~持続可能(サステイナブル)な社会の実現に向けたSHIONOGIグループのコミットメント~

 

 企業として「持続可能な社会への貢献」は、「企業の持続的成長」と並んで責任をもって果たしていかなければならない重要なテーマです。とりわけ環境面に関しては、自然資本を投入して事業活動を行っているものとして、当社グループの事業活動によって生じる負の影響(資源の枯渇、環境汚染など)を最小限に留めることの必要性を重く認識しています。SHIONOGIグループ(以下、SHIONOGI)は重要課題(マテリアリティ)の一つとして「環境への配慮」を特定し、グローバルに喫緊の課題である気候変動対応や、製薬企業特有の課題である医薬品製造過程における化学物質の環境への排出、さらには海洋プラスチック問題を含む省資源・資源循環の推進や生物多様性の保全など、種々の環境課題に誠実に向き合い、責任ある対応を進めています。

 2023年度においても、サプライヤーを含めSHIONOGIが取り扱う抗菌薬製造施設からの環境排出抑制に関する取り組みや、温室効果ガス削減目標達成に向けた施策の実施など、継続的にグループを挙げて進めている環境諸課題への対応が認められ、前年度に引き続き2年連続でCDP*1から「気候変動」および「水セキュリティ」の両分野において最高評価であるA評価をいただきました。当社グループの取り組みを高く評価されたことを大変光栄に思っています。

代表取締役会長兼社長 CEO 手代木 功

 また、2023年度は感染症領域に強みを持つ米国Qpex Biopharma, Inc.をSHIONOGIの仲間として迎え入れることができました。事業の成長に伴い、これまで以上に海外の生産ならびに研究拠点の重要性が増してくることから、環境面の取り組みもグローバルに強化を図る必要があります。加えて、事業活動の拡大に伴い増大していく環境への影響を低減する新規技術の導入などについても、グループ全体でその時期や効果を適切に判断し、マネジメントしていく必要があります。2023年度はそのようないくつかの課題に対応するため、環境戦略を見直し、「環境マネジメント・ガバナンス」を新たに環境マテリアリティに加えました。これにより、SHIONOGIがより一体感を持って環境の諸課題に取り組むための基盤の強化が図られたと考えています。

 SHIONOGIは、事業活動の拡大に伴い増大する環境への影響にグループ一体となって対処していくことで、その低減を図るとともに、取り組み内容を適切に開示していくことで、ステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを強化し、将来に渡って必要とされる企業となれるよう、社会的責任を果たしていきます。

*1:環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織

~持続可能な社会の実現に向けたSHIONOGIグループのEHS活動~

 

 SHIONOGIは、顧客・社会への負の影響を軽減するために取り組む重要課題(マテリアリティ)として「環境への配慮」を特定しています。さらに、SHIONOGIの事業特性や外部環境変化の分析、外部ステークホルダーならびにグループ内の関係者との対話などを踏まえて、「AMR*2」「気候変動」「省資源・資源循環」「水」の4項目を、環境の中でもより優先すべき課題である『環境マテリアリティ』に特定し、課題解決に向けた活動を推進してきました。

 2023年度は、この環境マテリアリティを見直し、新たに「環境マネジメント・ガバナンス」を追加しており、SHIONOGIとして環境面での活動をさらに強化していく意思を明確に示しています。これは事業の成長に伴い、事業拠点がグローバルに拡大している中において、マネジメント・ガバナンスの体制をより強化し、気候変動、環境汚染や自然資本の枯渇への対応などの世界的な環境問題に、グループ全体で戦略的に対応していく必要があると考えたためです。

上席執行役員 統括EHS責任者 木山 竜一

 また、『環境マテリアリティ』の見直しに伴い、5年単位で設定していた『SHIONOGIグループEHS*3行動目標』を2035年/2050年までの中長期の計画に改め、環境マテリアリティの各項目を中心に、それぞれの具体的数値目標を設定しています。この変更を行った理由は、これまで5年という単位で事業所単位での取り組みを充実させることで、環境マテリアリティに特定した各項目の改善を図ってきましたが、パリ協定に代表される国際的な環境目標の実現にSHIONOGIとして貢献していくためには、経営の関与を強め、今後の事業計画や投資計画と連携した、より長期的な目標立案とその実行が必要だと判断したためです。2035年までの目標設定に変更したことで、ありたい姿から逆算して、より戦略的な投資判断や施策の遂行につなげることができると考えています。さらに、これまで生産活動の拡大に伴い実績値が増大することで、現場の努力が見えにくくなっていた水や廃棄物などの項目についても、設定する指標・目標を見直し、各事業所における環境負荷抑制のための貢献を可視化できるようにしています。各項目の具体的な目標やその達成に向けた取り組みは、環境ページのそれぞれの項目で詳述していますので、ご確認ください。

 引き続き、サプライチェーンも含めたSHIONOGIのあらゆる活動において、環境面での取り組みを推進していくことで事業による負の影響低減を図り、持続可能な社会の実現に貢献していきます。あわせて、情報開示の充実を図ることで、ステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを強化し、将来にわって必要とされ続けることができるよう取り組んで参ります。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。

 

*2 AMR:Antimicrobial Resistance(薬剤耐性)

*3 EHS:Environment, Health and Safety(環境および安全衛生)