SHIONOGIグループの製品・サービスの安全性と品質の確保について生産活動ならびに信頼性保証の取り組みに分けて紹介しています。

生産活動

生産に対する考え方:高品質な医薬品を安定的かつ経済的に

基本方針を具現化するため、Safety(安全の確保)、Quality(高品質)、Delivery(安定供給)、Cost(低コスト)、Environment(環境への配慮)を活動の基本として、生産活動を行っています。今後も引き続き、この5項目を常に意識し、高品質な医薬品の安定供給をより経済的に実現できるよう真摯に取り組みます。

製造品質の向上に向けた取り組み

SHIONOGIグループでは、高品質な医薬品の安定供給を継続的に実現するため、国内および海外のGMP*に基づいた品質保証体制を構築し、米国をはじめとする欧米の規制当局の査察をクリアしています。また、医薬品は必ず品目ごとにGMP適合性調査を受ける必要があり、SHIONOGIグループにおいても全品目でGMP適合性調査証明書の発行を受けた上で、各生産拠点で医薬品の製造を行っています。
GMP適合性調査証明は、ICH Q10というガイドラインに準拠した医薬品品質システムをカバーしています。ICH Q10はISO9001をガイドライン作成の基礎としていることから、この医薬品品質システムはISO9001を基礎とする考え方となっています。
生産拠点では、原材料の受け入れから最終製品に至るまで、ロットごとに社内で試験検査することで製品品質を管理するとともに、品質トレンド評価および安定性モニタリングを行い、継続的な品質改善に努めています。また、医薬品の製造および品質に係るすべてのデータ、文書を適正に管理することでデータの完全性を保証し、最もよい薬を提供し続ける体制を確立しています。
* GMP:Good Manufacturing Practice(医薬品の製造管理および品質管理規則)
  • シオノギファーマ

    SHIONOGIグループの生産関連機能を集約したグループ会社。

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シオノギファーマ株式会社は、SHIONOGIにおいて生産領域を担い、お客さまのニーズや社会の期待に応える高品質な製品・サービスを提供するために、全社体制のもと継続的な品質向上の取り組みを行っています。

 

これまでは、品質の維持・向上は各工場の責任としており過密な生産計画が進んでいる中では品質の課題を認識してもその解決への取り組みが置き去りにされてしまう危険性がありました。そこで2023年度より、工場で品質の課題を認識した場合、品質保証部門と技術開発部門のメンバーが工場に赴き、全社体制のもと工場のメンバーと課題解決を迅速に取り組む体制としました。

 

また、Quality Culture醸成活動の一環として、品質向上が最も優先度の高い取り組みであることを周知徹底するために、トップダウンとボトムアップのアプローチを行っています。トップダウンのアプローチとしては四半期に一度、各工場でタウンホールミーティングを行い、経営トップから品質の重要性を継続して説明しています。一方、ボトムアップのアプローチとして半年に一度、品質やコンプライアンスに関するアンケート調査を行い、些細な事案でも拾い上げ、いち早く課題の解決を試みています。これらの取り組みの結果、2023年度は複数の日米当局などの査察を受けましたが、大きな課題は見いだされませんでした。

 

これらに加え、シオノギファーマでは連続生産の技術開発を行っています。その目的は、コスト削減や開発スピードの向上だけではなく、生産工程が自動化され標準化されることで、最終的には品質の向上へつなげるという期待も込め、技術開発を行っています。

責任ある信頼性保証体制

SHIONOGIでは、信頼性保証活動において、品質、安全性、薬事に関わる業務においてすべての法規制を遵守し、グループ全体の信頼性を保証することをミッションとしています。すなわち、米国、欧州、アジア等の世界各国のグループ会社と密接に連携し、SHIONOGIグループが提供する製品や情報の品質向上、強固な安全監視体制による安全性の確保、ならびに目まぐるしく変化する規制環境下における薬事コンプライアンスの推進に取り組み、企業としての責任を果たしています。

またSHIONOGIは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に基づき、担当役員の責任のもと、総括製造販売責任者を中心とした製造販売三役による管理体制を構築しています。国内外の生産拠点などサプライチェーンに対しては計画的な監査を実施するとともに、市販後の安全性情報の収集・評価を通じて、法令遵守と品質・安全性の確保に努め、信頼性の高い製品・サービスを提供しています。

今後も法規制を遵守し、リスクを未然に防止することで、患者さまが安心でき、全ステークホルダーに信頼されるSHIONOGIグループを実現していきます。

Quality Culture の醸成

SHIONOGIでは、品質を重要な企業価値の1つと捉え、グループ全体でグローバルにQuality Cultureの醸成の取り組みを行い、自社グループのみならずサプライチェーンに至るまでコンプライアンスを厳守するマインドの向上に努めています。

シオノギファーマをはじめ国内外の生産拠点と連携し、監査や定期的な教育などを通じて、品質向上に向けた取り組みの共有と理解の深化を図っています。また、同業他社との交流による工場訪問やワークショップを通じて、自ら考える機会をつくり、Quality Cultureの醸成を促進しています。 加えて、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に基づき、責任役員の役割と責任範囲を明確に定め、製造販売三役体制による適切な管理体制のもと、全従業員を対象とした法令遵守に関する教育を毎年実施しています。

さらに、毎年グループ全体で「Global Compliance & Quality Week」を開催し、イベントを通じたデータインテグリティの重要性の理解推進をはじめ、常に法令遵守に基づいた品質活動を推進しています。

また、国内外の工場および製造委託先に対して計画的な実地またはリモートによる監査を行うとともに、重大な事象が発生した工場および製造委託先に対しては臨時監査を実施してフォローを行うことで、管理監督を効率的かつ高品質に実施しています。

品質保証および偽造医薬品への対応

「必要な最もよい薬を提供する」ためには、「問題は発生してから対応するものではなく、未然に防止するもの」というリスク予防の観点で考え、効率的に活動を進めていかなければなりません。想定される品質リスクの中には、新規事業や新しいグループ会社の設立に伴うものも含まれますが、潜在するリスクを予見し、軽減策を検討しておくことで、リスクが顕在化した場合にも適切に対応し、影響を最小限にとどめることができます。SHIONOGIグループでは「SHIONOGIグループ品質ポリシー」を制定し、国内外の開発から市販後に至るすべての製品や情報に対して、これらのリスク予防活動が適切に行われていることを確認し、継続的に改善を行っています。

さらに、これらの活動が海外を含むグループ全体で行えるように、各国の法規制に準拠した品質保証システムを構築し、一貫した方針を提示するとともに、情報を一元管理し、SHIONOGIグループ製品のグローバルな品質保証を遂行しています。

また、世界中の患者さまに確実に高品質の医薬品を供給するため、製造品質の向上やGMPによる品質確保に取り組むとともに、偽造医薬品から患者さまを守る活動も展開しています。偽造医薬品の発生防止に係る業界活動への参画に加え、日・米・欧のメンバーを中心としたGlobal Anti-Counterfeit Committee を設置し、プロダクトセキュリティ対策に取り組んでいます。
[品質保証管理]治験薬、医薬品製造所、原材料メーカー、医療機関など ⇄ [当局対応]厚生労働省、海外当局

安全監視体制の構築

安全監視体制(ファーマコビジランス)

SHIONOGIグループでは、「SHIONOGIグループ医薬品安全性ポリシー」に基づき、患者さまおよび臨床試験の被験者の安全性確保を最優先とすることを定めています。医薬品・医療機器のリスクを最小化し、その価値を最大化するためには、副作用などの安全性情報を収集・評価・検討し、添付文書の改訂などの必要な対策を講じる安全監視(ファーマコビジランス:PV)活動のサイクルを継続的に回すことが重要です。

このため、開発から市販後に至る安全性情報を確実に収集・評価し、必要な安全対策を速やかに実行できるように、海外を含むグループの各エリアの安全管理部門が密接に相互連携する体制を構築しています。また、現在PVのプロセス改革を進めており、臨床試験における安全管理の品質向上や、新たな管理手法の検討など、海外グループ会社のPVメンバーとともに体制強化を推進しています。

さらに、特に必要があると考えられる医薬品においては、製品ごとに手順を定め特別な安全監視体制を構築するなど、製品の特性を考慮した適正使用の推進を図っています。

安全性に対する意識の向上に向けた教育

安全対策を正しく行うためには、経営層・従業員が安全性情報の収集および評価の重要性を理解することが最も大切です。SHIONOGIでは、安全性情報を適切に取り扱えるように手順書を作成し、社内教育を実施しています。医薬情報担当者(MR)を中心に、最新の安全性情報や対応方針を反映した定期的な教育を実施しており、現場での適切な情報提供と対応力の向上を図っています。また、経営陣および全従業員を対象とした医薬品の安全性教育を毎年実施し、PV(ファーマコビジランス)活動に対する意識の向上に努めています。

このような適切な教育を通じて、企業運営における安全性に対する意識の向上に継続して取り組んでいます。

[ファーマコビジランス(PV)]副作用 情報収集、副作用 評価・検討、副作用 検討・決定、安全性 情報提供(→ 患者さま、医療関係者) ⇄ [副作用報告/安全対策]厚生労働省、海外当局