~持続可能(サステイナブル)な社会の実現に向けたSHIONOGIグループのコミットメント~

 

「持続可能な社会への貢献」は、「持続的成長」と並び、SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)が果たすべき重要な責任の一つです。私たちは、人々の健康を守るための医薬品を創製・提供する企業として、その基盤となる地球環境の健全性を将来にわたり維持していくことが不可欠であると考えています。

SHIONOGIはこれまで、気候変動への対応、資源循環の推進、生物多様性の保全、さらには薬剤耐性(AMR*1)への対応など、製薬企業として重要な環境課題に対し、着実に取り組みを進めてきました。その結果、2025年度にはCDP*2より「気候変動」および「水セキュリティ」分野で最高評価であるAスコアを獲得しました。また、金ケ崎工場では抗菌薬製造に伴うAMR発生リスク低減の取り組みが評価され、日本の医薬品製造施設として初めてBSI(British Standards Institution)*3の「Kitemark™ for Minimized Risk of AMR」を取得しました。これらの成果は、環境課題への対応を一つひとつ積み重ねてきた結果であり、大変誇らしく感じています。

代表取締役会長兼社長 CEO 手代木 功

 一方で、SHIONOGIを取り巻く事業環境は大きく変化しています。2025年度はJT医薬事業や鳥居薬品、エダラボン事業の取得を進めたとともに、2027年度に向けてはシオノギファーマならびに鳥居薬品の統合を予定しています。こうした不連続な変化による事業の成長は、より多くの患者さまへ価値を届ける機会を広げる一方で、私たちの環境に対する責任もこれまで以上に大きくしていると認識しています。

 私は今、事業の変化に合わせて、SHIONOGIと環境との関わりを改めて見つめ直すことが重要だと考えています。気候変動や自然資本に関する課題は年々複雑さを増しており、事業活動が環境に与える影響だけでなく、環境の変化が事業へもたらすリスクや機会についても、より深く理解していかなければなりません。そのため現在、グループ全体で評価・分析を進めるとともに、それらを適切にマネジメントするためのガバナンス体制や中長期目標の見直しを進めています。

 事業活動の変化に応じて環境マネジメントを進化させながら、環境負荷の低減と企業価値向上の両立を目指すことが私たちの責務です。今後も透明性の高い情報開示とステークホルダーの皆さまとの対話を通じて、社会から信頼され、将来にわたって必要とされる企業であり続けられるよう取り組んでまいります。

*1 AMR:Antimicrobial Resistance(薬剤耐性)の略。抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなること。

*2 CDP:環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に対して気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題に関する情報開示を求め、それを通じて対策を促すことを主たる活動とする非営利組織

*3 BSI : 1929年に英国王室認可により設立された英国の国家標準化機関で、世界的に認定された研修・試験・認証を提供している。

~持続可能な社会の実現に向けたSHIONOGIグループのEHS活動~

 

 SHIONOGIは、顧客・社会への負の影響を軽減するために取り組む重要課題(マテリアリティ)として「環境への配慮」を特定しています。さらに、SHIONOGIの事業特性や外部環境変化の分析、外部ステークホルダーならびにグループ内の関係者との対話などを踏まえ、「AMR」「気候変動」「省資源・資源循環」「水」および「環境マネジメント・ガバナンス」の5項目を環境マテリアリティとして特定し、課題解決に向けた活動を推進してきました。

 2025年度は、JT医薬事業、鳥居薬品株式会社およびAkros Pharma Inc.のグループへの参入やエダラボン事業の買収などにより、SHIONOGIの事業環境が大きく変化しました。そのような中、JT医薬事業の事業所および鳥居薬品におけるEHS*4 管理体制の整備を進めたほか、環境マテリアリティの一つであるAMRへの取り組みとして、セフィデロコルの原薬製造および製剤工程において、BSIの「Kitemark™ for Minimized Risk of AMR」認証を取得しました。また、サステナビリティ開示基準への対応を見据え、グローバルで信頼性の高い環境データを把握・管理するため、第三者保証に対応した環境データ集計システムの導入を進めるとともに、海外グループ会社との連携強化を通じて、グローバルでの環境マネジメント基盤の整備を推進しました。

上席執行役員 統括EHS責任者

 一方で、事業活動の拡大は、環境に対する責任の拡大でもあります。近年、気候変動や自然資本に関する社会からの関心は急速に高まっており、企業に求められる責任や説明責任も大きく変化しています。私は、こうした環境変化の中で、私たち自身が事業活動と環境との関係性を改めて見つめ直し、環境マネジメントをさらに進化させていくことが重要であると考えています。

 現在SHIONOGIでは、事業活動が気候や自然環境に与える影響だけでなく、気候変動や自然資本の変化が事業にもたらすリスクと機会について、グループ全体で評価・分析を進めています。これは単に情報開示を充実させるためではなく、自らの事業活動と環境との関わりをより深く理解し、今後の意思決定や取り組みにつなげていくための重要なプロセスでもあります。今後は、その結果を踏まえながら、TCFD*5 提言に基づく開示内容のさらなる高度化やTNFD*6 提言に沿った情報開示の充実を図るとともに、環境マネジメント・ガバナンスの強化や中長期目標の見直しを進めていきます。

 環境課題を取り巻く状況や事業環境が大きく変化するなか、私たちもまた変化し続けなければなりません。今後もサプライチェーンを含むSHIONOGIのあらゆる活動において環境面での取り組みを推進するとともに、透明性の高い情報開示とステークホルダーの皆さまとの対話を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

*4 EHS:Environment, Health and Safety(環境および安全衛生)
*5 TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース) G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された組織
*6 TNFD:Task Force on Nature-Related Financial Disclosure(自然関連財務情報開示タスクフォース)自然資本への依存度と生態系への影響を評価し、これらの情報を企業や金融機関が投資家や他の利害関係者に提供するための枠組み