塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、令和6年度全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、「HIVインテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルの発明」が、最高位の賞である「恩賜発明賞」および「発明実施功績賞」を受賞したことを、お知らせいたします。
全国発明表彰は、発明協会が皇室からの御下賜金を受け、日本の科学技術の向上と産業の発展へ寄与することを目的に開催しています。本表彰は、多大な功績をあげた発明、考案、意匠、あるいは、今後大きな功績をあげることが期待される発明などを表彰するものであり、ヘルスケア領域など特定の分野に限らず、全ての分野が対象となっています。その中でも、「恩賜発明賞」は、全国発明表彰の象徴的な賞として、最も優秀と認められる発明などの完成者に贈呈されます。また、「発明実施功績賞」は、法人が恩賜発明賞を受賞する場合に、発明者の所属する企業や団体の代表者に贈られる賞です。
過去の恩賜発明賞はこちら(恩賜発明賞一覧 (jiii.or.jp))をご参照下さい。
今回の受賞は、エイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、以下HIV)独自の酵素であるインテグラーゼを阻害することによって、HIVの増殖を抑える化合物(ドルテグラビル)の発明を評価されたものです。ドルテグラビルは、副作用や耐性ウイルスの出現という従来のHIV治療の課題を解決した化合物であり、ドルテグラビルを主成分とするHIV治療薬の4製品は、現在英国ViiV Healthcare社を通じて欧米や日本を中心としてグローバルに販売され、HIVと共に生きる人々のQOL向上に貢献しています。
塩野義製薬は、患者さまや社会の困りごと(ニーズ)に向き合い、ヘルスケアに関する課題を解決するためのイノベーションを継続的に創出していくことで、社会とともに持続的に成長し続けていくことを目指しています。医療用医薬品の提供だけにとどまらず、多様な価値を提供する「HaaS企業」へと変革し、イノベーションから生み出される革新的なヘルスケアソリューションを1日でも早く、より多くの皆さまにお届けすることができるよう、努力してまいります。
以 上
【受賞概要について】
<受賞者(本表彰の受賞時点の所属)>
① 恩賜発明賞
・塩野義製薬株式会社 川筋 孝、垰田 善之、大司 照彦
・Brii Biosciences Brian Alvin Johns
② 発明実施功績賞
塩野義製薬株式会社 代表取締役会長兼社長CEO 手代木 功
<受賞名称>
HIVインテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルの発明
<受賞発明の概要>
本発明は、HIV独自の酵素であるインテグラーゼを阻害することで、エイズを引き起こす HIVの増殖を抑える化合物に関するものです。
従来のHIV治療薬を組み合わせた多剤併用療法は、エイズによる死亡率を低下させました。しかし、服薬条件が複雑であることに加えて、副作用や耐性ウイルスの出現など多くの課題を残していました。そこで発明者は、2つのマグネシウムイオンを含むインテグラーゼの活性中心に対してより強く結合し、耐性変異に強い阻害剤の分子設計に取り組みました。多くの試行錯誤の結果、三環性カルバモイルピリドンを基本構造とするリード化合物を見出し、構造の最適化の末、上記の課題を克服した化合物(ドルテグラビル)を完成させました。
ドルテグラビルを主成分とする関連製品は、グローバルで承認され、HIV治療薬の第一選択薬として推奨されています。また、耐性ウイルスや副作用を軽減した結果、治療成功率が向上し、HIVと共に生きる人々のQOL向上に貢献しています。
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