2021/07/26

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の臨床試験開始について
‐経口抗ウイルス薬の国内第1相臨床試験開始‐

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬(開発番号:S-217622、以下、本治療薬)につきまして、経口投与の抗ウイルス薬として国内で第1相臨床試験を開始し、7月22日に初回投与を行いましたのでお知らせいたします。現状、初回投与後の安全性上の懸念は確認されておりません。

 

本治療薬は、当社が創製した3CLプロテアーゼ阻害薬です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しています。本治療薬は、3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制します。SARS-CoV-2感染動物を用いた非臨床試験において、ウイルス量を速やかかつ有意に低下させることが確認されております。本臨床試験では、健康成人を対象に本治療薬服用時の体内動態、安全性、忍容性の確認を行います。

 

COVID-19は今なお蔓延しており、パンデミックの終息に向けて、各国で発症予防を目的としたワクチン接種が進んでいますが、接種後も感染や発症のリスクはあります1。また、新たな変異株が蔓延した場合、既存のワクチンの有効性や、当該変異株に有効なワクチンが迅速に開発・供給されるのかは不明です。

そのため、ワクチンだけではなく、ウイルス感染者に対する治療法として、インフルエンザウイルス感染症と同様に、早期に使用することで体内のウイルス量を低下させ、重症化の抑制や臨床症状(発熱、呼吸器症状など)の改善が期待される抗ウイルス薬が求められています。特に、COVID-19は感染初期に無症候や軽症であっても、後に急速に症状が進行することが報告されているため、多くの感染患者さまに、安全かつ簡便に使用いただける治療薬が必要とされています。

当社が開発する治療薬は、低分子の経口抗ウイルス薬であることから、こうした社会や医療現場のニーズに応えることが期待されます。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、疾患の啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。SARS-CoV-2が世界的な脅威として引き続き人々の生活に大きな影響をもたらしている中、当社は本パンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、本治療薬の開発に引き続き注力し、今後も状況に変化があり次第、皆さまにお知らせし、企業としての社会的責任を果してまいります。

 

なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査いたします。

 

以 上

 

参考:

1.       一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会 COVID-19ワクチンに関する提言(改定第3版)https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2106_covid-19_3.pdf

 

COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。