2024/10/17

米国感染症学会週間(IDWeek 2024)における セフィデロコルの良好な臨床効果を示すリアルエビデンスデータの発表について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコル(製品名:日本「フェトロージャ®」、米国・台湾「Fetroja®」、欧州「Fetcroja®」)の有効性ならびに安全性を評価した新規リアルワールドエビデンス(PROVE研究)を、2024年10月16日~19日に開催される米国感染症学会週間Infectious Disease Week 2024(以下「IDWeek 2024」)において発表することをお知らせいたします。

 

PROVE研究は、薬剤耐性を示すグラム陰性菌感染症を患う重症患者に対するセフィデロコルの実臨床での有効性と安全性の評価を目的に実施された、国際多施設共同の後ろ向き観察研究です。本研究の主要評価項目である臨床的成功率(症状が消失または改善した割合)は呼吸器感染症患者で71.6%、血液感染症患者で74.1%、尿路感染症患者では91.2%であり、全体では75.1%の臨床的成功率でした1。また、30日以内の全死因死亡率は23.3%で、良好な臨床効果が示されました1

 

本研究において、セフィデロコルを投与された1,075例の患者背景は以下の通りでした1,2

・   重症の入院患者を対象とし、そのうち半数以上(56.6%)は集中治療室にて治療されていました。感染症の内訳は呼吸器感染症53.1%、尿路感染症10.6%、血液感染症10.0%でした。

・   対象患者の74.6%が、重度の細菌感染症の治療に一般的に使用されるカルバペネム系抗菌薬に対して耐性を示していました。

・   主な原因菌は緑膿菌(35.9%)、アシネトバクター・バウマニ(18.1%)、腸内細菌目細菌(13.1%)でした。また、25.2%は、複数のグラム陰性菌が同時感染した複数菌感染症でした。

 

1,075例の対象患者において25例の患者で副作用が確認され、セフィデロコルの忍容性は良好であることが示されました1

本研究の結果より、薬剤耐性を示す様々なグラム陰性菌感染症に対するセフィデロコルの高い治療効果と良好な忍容性が確認されました。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。当社は、グローバルの課題である薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)の対策の成功に向け、人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

                                                                                                                                                    以 上

【セフィデロコルについて】

 セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する、新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する 3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくい特徴を有します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する、鉄トランスポーターを介し細菌内に能動的に運ばれることで、細菌の細胞壁合成を阻害します。セフィデロコルはこれまでに米欧台日において承認を取得し、日本においてはフェトロージャ®、米国と台湾ではFetroja®、欧州においてはFetcroja®の製品名でそれぞれ販売されています。セフィデロコルはWHOの必須医薬品リストにも掲載されており、また、多くの低中所得国、高中所得国で本新規抗菌薬を必要とする患者へのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約を通じた準備を進めています。

 

【AMRについて】

薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)は、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得により抗菌薬が効きにくくなることです。AMRは「サイレントパンデミック」と呼ばれ、人類が直面する世界的な公衆衛生上の脅威のひとつであり、緊急に対処が必要な世界規模の重要課題です3,4。2019年には、AMRにより世界中で127万人が死亡したと推定されています5。また、国際的な連携により対策を講じなければ、2050年までに年間1,000万人以上が命を落とす問題に発展し、世界経済に与えるインパクトは累積で100兆米ドルに及ぶとの予測がなされています6

 

当社のAMRに対する取り組みついては、こちらをご覧ください。

参考

1.           Clancy C, et al. Real-World Effectiveness and Safety of Cefiderocol in the Treatment of Patients with Serious Gram-negative Bacterial Infections: Results of the PROVE Chart Review Study. Poster presented at IDWeek 2024.

2.           Papp-Wallace KM, et al. Carbapenems: past, present, and future. Antimicrob Agents Chemother. 2011 Nov;55(11):4943-60. doi: 10.1128/AAC.00296-11. Epub 2011 Aug 22. PMID: 21859938; PMCID: PMC3195018.

3.           Antimicrobial resistance (who.int)

WHO. Antimicrobial resistance. Who.int. Published October 13, 2020.

4.           WHO Bacterial Priority Pathogens List, 2024. Accessed May 24, 2024. Available at: https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/376776/9789240093461-eng.pdf?sequence=1

5.           Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. Lancet 2022; 399: 629–55

6.           160525_Final paper_with cover.pdf (amr-review.org)

O’Neill J. ‘Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations’. Review on Antimicrobial Resistance. May 2016.

 

 

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