新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、2020年内の臨床試験開始を目標に開発を進めてまいりました新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)に対する予防ワクチンにつきまして、国内第1/2相臨床試験を開始し、本日初回投与を行いましたのでお知らせいたします。
当社が本年4月より開発に取り組んでいるワクチン(開発番号:S-268019)は、グループ会社のUMNファーマが有するBEVS注1を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンです。遺伝子組換えタンパクワクチンは、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に投与に供されます。遺伝子情報そのものを投与し、体内にて抗原タンパクを合成させるmRNAワクチン等の新規技術と比べて、抗原発現や精製に一定の開発期間を要する一方で、BEVSを活用したインフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその効果と安全性を基に承認・実用化されている確立された技術です。これまでに、選択した抗原タンパクおよびアジュバント注2を用いた非臨床試験において、安全性と有効性を示唆する結果が得られており、冷蔵条件下での製剤中の安定性が一定期間確認されています。
注1 Baculovirus Expression Vector System:昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術
注2 免疫を活性化させ、ワクチンの効果を補強する物質
開始した第1/2相臨床試験は、複数用量の抗原タンパクおよびアジュバントの組み合わせからなる、200例以上の日本人成人を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。少人数での安全性・忍容性を確認する第1相パートおよび至適用量の検討を行う第2相パートにおいて、本ワクチンを3週間間隔で2回接種した際の安全性、忍容性ならびに免疫原性を、接種後1年間追跡評価します(jRCT : 2051200092)。各パートの速報データは、2021年2月末より順次取得見込みであり、それらの経過や感染状況等を踏まえて、さらなる安全性確認のための追加試験ならびに第3相臨床試験の実施に関して、引き続き厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)等との協議・相談を進めていく予定です。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、疾患の啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。SARS-CoV-2が世界的な脅威として引き続き人々の生活に大きな影響をもたらしている中、当社は本パンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、国立感染症研究所をはじめとする共同研究先や治験実施施設、生産施設であるアピ株式会社および株式会社UNIGEN、関係省庁ならびにPMDAとの連携を密にし、COVID-19に対する国産ワクチンの早期開発・提供が可能となるよう鋭意取り組んでまいります。また、治療や早期診断に対する各取り組みにも引き続き注力し、今後も状況に変化があり次第、皆さまにお知らせし、企業としての社会的責任を果してまいります。
なお、本件は当期計画に織り込み済みであることから、2021年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微です。
以 上
参考:
COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。