託先各社とも連携し、在庫管理を徹底しています。また工場内での感染者発生による操業停止という万一の事態に備えて予め在庫に余裕を持たせつつ、工場内にウイルスを持ち込まないよう従業員の感染予防・体調管理・検温体制の整備など体調管理と感染拡大防止策を徹底し安定供給に向けた対応に尽力しております。

     

  • Webサイトを用いた情報提供

    新型コロナウイルス感染症の理解を深め、正しい予防法を身につけていただくための疾患情報提供ページを設置しています。

    発症が疑われる際の相談先、オンライン診療の対応医療機関についてもご確認いただけます。

    病気の知識ページ
  • 事業の継続に関する取り組み

     当社グループでは緊急事態宣言前より中央対策本部を設置し、全社横断的な意思決定を進めてまいりました。2020年5月の宣言解除に伴い対策本部は解散しましたが、各事業部がポストコロナ時代における社内外の対応にあたっています。緊急事態宣言下では、在宅勤務環境を整え基本的には多くの従業員が在宅勤務へ移行したものの、一方で予め定められた事業継続計画(BCP)に基づく対応を実施しました。計画に定められた要員は、自身はもちろん社会全体への感染拡大防止のためマイカー通勤や時差出勤を実施し、医薬品の安定供給や新型コロナウイルス感染症に関する研究など、製薬企業としての責務である事業を継続しました。

     今後も、在宅勤務や時差出勤の推奨をはじめとする様々な対策により、「新しい生活様式」に対応した勤務形態で感染拡大防止に努めながらも、必要な事業活動は継続することでステークホルダーに対し責任を果たしていきます。

  • 国際社会との協力・連帯

     弊社が参加する国連グローバル・コンパクトが、国連と連携し実施している「#Uniting Business to Respond to COVID-19」キャンペーンにビデオメッセージを投稿し、感染症領域を専門とする製薬企業として、治療薬やワクチン開発等、COVID-19に対する取り組みを紹介するとともに、この世界的脅威克服のために国際社会と密に協力・連帯し、試練を乗り切りたいとの思いを述べています。

     

関連情報の提供

弊社、新型コロナウイルス感染症関連プレスリリース

1.      プレスリリース: 2020年3月17日
新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検査キット製品の導入に向けたマイクロブラッドサイエンス社との業務提携について

2.      プレスリリース: 2020年4月14日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて

3.      プレスリリース: 2020年4月27日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの開発決定について

4.      プレスリリース: 2020年6月3日
新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検出キットの研究用試薬としての新発売について

5.      プレスリリース: 2020年6月3日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(2)

6.      プレスリリース: 2020年6月19日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(3)

7.      プレスリリース: 2020年6月22日
新型コロナウイルスを含む感染症領域のウイルス迅速診断法に関する日本大学、群馬大学、東京医科大学との業務提携について

8.      プレスリリース: 2020年8月7日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(4)

9.      プレスリリース: 2020年9月24日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(5)

10.     記者会見資料: 2020年10月30日
2020年度第2四半期(上期)決算

11.     プレスリリース: 2020年12月16日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの第1/2相臨床試験開始のお知らせ

12.      プレスリリース: 2020年12月18日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(6)

13.      プレスリリース: 2021年1月26日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化抑制を目指したBioAge社とのライセンス契約の締結について

14.      プレスリリース: 2021年2月22日
新型コロナウイルス感染症拡大地域の保健所への従業員の派遣について

15.      プレスリリース: 2021年3月19日
下水中の新型コロナウイルスの自動解析体制構築へ

~ウイルス感染症流行及び変異株の早期検知・大量検査インフラの構築に期待~

16.      プレスリリース: 2021年3月23日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した高齢者の重症化抑制を目指したasapiprant(S-555739)の第2相臨床試験開始に関するBioAge社の発表について

17.      プレスリリース: 2021年4月14日
大阪府で下水から新型コロナ流行状況のモニタリングを開始

~ウイルス感染症流行及び新規変異株の早期検知を目的とした社会実装~

18.      プレスリリース: 2021年4月16日
新型コロナウイルス抗原検査薬「ルミラ・SARS-CoV-2 Ag テストストリップ」

および専用測定機器「ルミラ 測定機器」に関するルミラ社との共同販売契約締結について

19.      プレスリリース: 2021年4月26日
Th2ケモカイン・TARCキット「HISCL® TARC 試薬」の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における重症化予測の補助としての適応追加承認申請について

20.      プレスリリース: 2021年5月24日
新型コロナウイルス抗原検査薬「ルミラ・SARS-CoV-2 Ag テストストリップ」 および専用測定機器「ルミラ 測定機器」の販売開始について

21.      プレスリリース: 2021年6月2日
新型コロナウイルスを含む感染症領域の下水モニタリングに関する塩野義製薬と島津製作所による業務提携の基本合意書の締結について

22.      プレスリリース: 2021年6月7日
Th2ケモカイン・ TARC キット「HISCL ®TARC 試薬」の新型コロナウイルス感染症COVID-19における重症化リスク判定補助としての適応追加承認取得について

23.      プレスリリース: 2021年6月11日
新型コロナウイルスを含むすべてのウイルスおよび細菌の高感度検出技術に関する 北海道大学と塩野義製薬の独占的ライセンス契約締結について

24.      プレスリリース: 2021年6月14日
新型コロナウイルスの下水疫学調査サービスの開始について

25.      プレスリリース:2021年7月19日
塩野義製薬とHanaVax社とのカチオン化ナノゲルデリバリーシステムを用いた 新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発に関するライセンス契約の締結について

26.      プレスリリース:2021年7月26日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の臨床試験開始について‐経口抗ウイルス薬の国内第1相臨床試験開始‐

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、多くの情報が発信されております。下記サイトの情報もご参考までにご確認ください。

 

新型コロナウイルス 生活関連情報

・   首相官邸: 新型コロナウイルスお役立ち情報
http://www.kantei.go.jp/jp/pages/coronavirus_info.html

新型コロナウイルス 疾患関連情報

・   内閣官房: 新型コロナウイルス感染症対策:
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

・   厚生労働省: 新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

・   米国疾患予防センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention): Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/summary.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fsummary.html

・   世界保健機関(WHO: World Health Organization): Coronavirus
https://www.who.int/health-topics/coronavirus#tab=tab_1

塩野義製薬は約60年間積み上げてきた感染症領域における強みを活かし、抗HIV藥テビケイ®や抗インフルエンザ薬ゾフルーザ®、多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルなど「感染症の脅威からの解放」のために競争優位性のある革新的な感染症薬を創製してきました。

また、新たな耐性菌・耐性ウイルスの発生を防ぎ、患者様が現在のみならず未来も治療を受け続けられるよう、感染症薬の適正使用に向けた取り組みを進めています。当社では、従来より感染症薬の適正使用推進のためには、疾患や感染予防などの正しい知識の普及が不可欠と考えております。そのため、医療従事者の方に対する情報提供に加え、一般の方々向けの啓発活動にも積極的に取り組んでおり、感染症対策に関する情報を提供しております。