トロンボポエチン受容体作動薬 「稳可达®(ムルプレタ®)」の
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、提携先であるEddingpharm(本社:中華人民共和国上海市、Chief Executive Officer: Ni Xin、以下「Edding社」)が、トロンボポエチン受容体作動薬「稳可达®(日本での製品名:ムルプレタ®、以下「本剤」)」について、待機的な観血的手技を予定している成人慢性肝疾患患者における血小板減少症の治療を適応として、中国国家薬品監督管理局(National Medical Products Association) 薬品審評中心(Center for Drug Evaluation)より承認を取得したことを発表しましたので、お知らせいたします。
本剤は、当社で創製された低分子トロンボポエチン受容体作動薬で、待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者の施術の際の血小板輸血を回避できる代替療法として、すでに日本および米国、欧州で承認を取得し発売しています。今回承認を取得した中国における成人の慢性肝疾患患者数は約1,360万人1,2,3と報告されており、待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者さまが数多くいらっしゃる一方で、慢性的に輸血用の血液が不足するなどの課題が顕在化しており、新たな輸血の代替療法が求められていました。
当社は、中国における患者さまの治療に貢献するため、中国、香港、マカオにおける本剤の独占的販売権を導出するライセンス契約をEdding社と締結4しており、このたびの承認取得を受け、当社グループはEdding社に対し本剤の供給を開始するとともに、上市後の経過時期に応じたマイルストンを受領する予定です。
塩野義製薬は、これまで培った創薬型製薬企業としての強みを磨きつつ、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、引き続き患者さまや社会の抱える困り事の解決に取り組んでまいります。
なお、本件が2024年3月期の業績に与える影響は軽微です。
以 上
【Eddingpharmについて】
Eddingpharmは、2001年設立の製薬企業で、GSK社、Lilly社、Roche社等の海外大手製薬企業との提携品の中国市場での販売実績があります。中国全土の肝疾患、血液疾患、感染症専門病院を広くカバーできる販売網を持っています。
より詳細はウェブページをご覧ください。http://www.eddingpharm.com/EN/
【ムルプレタ®について】
ムルプレタ®(Lusutrombopag)は、当社で創製された低分子トロンボポエチン受容体作動薬で、待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者の施術の際の血小板輸血にみられる発熱性非溶血性副作用や細菌感染、ウイルス感染などを回避できる代替療法として日本、米国、欧州において承認販売されております。
【慢性肝疾患における血小板減少症について】
血小板は出血時の止血、血液の凝固に重要な役割をはたしていますが、その数が減少する血小板減少症は、トロンボポエチン(血小板の前駆細胞の増殖および分化に関与する造血因子)の産生減少を含むさまざまな要因によって引き起こされます。血小板の正常値は 15~35 万/mm3で、通常 15 万/mm3未満が血小板減少症と定義されており、慢性肝疾患の合併症として頻繁に発生し5,6,7、肝硬変患者では78%に認められます8。 慢性肝疾患で血小板減少症を合併する場合は、血小板減少症の合併のない場合と比較して出血のリスクが高く、血小板輸血を繰り返し、外来診療回数の増加および入院期間の延長が必要になると報告されております9。 C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎で血小板減少症を合併している場合は、血小板減少症を合併していない慢性肝疾患と比較して、年間医療費が3倍になるという報告もあります9。特に重度の血小板減少症(50,000 /μL未満の血小板数)では、外傷や手術時の出血が悪化するため、肝生検などの外科的処置や抗ウイルス療法の遅れや中止の原因となり、診断・治療行為を困難にしております10。
ご参考:
1. DM Report, GlobalDataから推定
2. 2008年中国慢性病統計データから推定
3. Datamonitor report
4. 2019年6月24日:プレスリリース
トロンボポエチン受容体作動薬LusutrombopagならびにHER2/EGFR阻害剤Epertinibの中国におけるEddingpharmグループとのライセンス契約締結について
5. Giannini EG. Aliment Pharmacol Ther. 2006;23(8):1055-1065.
6. Koruk M, et al. Hepatogastroenterology. 2002;49(48):1645-1648..
7. Aref S, et al. Hematology. 2004;9(5/6):351-356.
8. Peck-Radosavljevic M. Liver Int. 2017; 37(6):778-793..
9. Poordad F, et al. J Med Econ. 2012; 15:112-124.
10. Hayashi H, et al. World J Gastroenterol. 2014; 20: 2595-2605.
[お問合せ先]
塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.