塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、このたび、F2G Ltd.(本社:イギリス マンチェスター、CEO:Francesco Maria Lavino、以下「F2G社」)との間で、新規抗真菌薬olorofimの欧州、アジア地域での開発および独占的な販売に関する契約を締結しましたので、お知らせいたします。
Olorofimの対象疾患である侵襲性アスペルギルス症は、主に造血幹細胞移植、癌化学療法、重症感染症等、免疫系の機能低下時に生じる致死率の高い真菌感染症です。その治療の第一選択薬として、アゾール系抗真菌薬が用いられますが、アゾール系抗真菌薬が投与不可あるいは効果不十分な場合の治療選択肢が限られていることが課題となっています。Olorofimは、既存の抗真菌薬とは異なる新規の作用機序を有する経口薬であり、真菌の生育に必須なピリミジン合成経路の阻害により殺真菌活性を示します。Olorofimは、その新規作用機序から既存治療薬に抵抗性のある、または忍容性や薬物相互作用等の理由で既存治療薬が使用できない侵襲性アスペルギルス症患者に対する新しい治療選択肢として期待されています。
このたびの契約締結により、当社はolorofimに関する欧州、アジア地域の開発および独占的販売権を獲得いたします。また、当社は、契約締結に伴う一時金として100百万ドル、今後の開発進展や製品上市後の販売額に応じたマイルストンを最大で合計380百万ドル、ならびに販売額に応じて二桁台のロイヤリティーをF2G社に支払います。現在F2G社は、アゾール系治療薬に抵抗性の、または使用できない侵襲性アスペルギルス症患者に対するグローバルPhase 3試験1を準備中です。両社は今後、本Phase 3試験を含めた開発プログラムを共同で進めていきます。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、同領域におけるアンメットメディカルニーズへの対応、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は、F2G社との提携を通じて、生命を脅かす侵襲性真菌感染症から人々の健康を守るために必要な治療薬を患者さまにいち早くお届けできるよう、本薬剤の開発に注力してまいります。
なお、本件が2023年3月期の業績に与える影響につきましては、現時点では軽微と考えております。
以 上
【F2G社について】
F2G社は、生命を脅かす侵襲性真菌感染症を治療するための新しい治療法の発見と開発に焦点を当てた、英国、米国、オーストリアを拠点とするバイオテクノロジー企業です。F2G社は、既存の抗真菌薬とは作用機序の異なるolorofimと呼ばれるまったく新しいクラスの抗真菌薬を発見し開発しています。詳細はF2G社のホームページをご覧ください。
【Olorofimについて】
Olorofimは真菌の生育に必須なピリミジン合成経路の阻害により殺真菌活性を示す新規作用機序を有する抗真菌薬です。既存治療薬に抵抗性のある、または使用できない侵襲性アスペルギルス症に対する効果が期待されています。
Olorofimは欧州医薬品庁よりオーファン指定を受けており、米国食品医薬品局からはオーファン指定に加えて、適格感染症治療製品(QIDP)およびブレークスルーセラピーの指定を受けています。
現在F2G社は、適切な治療選択肢の無い侵襲性真菌症を対象としたPhase 2b試験2を実施中です。
【侵襲性アスペルギルス症について】
侵襲性アスペルギルス症は、カビの一種であるアスペルギルス(Aspergillus)によって引き起こされる疾患で、主に肺において、組織を侵し破壊します。免疫に問題を抱えている場合に生じやすい疾患であり、早い場合には、発病から1-2週間で死に至ることがあります。
参考:
1. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05101187
2. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03583164
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