英国ケンブリッジ大学およびアストラゼネカ社との 化学合成の
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、英国ケンブリッジ大学およびアストラゼネカ社と共同で、医薬品等の化学合成における自動化とデジタル化に向けた研究コンソーシアム(英語名:Innovation Centre in Digital Molecular Technologies、以下「本コンソーシアム」)を新たに設立しましたのでお知らせいたします。本コンソーシアムは、欧州地域開発基金からの拠出を受けます。
医薬品の研究開発において化学合成は、設計した化合物を期待される期間内に作り、種々の有効性と安全性を評価する試験に供給する上で必須の技術です。一方で、化学合成は研究者の手による多段階の工程を必要とし、また経験に頼る所も大きく、必ずしも望む化合物が目標とする期間内に得られるわけではありません。本コンソーシアムでは、化学合成の加速に向けて、以下3つの重点領域について、アカデミアと企業研究者のコラボレーションを推進します。
・ 人工知能と自動化による化学合成の加速
・ 化学実験のロボット化
・ 大規模生産へ向けた工程検討を加速する人工知能アルゴリズムとツール開発
これらを実現することで、必要な化合物をより迅速に供給するとともに、研究者がアイデアの創出により集中できる時間を確保することで、医薬品の研究開発のさらなる加速が期待されます。
本コンソーシアムの代表でありケンブリッジ大学 化学工学・生命工学科のAlexei Lapkin教授は、「大学内の複数の研究科にまたがる専門家が最新鋭の研究施設において知識を持ち寄り、製薬分野におけるリーディングカンパニーである塩野義製薬、アストラゼネカ社のサポートを受けることで、新分野であるデジタル化学技術の発展が可能になります」と述べております。
塩野義製薬は、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」という2030年ビジョンを掲げ、多様な患者ニーズを満たす医薬品の創出を目指しています。その実現に向けて、強みである化学合成力を継続的に強化しつつ、低分子医薬品や、ペプチド医薬品、核酸医薬品等の多様な医薬品の研究開発に取り組んでいます。今後も画期的な新薬の提供を通じて、世界中の皆さまの健康とQOLの向上に貢献できるよう努力してまいります。
以 上
Innovation Centre in Digital Molecular Technologies(iDMT)について
iDMTは、欧州地域開発基金から一部の資金拠出を受けて、英国ケンブリッジ大学と参画企業が共同で新たに発足させる研究コンソーシアムです。ケンブリッジ大学の化学科、物理学科、化学工学・生命工学科の研究者が専門知識を持ち寄り、塩野義製薬、アストラゼネカ社との共同研究を通じて、ハイスループット合成、分析技術、ケモインフォマティクス、機械学習、ロボット工学、反応工学を統合することで、化学合成における自動化、デジタル化に向けた研究開発を推進します。得られた研究成果は、参画企業内の研究活動に還元されるほか、英国ケンブリッジ地域の化学系中小企業との商業化を目指した共同研究を通じて、化学産業の革新に寄与することが期待されています。
欧州地域開発基金(European Regional Development Fund)について
1975年に発足し、欧州連合(EU)内の各種プロジェクトへの投資を通じて、地域間の不均衡の是正によってEUの経済・社会的結束を強化することを目的とする基金です。現在の優先投資対象分野は、研究とイノベーション、情報通信技術、中小企業の競争力、低炭素経済への移行、となっています。