塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、新規シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬セフィデロコル(一般名)について、当社グループ会社の台湾塩野義製薬股份有限公司(以下、「台湾塩野義」)が、治療選択肢が限られるグラム陰性菌に感染した成人患者の治療を適応として、台湾衛生福利部食品薬物管理局(TFDA)に新薬承認申請(NDA:New Drug Application)を行い受理されましたので、お知らせいたします。
薬剤耐性(Antimicrobial resistance:AMR)は、「サイレントパンデミック」と呼ばれ、国際的な連携により対策を講じなければ、2050年までに年間1,000万人以上が命を落とす問題に発展すると予測されています1。現時点で使用可能な治療薬は限られており、アンメットメディカルニーズが高い感染症の一つです。台湾においてセフィデロコルが承認されれば、同地域で薬剤耐性菌による感染症で苦しむ患者さまに対する新たな治療薬選択肢となることが期待されます。
セフィデロコルは、欧米において承認を取得し2,3、現在米国および欧州各国で販売されています。当社グループは、AMR感染患者への治療貢献、あるいは将来の脅威への備えとして、台湾や日本、中国等でのセフィデロコルの開発や承認審査対応に引き続き注力するとともに、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約4を通じて、多くの低中所得国、高中所得国で本新規抗菌薬を必要とする患者へのアクセス改善に取り組んでいきます。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、研究開発、製造、販売に加え、感研究開発支援基金への参加や新たな保険償還システムの提案等、幅広く感染症に対する取り組みを進めております。当社は、様々な連携を通じてグローバル課題であるAMRの対策を成功させ、人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。
以 上
当社のAMRに対する取り組みついては、こちらをご覧ください。
【セフィデロコルについて】
セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生)による影響を受けずに抗菌力を発揮します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれます。その結果、セフィデロコルは細菌のペリプラズム内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を阻害します。2019年に米国食品医薬品局(FDA)、2020年に欧州医薬品庁(EMA)より承認を取得し2,3、WHOの必須医薬品リストにも掲載されています。当社は、グローバルにおけるセフィデロコルの価値最大化の取り組みを推進しています2-7。
参考
1. O’Neill J. ‘Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations’. Review on Antimicrobial Resistance. May 2016. Retrieved from
https://amr-review.org/sites/default/files/160525_Final%20paper_with%20cover.pdf
2. 2020年2月25日プレスリリース
FETROJA®(セフィデロコル)の米国での発売について
3. 2020年4月28日プレスリリース
FETCROJA®(セフィデロコル)の欧州における承認取得について
4. 2022年6月15日プレスリリース
GARDPおよびCHAIとのセフィデロコルのアクセス改善に向けたライセンス契約ならびに提携契約の締結について
5. 2022年6月16日プレスリリース
FETCROJA®(セフィデロコル)の英国におけるサブスクリプション型償還の開始について
6. 2022年7月28日プレスリリース
韓国におけるJEIL社とのセフィデロコルの開発・販売に関するサブラインセンス契約の締結について
7. 2022年10月20日プレスリリース
米国感染症週間(IDWeek 2022)でのセフィデロコルのリアルワールドデータに関する発表について
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