2024/05/09

新規マラリア予防薬の創出を目的とした 長崎大学・国立感染症研究所・MMVとの共同研究契約の締結と、GHIT Fundによる採択について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、国立大学法人長崎大学(所在地:長崎県長崎市、学長:永安 武、以下「長崎大学」)、国立感染症研究所(所在地:東京都新宿区、所長:脇田 隆字)、ならびにMedicines for Malaria Venture(以下「MMV」)との間におきまして、新規マラリア予防薬の創出を目的とした共同研究に関する契約を締結しましたのでお知らせいたします。このたびの共同研究は、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、「GHIT Fund」)に採択され、約3億3,000万円の資金の提供を受けて実施されます。

 

 マラリアは、エイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の一つです。マラリアは主に熱帯・亜熱帯地域で流行しているマラリア原虫による感染症で、蚊(ハマダラカ)によって媒介され、年間の感染者数は世界で約2.5億人・死亡者数は約61万人と報告されています1。予防ワクチンの有効性が十分ではない上、既存の治療薬に耐性を示す原虫が増加してきていることから、マラリアは大きな医療ニーズが存在し、人類の脅威として世界的に深刻視されています。

 

 塩野義製薬と長崎大学は、2019年2月に「マラリアを中心とした感染症分野における包括的連携」に関する協定を締結し、これまでマラリアの予防および治療に関する研究を進めてきました2,3。2023年3月には、新規マラリア治療薬の創出に関する塩野義製薬・長崎大学・MMVとの共同研究がGHIT Fundによる採択を受けています4

 このたびの契約締結により、塩野義製薬・長崎大学・国立感染症研究所・MMVの4者は連携して新規マラリア予防薬の研究ならびに開発候補品の創出に向けて取り組んでいきます。

 

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は感染症のリーディングカンパニーとして、公衆衛生上の大きな課題である世界三大感染症、AMR(薬剤耐性)、COVID-19など幅広い感染症への対策に継続して取り組んでまいります。

以 上

【グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について】

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」は、マラリア、結核、顧みられない熱帯病等、特に開発途上国の人々を苦しめる感染症の制圧を目指し、日本の技術、知見、イノベーションを用いた治療薬、ワクチン、診断薬の開発を推進する日本発の国際的な官民ファンドです。当社は、GHIT Fund の発足以来、その活動の第一期、第二期、および第三期において、資金拠出を実施しています5

詳細はGHIT Fund | Global Health Innovative Technology Fundをご覧ください。

 

【Medicines for Malaria Venture(MMV)について】

MMVは、最先端のマラリア治療薬の研究開発を行う製品開発パートナーシップであり、そのミッションは、新規で効果のある容易に入手が可能なマラリア治療薬の研究、開発、供給を通じ、マラリアが蔓延している国々をその脅威から救うことです。また、MMVが掲げるビジョンは、革新的な医薬品でマラリアに苦しむ患者さんを治療し、最終的には重篤な疾患を根絶することです。

詳細は、Medicines for Malaria Venture | Developing antimalarials to save lives (mmv.org)をご覧ください。

 

【長崎大学について】

 長崎大学の熱帯医学研究所は、熱帯病の中でも最も重要な領域を占める感染症を主とした疾病と、これに随伴する健康に関する諸問題を克服することを目指しています。また、同研究所内に共同研究部門として「シオノギグローバル感染症連携部門」を設置しており、マラリアの予防、診断および治療に必要な研究を行い、革新的な新薬の創製に取り組んでおります。

 

【国立感染症研究所について】

国立感染症研究所は、感染症を制圧し、国民の保健医療の向上を図る立場から、広く感染症に関する研究を先導的・独創的かつ総合的に行うとともに、国の保健医療行政の科学的根拠を明らかにし、また、これを支援しています。