~持続可能(サステイナブル)な社会の実現に向けたSHIONOGIグループのコミットメント~

 

 「持続可能な社会への貢献」は、「持続的成長」と並び、企業が責任をもって果たしていかなければならない重要なテーマです。とりわけ環境面においては、自然資本を投入して事業活動を行っている企業として、資源の枯渇、環境汚染、自然への影響など、事業活動によって生じる負の影響を最小限に留める必要性を強く認識しています。SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)は、重要課題(マテリアリティ)の一つとして「環境への配慮」を特定し、気候変動への対応、医薬品製造過程における化学物質の環境への排出、さらには省資源・資源循環の推進や生物多様性の保全など、製薬企業特有の課題を含む多様な環境課題に対して、責任ある対応をグローバルに進めています。

2024年度には、サプライヤーを含む各製造拠点から環境中に排出される抗菌薬の厳格な管理を通じて、製造設備由来の抗菌薬による新たな薬剤耐性の発生を抑制する取り組みや、温室効果ガス削減目標の達成に向けた施策の実施など、グループ全体で継続的に環境課題への対応を進めてまいりました。その結果、CDP※1より「気候変動」分野では3年連続で最高評価のA、「水セキュリティ」分野ではA-という高いスコアを獲得することができました。これらの評価をいただけたことを、大変光栄に思っております。また、2024年からは新たに環境マテリアリティとして「環境マネジメント・ガバナンス」を加え、戦略的かつグローバルに環境面の取り組みを推進するための基盤強化を進めています。

代表取締役会長兼社長 CEO 手代木 功

 2025年度には、日本たばこ産業株式会社の医薬事業の会社分割(簡易吸収分割)ならびに鳥居薬品株式会社に対する公開買付け等を通じて、新たな仲間を迎え入れ、SHIONOGIの事業拠点は国内外でさらに拡大いたします。環境面においても、法規制遵守やリスクマネジメントなどのマネジメント・ガバナンス体制の統合を早急に進め、グループ全体のマネジメント水準をより一層向上させてまいります。

 SHIONOGIは、事業活動の拡大に伴い増大する環境への影響に対して、グループ一体となって取り組むことでその低減を図るとともに、取り組み内容を適切に開示することでステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを強化し、将来にわたって必要とされる企業となれるよう、社会的責任を果たしてまいります。

※1CDP:環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題に関する情報開示を求め、それを通じて対策を促すことを主たる活動とする非営利組織

~持続可能な社会の実現に向けたSHIONOGIグループのEHS活動~

 

 SHIONOGIは、顧客・社会への負の影響を軽減するために取り組む重要課題(マテリアリティ)として「環境への配慮」を特定しています。さらに、SHIONOGIの事業特性や外部環境変化の分析、外部ステークホルダーならびにグループ内の関係者との対話などを踏まえて、「AMR※2」「気候変動」「省資源・資源循環」「水」、および「環境マネジメント・ガバナンス」の5項目を、環境の中でもより優先すべき課題である『環境マテリアリティ』に特定し、課題解決に向けた活動を推進してきました。

 2024年度は、サステイナビリティ情報開示に関する要請の動向や、Qpex Biopharma, Inc.がShionogi Inc.の傘下となるなど、社内外の環境変化を踏まえ、海外グループ会社との積極的なコミュニケーションを通じて、グローバルでのマネジメント体制のさらなる整備を進めました。

 また、環境マテリアリティの一つである「AMR」に関しては、抗菌薬を取り扱う企業としての社会的責任のもと、新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬 FETOROJA®/FETCROJA®(セフィデロコル)の原薬製造および製剤過程が、AMR Industry Allianceの抗生物質製造基準に準拠していることを保証する BSI(British Standards Institution)※3 の「Kitemark™ for Minimized Risk of AMR」認証の取得計画を立案し、2025年度の承認取得を目指して着実に準備を進めています。

 このように、今後ますますビジネスがグローバルに展開される中で、ステークホルダーからの要求は質・量ともに増加することが予想されます。SHIONOGIは、社内外の状況を幅広く見極めながら、環境を含む EHS※4 活動をプロアクティブに推進していく必要があると考えています。

上席執行役員 統括EHS責任者
 今後も、サプライチェーンを含むSHIONOGIのあらゆる活動において環境面での取り組みを推進し、事業による負の影響の低減を図ることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。あわせて、情報開示の充実を図ることでステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを強化し、将来にわたって必要とされ続ける企業であり続けるよう、取り組みを進めてまいります。今後とも、皆さまのご支援を賜りますようお願い申し上げます。

*2 AMR:Antimicrobial Resistance(薬剤耐性)の略。抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなること。

*3 BSI : 1929年に英国王室認可により設立された英国の国家標準化機関で、世界的に認定された研修・試験・認証を提供している。

*4 EHS:Environment, Health and Safety(環境および安全衛生)