新型コロナウイルスに対する弊社の取り組み

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)でお亡くなりになった皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。また、罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに早期の回復と一日も早い感染の終息を心よりお祈り申し上げます。

新型コロナウイルスの蔓延による社会の混乱は、諸外国の一部で経済活動が再開され、我が国においても緊急事態宣言が解除されるなど、回復に向けた兆しが確認されつつありますが、新たな集団感染の発生や第2波への警戒など、依然、世界的な脅威として人々の生活に不安をもたらしています。感染拡大の防止が叫ばれる中、とりわけ医薬品産業においては、治療薬、ワクチンの開発など迅速な対応が求められています。このような中で、塩野義製薬は、医薬品の安定供給に努めるとともに、感染症を重点疾患領域に掲げる製薬企業として、公的機関やアカデミア、パートナー企業と連携し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬やワクチンの開発などに鋭意取り組んでおります。

 

塩野義製薬は、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、産官学での連携を密にし、各取り組みを加速するとともに、今後も状況に変化があり次第、皆さまにお知らせし、企業としての社会的責任を果してまいります。

弊社の取り組みイメージ

研究・開発の取り組み

1.   治療薬の創製に向けた取り組み

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターとの共同研究において見出された新型コロナウイルス株に対する有望な化合物群について、安全性等の探索的な評価を順次実施し、現在、開発判断に用いる高次探索試験の準備ならびに、その後の非臨床試験、臨床試験を見据えた製法検討等を最速で進めております。また、創薬の確度を高める取り組みとして、上記化合物群の構造最適化検討に取り組むとともに、SyntheticGestalt株式会社(SG社)および北海道大学との三者共同研究を立ち上げ、SG社が保有するAI創薬技術により選出されたCOVID-19治療薬候補化合物の探索研究を実施中です。当社は、引き続き2020年度内の臨床試験開始を目指して、これら一連の研究を最優先で進めてまいります。

 

2.      ワクチン開発に向けた取り組み

当社が開発中のワクチンは、グループ会社のUMNファーマが有するBEVS注1を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンです。現在、タンパク抗原候補の製法検討や分析法の設定等に取り組むとともに、共同研究先である国立感染症研究所において抗原候補およびワクチンに添加されるアジュバント注2候補の免疫原性試験が開始されております。

新型コロナウイルス感染のワクチン開発においては、その緊急性から、開発と並行した商用生産の検討が必要と考えております。当社は1,000万人規模の早期提供を実現するため、国内で唯一、BEVS技術を用いた遺伝子組換えタンパクワクチンの製造実績を有するアピ株式会社(本社:岐阜県岐阜市、代表取締役社長:野々垣 孝彦)ならびにそのグループ会社である株式会社UNIGEN(本社:岐阜県揖斐郡)との協議を重ね、このたび経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」に関する公募に対して、3社共同で申請を行いました。現在、同省による審査が行われておりますが、当社は先行して生産の立ち上げ準備に着手しております。

当社は、年内の臨床試験開始を目標に、引き続き関係各省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、国立感染症研究所等との協議・相談を行うとともに、早期提供が可能となるよう国内での生産体制の構築を加速してまいります。

 

注1 Baculovirus Expression Vector System:昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術
注2 免疫を活性化させ、ワクチンの効果を補強する物質

 

3.      抗体検出キット提供に向けた取り組み

既感染者数の把握を目的としたSARS-CoV-2/COVID-19の疫学調査や研究などにお役立ていただくために、新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検出キットを研究用試薬として2020年6月3日より発売しております4。詳細は「新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検出キットの研究用試薬としての新発売について」をご参考ください。

 

4.      新たな迅速診断法(SATIC法)の早期実用化に向けた取り組み

当社は日本大学、群馬大学、東京医科大学との間において、上記の3大学からなる共同研究チームが開発した、これまでにない全く新しい革新的核酸増幅法(SATIC法)に関するライセンス契約に合意しました。SATIC法は、特定の遺伝子のみならず、変異遺伝子、さらにはタンパク質や代謝物などの生体内分子も、簡便な手法で特異的かつ高感度に測定できる技術で、実用化に至れば唾液等のサンプルから25分の反応で検出機器を必要とせず目視で判定可能で、COVID-19やインフルエンザウイルス感染症等の検査時点での感染の有無を短時間で簡便に知ることができます。

当社はまずSARS-CoV-2感染の診断法の実用化に向けて取り組みを開始します。本検査法を活用することにより、迅速かつ簡便に、症状のない方を含めたSARS-CoV-2感染者の診断が行われるようになり、国内感染者動向をタイムリーに把握できるという公衆衛生学的利点とともに、早期診断による重症化予防対策や、治療薬の早期投与が可能となる利点があります。詳細は当社リリース「新型コロナウイルスを含む感染症領域のウイルス迅速診断法に関する日本大学、群馬大学、東京医科大学との業務提携について」をご参考ください。

事業の継続に関する取り組み

当社グループでは緊急事態宣言前より中央対策本部を設置し、全社横断的な意思決定を進めてまいりました。宣言解除に伴い本部は解散しましたが、各事業部がポストコロナ時代における社内外の対応にあたっています。緊急事態宣言下では、在宅勤務環境を整え基本的には多くの従業員が在宅勤務へ移行したものの、一方で予め定められた事業継続計画(BCP)に基づく対応を実施しました。計画に定められた要員は、自身はもちろん社会全体への感染拡大防止のためマイカー通勤や時差出勤を実施し、医薬品の安定供給やCovid-19に関する研究など、製薬企業としての責務である事業を継続しました。

今後も、在宅勤務や時差出勤の推奨をはじめとする様々な対策により、「新しい生活様式」に対応した勤務形態で感染拡大防止に努めながらも、必要な事業活動は継続することでステークホルダーに対し責任を果たしていきます。

医薬品の安定供給への取り組み

「常に人々の健康を守るために必要なもっとも良い薬を提供する」ことを基本方針とする弊社は、必要な医薬品を患者さまに確実にお届けできるように、従業員の感染予防・体調管理・検温体制の整備などを徹底し、安定供給に向けた対応に尽力しております。原料の調達元などと緊密に連携しながら生産を継続しており、現在、弊社製品の生産および供給体制に課題が生じている製品はありません。

国際社会との協力・連帯

弊社が参加する国連グローバル・コンパクトが、国連と連携し実施している「#Uniting Business to Respond to COVID-19」キャンペーンにビデオメッセージを投稿し、感染症領域を専門とする製薬企業として、治療薬やワクチン開発等、COVID-19に対する取り組みを紹介するとともに、この世界的脅威克服のために国際社会と密に協力・連帯し、試練を乗り切りたいとの思いを述べています。

投稿メッセージ(英語)

関連情報の提供

弊社、COVID-19関連プレスリリース

1.      プレスリリース: 2020年3月17日
新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検査キット製品の導入に向けたマイクロブラッドサイエンス社との業務提携について

2.      プレスリリース: 2020年4月14日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて

3.      プレスリリース: 2020年4月27日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの開発決定について

4.      プレスリリース: 2020年6月3日
新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検出キットの研究用試薬としての新発売について

5.      プレスリリース: 2020年6月3日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(2)

6.      プレスリリース: 2020年6月19日
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについて(3)

7.      プレスリリース: 2020年6月22日
新型コロナウイルスを含む感染症領域のウイルス迅速診断法に関する日本大学、群馬大学、東京医科大学との業務提携について

 

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、多くの情報が発信されております。下記サイトの情報もご参考までにご確認ください。

 

新型コロナウイルス 生活関連情報

・   首相官邸: 新型コロナウイルスお役立ち情報
http://www.kantei.go.jp/jp/pages/coronavirus_info.html

新型コロナウイルス 疾患関連情報

・   内閣官房: 新型コロナウイルス感染症対策:
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

・   厚生労働省: 新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

・   米国疾患予防センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention): Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/summary.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fsummary.html

・   世界保健機関(WHO: World Health Organization): Coronavirus
https://www.who.int/health-topics/coronavirus#tab=tab_1

塩野義製薬は約60年間積み上げてきた感染症領域における強みを活かし、抗HIV藥テビケイ®や抗インフルエンザ薬ゾフルーザ®、多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルなど「感染症の脅威からの解放」のために競争優位性のある革新的な感染症薬を創製してきました。

また、新たな耐性菌・耐性ウイルスの発生を防ぎ、患者様が現在のみならず未来も治療を受け続けられるよう、感染症薬の適正使用に向けた取り組みを進めています。当社では、従来より感染症薬の適正使用推進のためには、疾患や感染予防などの正しい知識の普及が不可欠と考えております。そのため、医療従事者の方に対する情報提供に加え、一般の方々向けの啓発活動にも積極的に取り組んでおり、感染症対策に関する情報を提供しております。