2023/05/24

レダセムチドの栄養障害型表皮水疱症に対する希少疾病用医薬品の指定について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、厚生労働省より、株式会社ステムリム(本社:大阪府茨木市、代表取締役会長 CEO:冨田 憲介)から導入した再生誘導医薬®レダセムチドが栄養障害型表皮水疱症に対する希少疾病用医薬品の指定(以下、「本指定」)を受けたことをお知らせいたします。

 

希少疾病用医薬品とは、規定された基準により薬事・食品衛生審議会の諮問を受け、厚生労働大臣が指定する医薬品です1。本指定により、審査期間の短縮による早期の承認取得、販売開始が期待されます。

 

塩野義製薬は、栄養障害型表皮水疱症患者を対象とした追加第2相臨床試験を実施しております。本試験は、難治性潰瘍の閉鎖を指標として、レダセムチドの有効性を検討することを目的とした多施設共同、非盲検、非対照試験です2。実施予定被験者数は3例以上であり、2023年2月より第一例目の患者さまへの投与が開始されております。一日も早く患者さまにレダセムチドをお届けできるよう一層の努力を続けてまいります。

 

【レダセムチドについて】

レダセムチドは、怪我や病気で損傷した組織を生きた細胞を用いることなく薬の投与により再生させる再生誘導医薬®の開発品です。再生誘導医薬®の特性を活かし、より多くの患者さまにヘルスケアソリューションを提供するために、栄養障害型表皮水疱症に加えて急性期脳梗塞、慢性肝疾患、変形性膝関節症、心筋症における開発を進めております。

 

【栄養障害型表皮水疱症について3,4

皮膚は、表皮と真皮および皮下組織の3層から成り立っています。表皮と真皮の間には、接着に必要なタンパク質が存在し、皮膚に外力が加わっても簡単には解離しない構造になっています。しかし、表皮水疱症の場合、その皮膚の構造成分であるタンパク遺伝子に変異があるため、日常生活におけるわずかな刺激でも皮膚や粘膜にびらんや水疱が生じ、日常生活に大きな支障をきたします。表皮水疱症は原因となるタンパク遺伝子の種類によって分類され、栄養障害型表皮水疱症は全体の約5割と最も多い病型ですが、重症の場合、指趾の癒着、食道狭窄、鉄欠乏性貧血、瘢痕癌の発症リスクも高まります。国内の表皮水疱症患者数は約500~1,000名と予想されますが、現時点で根本的な治療法はありません。

 

【ステムリム社について】

ステムリム社は、大阪大学発の“創薬研究開発型”バイオテック企業です。2006年に大阪大学大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に設立されました。以来、大阪大学との共同研究を通じて、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する再生誘導医薬®の実現を目指した研究開発に取り組んでおり、「再生誘導で難治性疾患を克服する」ことを企業使命に、世界をリードするバイオベンチャーになるべく、挑戦を続けています。詳細はステムリム社のホームページをご覧ください。

 

参考:

1.        希少疾病用医薬品の指定
希少疾病用医薬品の試験研究を促進するための支援措置であり、対象患者数が国内において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに特に医療上の必要性が高いものであること等の基準に則り、薬事・食品衛生審議会の諮問を受け、厚生労働大臣が指定を行います。指定された場合、企業は助成金の交付、税制措置、優先審査、再審査期間の延長等の支援措置を受けることが可能となります。詳細は厚生労働省のホームページをご覧ください。

2.        臨床研究等提出・公開システム (niph.go.jp)

3.        公益社団法人 日本皮膚科学会

4.        公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.